浅草岳(1586m)登山:第2編<300名山>
<六十里越〜鬼が面山〜前岳〜山頂:往復

登山年月日 平成16年6月14日(月) 快晴
登山メンバー 殿川 紘史   <単独行>
登山ルート 【6/13】守門岳:猿倉橋駐車場(16:50)−>(17:35)六十里越登山口(車中泊)
【6/14】登山口(5:45)−>(6:50)パラボラアンテナー>(8:15)南岳(8:35)−>(9:40)鬼が面山(9:50)−>(10:15)北岳(10:20)−>(11:50)前岳ー>(12:10)山頂(12:20)−>(12:25)山頂直下・湿原(13:00)ー>(13:10)前岳ー>(14:20)北岳(14:25)ー>(14:40)鬼が面山(14:50)−>(15:25)南岳ー>(16:00)パラボラアンテナ(16:15)−>(16:40)登山口(17:30)−>只見町ー>田島ー>(21:30)宇都宮自宅
登山所要時間 合計:10時間55分 <登山:6時間25分> <下山:3時間40分> 総合時間:15時間45分


      <浅草岳山頂にて>
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浅草岳登山ルートマップ:鬼が面山経由
スライドショウ:【第2編@(鬼が面山〜前岳)】 【第2編A(前岳〜山頂〜登山口〜自宅)】

【浅草岳関連情報】 日本300名山
新潟県との県境に接する浅草岳は標高1,586mで日本300名山である。 この山に対峠する様に北西に聳える「守門岳」と共に、越後を代表する山である。鬼が面山の豪快な岩場や神秘的な沼の平、そして山頂付近には 高山植物の群落などがある変化に富んだ山で、毎年たくさんの登山者が訪れ、また、夏でも雪が残る大雪渓の山としても人気がある。 初夏の「ヒメサユリ」、秋の紅葉の綺麗な山として有名である。
<登山ルート>
@ 五味沢登山口ー>三合目ー>桜ゾネー>嘉平与ポッチー>前岳ー>山頂 :所要時間 (4時間10分)
A ネズモチ平ー>前岳ー>山頂 :所要時間 (2時間10分)
B 叶津登山口ー>山神の杉ー>沼の平分岐ー>避難小屋ー>山頂 :所要時間 (3時間30分)
C 六十里越登山口ー>南岳ー>鬼が面山ー>北岳ー>前岳ー>山頂 :所要時間 (4時間5分)
D 田子倉駅ー>大久保沢の水場ー>足止平ー>山頂 :所要時間 (3時間40分)

今回は「ヒメサユリ」が豊富な「六十里越ー>鬼が面山」から山頂を目指すことに決めた。

【浅草岳登山の背景】
6月13日(日)に埼玉の登山同好会例会で「守門岳(1537m)」への登山に参加させて貰った序に、快晴が予想されたし、宇都宮からの距離を考え、翌日14日(月)に登山すことにした。 初夏の「ヒメサユリ」の花が綺麗だと聞いていたので、最も多いとされる「六十里越登山口ー>鬼が面山(1465m)」のコースに決めた。 前日、守門岳:猿倉橋に下山後、# 号ー。#252号で、午後5時半過ぎに目的地の「六十里越登山口」に駐車して車中泊。 「登山カード箱」側の駐車スパースは3台分。混雑を心配したが、誰も駐車する者はなかった。 
守門岳山頂で昼食の時の姿勢のためか「腰の違和感」を気にしながら、運転して登山口に着いたが、ある姿勢で非常に痛みを感じて車内でうつ伏せになり、回復を待った。 1時間程度の休養で殆ど意識しない程度になったが、もし明日の朝に「腰の違和感」が取れなければ登山を中止する積もりで、明日のルートを何度も確認した。 夜は「満天の星とはこんな夜を言う」と言わんばかりの眩いばかりの星空だった。 天気予報・観点望気でも「100%の快晴」を確信して登山準備後、就寝した。

