山上ヶ岳(大峰山:1719m)登山
大峰大橋〜洞辻茶屋〜山頂・往復

登山年月日 平成16年4月30日  快晴
登山メンバー 殿川紘史・ON氏
主要ルート 【4/29】行者環トンネル西口(15:45)ー>天川出合ー>洞川ー>(17:00)ケマタ橋(泊)
【4/30】ケマタ橋(5:40)−>(6:00)大峰大橋ー>一ノ世茶屋ー>(7:40)洞辻茶屋(7:45)−>(7:55)ダラスケ屋ー>(8:15)鐘掛岩(8:30)−>(8:45)西覗岩(8:50)−>(9:10)大峰山寺(9:20)−>(9:25)山頂:湧出岩ー>(9:30)お花畑(10:20)−>(11:15)洞辻小屋ー>(12:35)一ノ世茶屋ー>(13:00)大峰大橋ー>(13:10)ケマタ橋(13:30)−>(13:35)ゴロゴロ水(13:50)−>(14:00)洞川温泉(16:05)−>(16:30)行者環トンネルー>#169ー>和佐又口ー>(17:40)和佐又ヒュッテ駐車場(車中泊)
所要時間 登山:7時間30分<AM5:40-PM1:10> 全体:12時間<AM5:40-PM5:40>

      大峰山寺妙覚門
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山上ヶ岳(大峰山)登山マップ
スライドショー 【第1/2編<往路>:大峰大橋〜山頂】 【第2/2編<復路>:山頂〜登山口】

【山上ヶ岳(大峰山)関連情報】
吉野<ー>熊野間の修験者の奥駆道の吉野側にあり、現在でも「女人禁制の山」として知られている。 女性が行ける限界点には「女人結界」と記した門がある。 全部で4つあるそうである。 
<登山ルート>
一般登山ルートは以下の3ルートが在るが、最も近い@のルートから登山した。
@ 洞川:大峰大橋ー>洞辻茶屋ー>山頂 (登山所要時間:2時間30分)
A 和佐又口ー>大普賢岳ー>阿弥陀が森分岐ー>地蔵岳ー>山頂 (登山所要時間:6時間55分)
B 観音峰登山口ー>観音峰ー>法力峠ー>山上辻ー>レンゲ峠ー>山頂 (登山所要時間:5時間55分)

快晴だった前日、弥山と八経ヶ岳(日本百名山)を登山して下山後、行者環トンネル西口を15時45分に出て、天川出合を経由して、洞川温泉駐車場到着。 部落で食料を調達後、明日の「山上ヶ岳(大峰山)」登山口に向かう。 「ケマタ橋」から登山口駐車場の「大峰大橋」まで来たが、一日¥1000/台の駐車料金を要求され、少しの距離だからと「ケマタ橋」袂の駐車スペースに駐車することにした。 10分も歩けば、2台、合計¥4000の節約だからと・・・。 ゆっくり明日のルートの検討・夕食・八経ヶ岳・弥山登山の写真をスライドショーで鑑賞して、午後10時30分頃就寝。

静かな車中泊で午前4時30分起床。 ゆっくり朝食後、5時40分スタート。 10分弱、歩行して有料駐車場のトイレを拝借。 看板には此処からの主要なポイントが概念図として書き込まれ、背景と合わせれば、ルート状況が判り易かった。 6時に「大橋茶屋」を左に見て、朱色の「大峰大橋」。 この周囲は真新しい石碑が多く立てられ、これから神聖な修験道に通じることを暗示するに充分の雰囲気だ。 有料駐車場側の白い桜とは違い「ピンク色」の桜が濃い緑の樹林帯を背景に際立って見えた。

ルート概念図と山並 駐車場トイレ 大橋茶屋 大峰大橋側の石碑群 朱色の大峰大橋

朱色の橋を渡ると、正面には「従是女人結界門」と書かれた石塔と簡単な木製の門があり、此処からは、1000年以上も守られている「女人禁制」の境界線を示す。 この山の他の登山ルートにも同様の禁制表示が3箇所、合計4つあるそうだ。 良く手入れされた背丈の高い杉林に入ると急に薄暗く、参道には杉の落ち葉で覆われ、周囲の静寂が怖いくらいだった。 緩やかな道を15分も前進すると「一ノ世茶屋」と書かれたトタン張りの建物の真ん中を抜ける。 薄暗くて無人の茶店だった。 「一本松茶屋」を過ぎて第1回目の小休止。 樹林帯に囲まれて風が無く蒸暑い。 「役之行者慈悲乃助水」と書かれた水場があったが、非情にも水は完全に枯れていた。 先には3人連れの中高年登山者が行く。少し明るくなった稜線に出て第2回目の休憩で水と軽食を摂る。 7時40分、「吉野方面」との分岐に位置した「洞川茶屋」に到着。 展望も開けて歩きやすくなった。 案内役のON氏の話では、若者や中高年者が吉野から熊野までの「奥駆修験道」を7−8日間で歩き通すルート上だある。 これ等の茶店は修行・信仰で登山する老若男女が快適に休憩し易い様に中央に通路があり、左右が板の間の休憩所で、お茶の接待も出来そうな構造だ。 

