北岳登山<第1日>:第2/9編
戸台:仙流荘〜広河原〜二股出合

年月日 平成17年6月25日 (金) 快晴
登山メンバー 萩原氏(リーダー)・殿川紘史・関根氏・大渕氏・平居さん
登山ルート 仙流荘バス停(8:05)ー>(8:40)北沢峠(9:10)−>(9:40)広河原(9:50)ー>(9:55)広河原山荘(10:00)−>(10:25)白根御池小屋分岐ー>(13:00)二股(13:10)−><右股コース>ー>(16:10)草すべり分岐(16:15)ー>(16:35)ピーク(16:40)−>(17:20)肩ノ小屋(泊)
所要時間 登山:7時間20分<M10:00-PM5:20>
総合:9時間15分<M8:05-PM5:20>

      北岳山頂〜東稜線〜八本歯のコル
         <広河原登山口からの展望>


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【北岳関連情報】  南アルプス山並みパノラマ図】【北岳登山ルートマップ南アルプスアクセス地図
『北岳』は富士山に次ぐ、日本第二番目の高峰で、古くから「甲斐の白峰」と讃えられてきた。 特産の「キタダケソウ」をはじめ高山植物の種類も多く、山頂も展望のよさにも定評がある。 名実共に南アルプスを代表する山である「北岳」には交通の便利な広河原から比較的短時間で登頂が可能である。

【登山ルート】
北岳への登山ルートは幾つもあるが最も一般的なルートは「広河原」を登山口にするルートである。 今回は最も容易で短時間で登山出来る@から登山した
@ 広河原ー><大樺沢>ー>二股ー><右股コース>ー>肩ノ小屋ー>北岳 <5:30+0:40>
A 広河原ー><大樺沢>ー>二股ー><左俣コース>ー>八本歯のコルー>北岳山荘ー>北岳 
B 広河原ー>白根御池小屋ー><草すべり>ー>肩ノ小屋ー>北岳 
この他に「塩見岳を経由」「間ノ岳経由」「仙丈岳経由」等他の山を縦走して「北岳」に登る縦走路利用があるが、2−3泊以上のロングトレイルである。

【関連HP:北岳@】  【関連HP:北岳A】

【スライドショー:『戸台〜北沢峠』 『広河原〜大樺沢』 『大樺沢〜二股』
6月25日午前4時30分頃、目覚めた。 約1時間前から駐車場は騒がしくなる。 今日も晴天が予想出来る空模様に安心する。 5時30分頃、キャンピングカー1階に休んだ大渕氏も起き出した。 6時30分発の北沢峠行きバスを待つ登山者の列が長く伸びている。 我々は広河原行きのバスに接続する8時05分発の北沢峠行きに乗車する予定。 朝食・コーヒーを済ませ持参する荷物内容の確認開始。 当初の予定の変更をした。 『@テント持参』ー>『A山荘素泊まり利用』ー>『B山荘食事付き』へと荷物を減らす為に変更した。 更にC「北岳」と「間ノ岳」登山後の27日に車の戻り、天気と体調が良ければ、再度北沢峠に行き、長衛小屋宿泊を前提にして「甲斐駒ヶ岳」と「仙丈ヶ岳」を登山する方針に変える。 この案が最も荷物が少なく、且つ費用も節減可能だから。。 午前7時半前に埼玉方面からの3人の同行者「萩原氏(リーダー)・関根氏・平居さん」が到着。 7時45分頃、8時5分発の北沢峠行きのバスの列に加わる。 26人乗りの中型バスが一杯になり次第、増発されるらしい。 河原にある駐車場で3人と挨拶する。 其の周囲には沢山の濃いピンク色の花と白い菊の様な花の群生があり、見事な絨毯に見える。 予定通り、8時5分のバスに乗車。 運転手は車窓のふうけい、山並み・植生など上手に解説しながら曲がりくねる『南アルプス林道』を北沢峠に向けて進む。 8時40分、北沢峠着。 此処で南アルプス市営のバスに乗り換えて「広河原」の北岳登山口まで行く。 定刻の9時45分より早い9時10分に臨時便が出た。 広河原に9時40分着。 下車すると快晴の山並みの遥か遠くに『北岳』が見える。 吊橋を亘り広河原山荘で給水。 10時に広河原山荘を出発した。 