浅草岳登山:第2編<鬼が面山〜山頂〜下山口>

昨日、守門岳山頂で昼食した時に偶然側にいた「青年」と、鬼が面山山頂で再会。 相互に記念写真を撮り合った。 彼は浅草岳登山ルートで最短コースの「ネズモチ平」に車を駐車して登山し、前岳で山頂に向かわずに、直接「鬼が面山」まで下って来たそうだ。 浅草岳山頂に向かうと言って、小生よりも10分早く出発した。 此処山頂の眺めは更に南岳よりも素晴らしく、特に「南岳〜鬼が面山」間の南岸壁と田子倉湖を重ねて眺望出来た。 羽田氏の話の様に「南岸壁」は急峻でドンドン崩壊が進行している状況を観察出来た。 越後三山上空から登る純白の雲が見事で構図を変えながら何枚も撮影した。 同様に「浅草岳山頂」上空にも形の面白い雲があった。  

南岳岸壁と田子倉湖 前岳へのルートと守門岳(一部見える)    越後三山上空の珍しい雲の形

10分以上休憩したかったが、当たりかまわず「ブヨ」が全身の素肌の出た所を攻撃するので、とうとう「防虫網」を被った。 風が通らず、暑苦しいが「ブヨの攻撃」は我慢出来ない。 4時間もかかり、結構足も疲労感が出ていた日射量も多く気温も高いく乾燥していたので 給水頻度を増やした。 道中の「イワカガミ」「ミツバオウレン」が綺麗で「ナナカマド」の大きい花房も撮影。 南岳斜面の残雪と周囲の岩肌・新緑とのコントラストは見事だ。

イワカガミ ミツバオウレン ナナカマド 鬼が面山南岸壁の残雪

9時50分過ぎに、「北岳ー>前岳」を目指して出発した。 眼前の急坂を登りきると「北岳山頂」だった。 その北岳の頂から急降下は始まる。 折角キツイ登りを終えたのに・・・。 上から展望すると「ガッカリ」する程、アップダウンの連続であるルートが見えた。 鬼が面山頂からはこんな状況は見えなかった。 鞍部には大きい花を付けた「タムシバ」(別名:カムシバ・ニオイコブシ)が強い陽光を浴びてヤヤシオレ気味に咲いていた。 これが最初で最後の「タムシバ」だった。
「稜線の白い雲と青い空」と「田子倉湖」を背景に撮影し、花をクローズにも撮影。  

鬼が面山山頂標識 タムシバ(別名:ニオイコブシ)の純白な花弁が背景に映える

ヤヤ疲れ始めた体と気分を小道の花達「タムシバ」「シラネアオイ」「ゴゼンタチバナ」「イワカガミ」「イワハゼ(アカモイ)」「ヒメサユリ」が慰めてくれる。 北岳直下からのルート展望では少なくとも4−5回のアップダウンを終えて、最後に「前岳」への200m以上の登りがあった。 3リッター準備した水(麦茶も含む)の半分を飲んでしまった。 振り返るたびに「鬼が面山岸壁」は急峻だったが残雪は落ちないでへばり付いていた。 

残雪(南岸壁) シラネアオイ ヒメサユリの蕾 絡沢カッチ付近
守門岳・烏帽子岳(右) 先は長い山頂への道 熊笹の花? 険しい南斜面の岸壁

遂に開花した「ヒメサユリ」に遭遇した。 ピンク色の上品はユリで始めて鑑賞した。 3輪が開花して約90度の角度を保って3方向に広がっている。 正面から縦・横の構図、花の背面からと何枚も撮影。 よく観ると蕾の株が数十も一定間隔で道沿いに見えた。 後、1週間〜10日間遅ければ、殆ど開花した状況が見れたかもしれない。 稜線の道幅は狭く
思うようなアングルでの撮影は出来なかったし、ザックの三脚を拡げてマクロレンズと交換して・・・と言う余裕が体力的にも残っていなかった。 全部「28−300mmズームレンズ」の手持ち撮影ばかり。

鬼が面山南斜面          日当たりの良い稜線の小道に開花した「ヒメサユリ」

後ろ髪を引かれる気持ちでその場を離れて、山頂を目指した。 前日の雨でルートの諸所はすべり易く最深の注意が必要だった。 まともに陽光を背に受けての急坂はとても厳しく「一呼吸・一歩」のペースにまで下がることもあった。 そんな状況で気分転換出来るのは道脇の高山植物だった。 黄色の「ウコンウツギ」「ヨウラクツツジ」が新たに目に入った。 「北岳と前岳中間ピーク」で休憩:10分間、リンゴ・パン(2個)・水・羊羹等を補給。 かなり疲労感が残った。 11時15分スタートして前岳への最後の急坂に架かる。 