大峰大橋からの参道 女人禁制の石塔 水のないお助け水場 洞川茶屋:吉野〜熊野への奥駆修験道分岐点

洞川茶屋の中央通路を抜けると右手には幾つもの石碑が在った。 登山路は良く整備され勾配も緩くハイキング気分で前進。 7時55分、ダラスケ屋と書かれた茶店を通過すると石段があり、ルートが左右に分岐していた。 どうやら左手が厳しい修験道で、右が優しいバイパスらしい。 当然、左手のルートを取る。 「油こぼし」を過ぎると少し岩登りを要求する「小鐘掛岩」らしき所に来た。 クサリも付けられているので危険はない。 途中に「マンサクの花」が開花していた。

洞川茶屋の中心に通路   ダラスケ屋 鐘掛岩への分岐点 油こぼし付近 小鐘掛岩のマンサク

立派な木製階段を登り詰めると「鐘掛岩」と記された岩山が現れた。 どうやらこれが修験道者の修行ルートらしい。 岩に下に行くと、注意すればその岩山に直登出来そう(下の中央写真:2枚参照)だったが、ON氏と相談して、右の巻き道を通ることにした。 右を巻くと裏手から鐘掛岩に登るルートが在った。 数メートルのクサリと岩を登ると、狭い頂上部に達した。

鐘掛岩を見上げる 鐘掛岩の状況:直登ルート 鐘掛岩頂上部の展望:金剛山・稲村ヶ岳等

高度1610mの狭い頂上部には青銅製の台座と仏像があり、小さな祠も在る。 今日最初の展望所?で、女人禁制の山上ヶ岳の隣の「稲村ヶ岳」、吉野の最高峰「青根ヶ峰、(858m)」、頂上部の尖った「大天井ヶ岳(1439m)」、更に遠い彼方には「金剛山」「葛城山」までも展望できた。 ON氏の話では多くの女性は「稲村ヶ岳」に登るそうだ。 約10分間狭い頂上部で展望を楽しみ、平坦地になった大峰寺方面に向かう。 亀石を過ぎて最初の門「等覚門」を潜って険しい岩山のピークが見えた。 「西の覗」らしい。 右手の崖を見れば、祠や石碑の先の崖がどうなっているかの想像は出来た。 修験者はこの崖に半身以上を乗り出して修行する所だとON氏いわく。 我々もクサリを使って崖下を覗き込んだ。垂直に落ち込んだ崖からヒンヤリとした風が吹き上がっていた。 管理人が居れば「小さい瓦」を投げることが出来るらしい。

鐘掛岩頂上部の祠 最初の門:等覚門 等覚門ー>西の覗への道 西の覗と祠

「東覗岩」も山頂の東側にあるらしい。 「西覗岩」の北面の崖しか撮影出来なかったが50m以上の垂直の崖の先には形の良い「大天井ヶ岳」に続く。 スリルを満喫して「西覗岩」を降りて大峰寺へのルートに戻る。 倒木にはびっしりと緑の苔が着いた林間を過ぎ石段を詰めると分岐点になった。 大峰山本堂付近案内看板を見て「寺関連施設」への左手のルートに進む。 木造の大きい建物3棟が左手に見え、右には1棟があった。 

西の覗:北部の垂直崖 大峰山本堂付近案内看板

傾斜面に建てられた「竹林院」「東青院」「喜風院」を左手に見て、「桜本坊」を右手に見て前進。 これ等の施設に信仰登山者が宿泊する施設らしい。 左折して幅広い石段の先に立派な「妙覚門」が現れ、次いで「大峰山寺」の正門(屋根つき)を潜った。

宿泊施設3棟 妙覚門 大峰山寺の正門 境内施設

左手に大きいが高くない屋根の建物があり、これが大峰山寺の本堂らしい。 右手寺務所にいた僧侶らしき人に質問した。 本堂の扉は開いているのに「入堂お断り」の看板が解せなかったからだ。 この「大峰山寺」は5月3日〜9月23日の間だけ開かれ、現在は「僧侶」も中に入れない戒律があるからだと聞いて納得??? これ程の大きい施設だが、冬季間は厳しく、関係者全員、9月23日には下山して一切の施設も閉鎖されると答えてくれた。 薄暗い本堂を入口から覗いたが暗くて何も見えなかった。 本堂の右手に「石柱」で囲まれた祭事場所があり、中央には「丸太」を組んだ焚き火スペースだった。 奥には青銅色の仏像数体がある。 本堂正面の小高い所が「山上ヶ岳頂上」らしい。9時20分着。 頂上には石柱で囲まれ「湧出岩」と「清蹟」と書かれた中に岩があり、其処にはしめ縄らしきものが岩に巻いてあった。 其処が最高点:1719m」に違いない。 右手の小道を辿り、「お花畑」と書かれた低い「ミヤコザサ」が一面に茂る所に出た。 