南アルプスへの基地・戸台:仙流荘駐車場の草叢に繁茂していたピンクの花と白い菊の様な花。   仙流荘ホテル
北沢峠行きバス発着所   南アルプス連峰展望 「丹溪荘」・「橋本山荘」 編笠山・鋸岳(右)望遠 戸台川沢・白岩堰堤
北沢峠行き村営バス(26人乗)は南アルプス林道を進み、「戸台大橋」のゲイトからは一般車は入れない。 昔の登山口である「丹溪荘」・「橋本山荘」がバスから見える。  『南アルプス林道』沿線の光景は運転手のガイドで解説された。 険しい岩峰の山が見える。 『鋸岳』で南アルプスでは最高に危険な山であるらしい。 
南アルプスの全ての山の中で最も険しく登山の困難な『鋸岳(2685m)』 ロッククライミング技術者のみがアクセス可能な山で一般登山者は近付けない。 山の生成過程は「海底の隆起」による為に浸食が激しく岩石も脆いらしい。
鋸岳の大ギャップ:岩質が脆く一般登山者は登山禁止  北沢峠周辺地図        北沢峠バス停留所・発券所
左上の2枚の写真は鋸岳の大ギャップを部分拡大したものである。 8時40分に北沢峠到着。 乗客は全員バスを乗り継ぎ「北沢峠」で下車。 「北岳登山」する人達で50名は下るまい。 北岳登山同行の4名の記念写真を撮影(左から平居さん・大渕氏・萩原氏:リーダー・関根氏)。
休日でも北沢峠への乗り換え接続は悪い 広河原登山口から見上げる「北岳」(右奥のピーク)と左俣コース雪渓
約30分早い9時10分に臨時バスが出て、広河原に9時40分に到着。 眼前には北岳山頂と東稜線・左俣コースの大雪渓も綺麗に展望出来る。 直射日光を浴びて本日の陽光の強さを実感し、この炎天下に無事に山頂まで登山出来るのかな?・・・と少し不安になる。 平居さんから借用した着脱可能の日除けを取り付けた。 
広河原登山口の吊橋とアルプス周辺地図看板 広河原山荘(右)と北岳登山標織 クリンソウ
記念写真を撮り9時50分に吊橋を渡り、「広河原山荘」に向かう。 トイレ・給水休憩を10分。  10時丁度に登山開始した。 大木の茂みで陽光が遮られて涼しく感じる。 山荘から直ぐに大きい石がゴロゴロした階段状のルートである。 「クリンソウ」が数株開花していた。 10時25分に「白根御池小屋」分岐点で左の『大樺沢コース』を取る。 暫く歩くと大樺沢に沿って進む。 木々も背丈低くなり、疎林帯となる。 処々に高山植物「タカネグンナイフウロ」や「コバケイソウ」等が目につく。 
白根御池小屋分岐(左へ) タカネグンナイフウロ             コバイケイソウ  視界開けた大樺沢からの北岳
大きく視界が開けて眼前に「北岳山頂部〜東稜線〜八本歯のコル〜八本歯の頭」が緑山並みの背後に茶色に見え、雪渓には未だ相当に残雪があった。 直射日光を浴びて予想外に疲労を感じる。
八本歯の頭〜八本歯コル〜北岳山頂(右) フジハタザオ 赤薙沢の頭? 大樺沢から見上げた空
約30分毎に休憩しないと呼吸が乱れ、足が普段よりも重く感じる。 更に登山路の景色・高山植物の撮影も先行する4人と離れる原因だが、体調が予想以上に悪く今日の登山の苦難を予感し始める。 頻繁に給水・スナックの補給を繰り返す。 日陰でも非常に暑く感じる・・・トレーニング不足が最大の原因だろうか? 