ウコンウツギ 急峻な壁 ヨウラクツツジ 田子倉湖 エンレイソウの実
タカネニガナ 田子倉湖と浅草岳「只見沢」の雪   鬼が面山南岸壁と北岳(手前):背景は越後三山

日陰や炎天下の急坂を登ること30分間後、11時50分に前岳らしきピークに到着。 熊笹と雪田で覆われていたが、其処からは「浅草岳山頂」が雪田から続く「木道」の先に見えた。 地図上では「10分間」の距離だ。 ヤット山頂に到達出来る自信が沸く。 雪田で又「守門岳と鬼が面山」であった青年に出くわした。 今度で3回目。 今浅草岳頂上から下山して山頂直下で昼食を終えた所だと言う。 山頂は「ブヨの大群」で食事など不可能と嘆いた。 青年と別れ、歩き易い木道歩きで山頂直下部の「木製の休憩デッキ」に12時ジャストに到着。 その木製デッキで、中年夫婦が昼食中だった。 理由は「山頂の虫(ハエ・ブヨ)」の為に此処を選んだと言う。 アドバイスに従いザックをお願いして、水・カメラ・レンズだけ持参して山頂に向かった。

前岳付近から見る:鬼が面山南斜面・田子倉湖 前岳分岐点の雪田 分岐点から浅草岳山頂

12時10分、浅草岳山頂に到着。 六十里越登山口を出てから「6時間25分」も掛かった事になる。 2時間近い延着。
250枚以上の写真撮影の影響が最大だが、予想以上にルートのアップダウンが激しく、精神的にも疲労感が募った。山頂部は「1等三角点」「山頂標識」があり、その周囲で中年男女3人が居た。 記念写真を一枚お願いしたら、50歳代のご婦人は「背景」を変えて「標識(2枚)」「越後三山」「田子倉湖」等を自主的に撮影してくれた。 去年「荒沢岳登山」の山頂で同様の経験があった。 山頂では丁度陽光が雲に隠れて撮影条件は芳しくなかったが、「田子倉湖」「飯豊連峰」「那須・日光方面」の風景を撮影した。 話の如く「ブヨ・ハエ」の襲来は酷く、カメラのレンズに止まって、その陰が写ってしまった写真が何枚もあったことからも判る。 山頂標識では「防虫網」を付けた写真も撮って貰った。 10分間も滞在出来ず山頂を降りるのは今回が初めて・・・・。 それ程に「虫の攻撃」はしっこかった。 12時20分前に、3人にお礼を述べて「木製デッキ」まで下山する挨拶をして別かれた。

前岳から山頂へ  山頂側から前岳展望 浅草岳山頂  防虫網の人 背景:越後三山 背景:田子倉湖

12時25分、先ほどの中年夫婦が食事中のデッキに戻った。 新潟から来たというご主人の登山靴の底の損傷が激しい。 急に剥離したらしい。 最近の靴は殆ど「ウレタン系接着剤」で靴底と接合されているので、一気に剥がれる事故は多い。 3年前「大雪山縦走」の最後に日に、同様に経験をした。 非常用品入れから「針金」と「細いドライバー」を取り出して応急修理して、その上から靴紐で強化して下山可能な状況になった。 12時40分頃、その夫婦が先に出発した。 防虫網をかぶっても「ブヨ」は集まるので、防虫網を被り、デッキ上を歩きながらの昼食となった。 パン・レーズン・リンゴ等、何でも『網の下を手早く上げて、口に入れて直ぐ下ろす』動作の繰り返しをしながら、10m四方のデッキを歩き回る食事風景だった。 ペットボトルの水が一番難しい動作になった。 15分間で下山の約4時間分のエネルギーを補給して、13時に下山開始を決めた。 デッキから昨日登山した「守門岳(1537m)」と側の「鳥帽子(1350m)」湿原のワタスゲ越しに良く見えた。 夫々を「ワタスゲ」を前景に撮影。 ワタスゲのクローズアップでは「風」が吹いて静止できるか否か自信なかった。 山頂にいた3人も下山路に着き、とうとう浅草岳に居残るのは「自分一人」となった。