祭事場 大峰山寺の本堂 敷地南の施設   南西:稲村ヶ岳・大日岳 南部:弥山・八経ヶ岳

此処からの展望は紀伊半島南部方面を一望出来るポイントだった。 南西方向に(左から)最も近い「稲村ヶ岳(1726m)」、尖った小ピークを持つ「大日岳」、南方には昨日登山した「弥山(1895m)」「八経ヶ岳(1915m)」更に遠くに「釈迦ヶ岳(1800m):200名山」等も見える。

左最奥:釈迦ヶ岳? 釈迦ヶ岳の拡大  弥山(右)八経ヶ岳(左)   稲村ヶ岳と稜線 垂直崖に立つ

9時25分から10時20分の55分間、周囲の展望を楽しみ、昼食をゆっくり食べて休憩。 一人の外国人が大きいザックを背負って通過。 今は早すぎるがこの一帯にはミヤコザサの中に高山植物が咲くのだろう。 10時20分に下山開始。 大峰山竜泉寺前を通過して、石段を降り始めた時に大型ザックを背負った中年登山者と会う。 水場を尋ねられてお寺に補給を頼むことをアドバイス。 出来れば熊野まで「奥駆修験道」をトレッキングする計画だそうだ。

マンサク越の望遠 金剛山・葛城山望遠 白倉山?方面 大峰山竜泉寺 ミヤマスミレ

鐘掛岩と反対のルートは「木製階段」が整備されていて公園内を散策している錯覚に囚われた。 このルートなら老若男女も問題なく歩ける配慮だろうか? 往路と合流して「ダラスケ屋」を通過した時に、頑丈な若者と会う。 今日から熊野まで「奥駆修験道」を巡る計画だと言う。 凄い荷物(30キロ近い?)を背負っていた。 もうそんな体力はない。 樹林帯に入る前の道端には「スミレ」の花が咲き、気分良く下山路を降る。 樹林帯に入ると「ミヤマカタバミ」と「ミツバオウレン」、それに「ショウジョウバカマ」「ムシカリ(別名:オオカメノキ)」等が沢山目に入った。

ミヤマスミレ 咲き揃ったムシカリ(オオカメノキ)の花 ミヤマカタバミ ミツバオウレン

堂辻茶屋を11時15分に通過。 お助け水付近で、大汗をかきながら登ってくる中高年(60歳?)に合う。 予想通り、奥駆道をトレッキングする為に、重い食料を荷揚げ中だとのこと。 若くないので重い食料と水を途中に「デポ」するのだと言った。 大変熱心な人だと思う。 12時35分、最も大峰大橋に近い茶屋:一の世茶屋を過ぎた地点でショートカットルートを選択。 石がゴロゴロし、それらの石を覆う杉の落葉のルートはとても歩き憎く、登りルートには使いにくい。

ショウジョウバカマ ムラサキヤシオ     ミヤマスミレ ミヤマカタバミ 大峰大橋側の桜

13時丁度に登山口の大峰大橋に到着。 一人の女性が「女人禁制門」の手前のベンチで休憩中だったが、登山出来ない心境は判らなかった。 駐車場のトイレを借りて、13時10分に「ケマタ橋」の駐車スペースに帰着。 今日中には帰宅するON氏に本日登山の案内の例を言う。 洞川温泉までの道中の「名水:ゴロゴロ水」水汲み場で別れる。 給水は無料だが、給水の為の駐車料金:¥300/台を請求された。 美味い水と聞いて「4LX4本=16L」を車に積み込んだ。 14時丁度に洞川温泉も大駐車場着。 入浴料金:¥510を払い入浴した。 7日振りの入浴で疲れを取った。

入浴後、休憩室で本日の写真をPCに移し、使用したバッテリーの充電時間を利用してスライドショーで鑑賞しながら休憩。 午後4時過ぎに、明日の登山口「和佐又ヒュッテ」に向かった。 再び「行者環トンネル西口」まで戻り、東口からの下り道では夕日に映える斜面の山並みの写真を撮影しながら 国道#169号に出た。 「和佐又口」で#169号と別れて、急坂が続く「和佐又ヒュッテ」に続くルートを辿った。 夕暮れ迫る17時40分過ぎに駐車場到着して「駐車場利用料」を支払い、トイレ等の利用方法を確認。 オートキャンプ場施設らしく、休日を前に大繁盛の気配。 有料駐車場だけあって設備はマアマアである。 明日の単独縦走「大普賢岳縦走ルートの情報」を下山してきたハイカーより入手した。 相当に厳しく、ルート不明点もあるらしい。 栄養を補給し休養して明日に備えた。