ミヤマハナシノブ ヒロハコンロンソウ カラマツソウ
登山路の花は繰り返し撮影しながら登山するが、徐々に撮影意欲も減退する始末。 薄紫の花弁の中心に「黄色いシベ」が綺麗だ。 平居さんから「ミヤマハナシノブ」であると聞く。 「ハタザオ」「カラマツソウ」「マルバシモツケ」・・と沢山。 登山路に水が流れる部分を過ぎて崩壊場所で「大樺沢」を左に渡り斜面沿いに進み、再度右に渉る箇所があった。
ミヤマハナシノブ カツラの新芽 マルバシモツケ ミヤマハナシノブ
カツラの木々が茂るトンネル状の日陰を前進。 秋には黄色に紅葉する「カツラ」は美しいだろう。 この一帯には白山と北岳にしかないと言われる「ミヤマハンシノブ」「マルバシモツケ」「クルマバックバネソウ」「キバナスミレ」「タカネミミナシグサ」「ヤマガラシ」「キンロバイ」「タカネグンナイフウロ」「カラマツソウ」「コバイケイソウ」「サンカヨウ」「フジハタザオ」「イブキトラノオ」等数えると相当の数の花が登山路の両側を飾る。
クルマバックバネソウ キバナスミレ 桂のトンネル タカネミミナグサ ヤマガラシ
後を振り返ると北岳の北東に聳える「鳳凰三山」が見え雲の中から出たり入ったりする。 「地藏岳」のオベリスクも見え隠れする。 
鳳凰三山の望遠  高峰(2779m)地蔵岳(2764m) 鳳凰三山の望遠 大樺沢の上部雪渓と左俣コースの大雪渓
大樺沢を右に見ながら沢沿いを前進するが、直射日光が照りつけ暑さと疲労で10−15分前進して5分小休止する遅いピッチを繰り返す。 先行した3名(萩原氏・関根氏・大渕氏)はとっくに視界に入らない。 平居さんが後を振り返りながらこちらのペースに合わせてくれる。 河原に雪渓が現れ始めたが、斜面側を歩く。 左前方に遥かに続く雪渓は「左俣コース」で八本歯ノコルへ続くルートだろう。 ガレ場に「サンカヨウ」の花が数株纏まって咲き、疲労した体を慰めるようだ。
キンロバイ 大樺沢と左俣コースの大雪渓                大樺沢沿いの「サンカヨウの花」
間も無く「二股」出合いが見える。 河原に昼食中である10名位の登山者がいる。 疲れた体を屈めて丁寧に「サンカヨウ」の写真を幾つかのアングルから撮影。 とうとう「二股出合い」から数百メートル手前で給水・スナックを補給するも食欲が無く、準備した「パン」も喉を通らない。 平居さんから貰った「バナナ」を食べ、「リンゴジュース」と「栄養剤」を分けて飲んで幾分元気を回復した。 
鳳凰三山:地蔵岳(2764m)・観音岳(2840m)・薬師岳(2780m) シロウマオウギ 二股分岐
『二股出合』は北岳への登山ルートが3本に分岐する所である。 @「八本歯ノコル」ー>北岳山荘  A「白根御池小屋」ー><草すべり>ー>肩ノ小屋  B「右股コース」ー>肩ノ小屋 である。 最も近く一般的なルートはBでこのルートを我々は進む。 左手の上方の雪渓には数十人の登山者が直線的に「八本歯ノコル」を目指している。 この地点には上記右の写真の方向標示板がある。 其処には遭難者情報が貼り付けられている。 まだ遺体が発見されていない様だ。

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