背景:越後三山・只見沢  飯豊連峰望遠 山頂直下の湿原・ワタスゲ    守門岳望遠
池塘への写り込み ワタスゲ 烏帽子岳 守門岳 ワタスゲ

13時に下山開始。 木道を伝って雪田に戻り、「前岳」分岐を熊笹の方へ進み、愈々「前岳」殻の下りを開始。 往路6時間の道をどの位掛かるのか不安だった。 アレだけのアップダウンのルートを思い出すと気が遠くなる・・・。 鬼が面山までの明確なアップダウン数は「4回」で5回目が鬼が面山山頂だった。 途中のピーク毎に、約5分間の給水・休憩を挟んで疲労回復を図った。 復路から見る「稜線」「ヒメサユリの花」「田子倉湖」「越後三山」「ヒウチ岳」等々には見蕩れてしまう。 最小限の撮影にして出来る限り、岐路を急いだ。 

ワタスゲ <前岳直下の展望>双耳峰:ヒウチ岳・田子倉湖・鬼が面山南斜面と只見沢・越後三山・ケ岳

14時40分「鬼が面山山頂」着。 往路の時よりも山頂の「コムシ:ブヨ」は多く、ゆっくり休憩することが難しい。 暑いのを我慢して、袖をのばし、防虫網をかぶって山頂から下山して来たが、腕・手の甲・耳・胸等には「虫刺され傷」が在り、少しずつ腫れて痛む箇所も出てきた。 もし「防虫網」がなかったら・・・と思うだけでゾッとする。  

ムシカリの花 ヒメサユリ 只見沢の残雪と田子倉湖望遠      開花したヒメサユリ

鬼が面山から「浅草岳山頂」全体と480mm換算の望遠で「山頂部」及び「南岳と田子倉湖を入れた急峻な岸壁」を撮影した。  此れで撮影を終了しよう。 50分スタート、15時25分「南岳」到着。 この下から樹林帯に入り、展望は利かなくなる。 15時45分、「大白川分岐」通過。 16時、「パラボラアンテナ管理棟」横通過してこれからの急な下り道に備えて給水・休憩。 16時40分、遂に「六十里越登山口」に帰着。 側の渓流の水を汲んで「足・脚・上半身」を拭いてお湯を沸かしながら休憩。 その間生暖かい「コーラ」を2本飲み干す。 車の前後側面あらゆる開口部を開けて、涼しい風を取り込みながら車中のベットに横たわる。 今日一日の苦しさ・景色・高山植物・山頂を踏んだ快感・・・等を思い出すとこれ以上の経験はありえない。 至福の一時を満喫する。 カップラーメンで空腹を満たし、オレンジでビタミンを補給後、17時30分、往路と同じルート(只見町ー>南郷村ー>道の駅:田島)で国道#121号を目指した。 運転を開始すると不思議にも疲労感はきえてしまったが、足の裏の違和感は長い厳しい登山を蘇らせる。

タムシバの花 北岳からの浅草岳: 全体と山頂部の拡大(望遠撮影) 鬼が面山斜面 夕陽:国道#289号

南郷を越えて、岩館で国道#401号に別れて#352号で「田島方面」に向かっていた時に「バックミラー」に写る空が明るく・焼けていたので急遽ストップ。 道脇に車を寄せて、夕陽の撮影を始めた。 レンズ交換はせず、「28−300mmズームレンズ」で空全体を縦・横で撮り、中間ズームで、又広角で・・・と10−15分間夕陽変化を眺めならが休憩を兼ねて撮影した。 今日の晴天と良く一致した夕焼けの素晴らしい光景だった。

南郷村・国道#401号ー>「道の駅:田島」への国道#352号から見た(岩館村付近)「夕焼け雲」

薄暗くなった国道#352号ー>#121号ー>#400号・塩原町ー>国道#4号ー>宇都宮自宅到着時刻は午後9時30分頃。 車内の登山装備もそのままで、シャワー室に飛び込んで、2日間の汗を流し至福の時間を味わった。 起床から登山・下山・ドライブ・自宅到着まで、約16時間半の長い頗る充実した一日だった。 無事の帰宅に感謝。

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