大雪山縦走(7/9編):第4日目
<第2部:白雲岳避難小屋〜忠別岳〜五色岳
    〜ヒサゴ沼避難小屋
(1963m) (1868m)

登山年月日 平成13年7月18日  快晴
メンバー 殿川紘史  (単独行)
主要ルート

白雲岳避難小屋(5:45)ー>(7:10)高根ヶ原分岐ー>(9:55)忠別沼(10:00)ー>(10:25)忠別岳(11:00)ー>(11:40)忠別岳避難小屋分岐(10:55)ー>(12:55)五色岳(13:00)ー><五色が原散策>−>(13:45)五色岳(13:50)−>(14:40)化雲岳分岐(14:45)ー>(15:15)ヒサゴ沼分岐(15:20)ー>(15:50)ヒサゴ沼避難小屋(泊)

所要時間 合計=10時間05分 <AM5:45−PM5:50>

    縦走ルート地図: 【忠別岳〜五色岳〜ヒサゴ沼避難小屋】


旭岳山頂部:高根ヶ原から

大雪山縦走:第4日目<【第1部】・【第2部】に分割>

スライドショー:【第1部:白雲岳避難小屋〜忠別沼】 【第2部:忠別岳〜ヒサゴ沼避難小屋】


大雪山縦走:第4日目<第2部>【忠別岳〜ヒサゴ沼避難小屋】

長い休憩は一度もないが、写真撮影の頻度が高く其の時間は相当に多い。 一向に距離を稼げない最大の理由は撮影時間だ。 ルートの側で「青紫色のミヤマリンドウ」の株を幾つも発見。 よく観察すると「花の形=花弁の巾」が違う<下の写真の左右の違い>。  忠別沼にいたる近くの坂道で「タカネシオガマ」の群生があった。 赤紅色の派手な色だ。 其の一株を前景に、背景を旭岳にした写真1枚撮影。 

<ミヤマリンドウ>でも左右の花は少し違う 旭岳南面に続く間宮岳・北海岳に続く
白雲岳 旭岳と後旭岳(右) タカネシオガマ:忠別岳頂上付近
タカネシオガマ群生地 ガスに見え隠れする旭岳・後旭岳

白雲岳避難小屋出発から忠別沼までの標準時間:3時間を4時間05分かけて「忠別沼」に到着した。  沼の左を良く手入れされた木道が敷設されて歩き易い。 沼の側の休憩ベンチには若い夫婦が休憩中の様だ。 沼の中には黒い魚体の「エゾサンショウウオ」が沢山いた<写真参照>。 体長は5−10cm位だ。 近づいても動かない。 

化運岳〜小化雲岳方面 平ヶ岳 忠別沼
忠別岳 エゾヒメクワガタ 右手前:エゾツガザクラ群生 ミヤマキンポウげ
先行する若い夫婦 沼に写るエゾコザクラ エゾサンショウウオ:忠別沼

浅い沼だが沼水に映る風景<忠別岳、五色岳、沼の植物群>は中々綺麗だ。 忠別岳(1963m)は沼の方向から見ると山を意識出来るが、登山ルートを辿れば単なる丘に近い。 沼の周辺に「ヨツバシオガマ」と「エゾワタスゲ」があった。

忠別沼の木道・忠別沼・忠別岳 エゾワタスゲ ヨツバシオガマ
忠別沼・沼周辺・忠別岳

忠別沼から忠別岳頂上は見えてはいるが、だらだらの約2キロ上り坂は予想以上に足にきた。 今日はじめての坂道だったからか?  先行する若い夫婦の奥さんもゆっくりと登っているため丁度同じペースだ。 ひどくきつい坂道をすぎてヤット「忠別岳」山頂に到着。  其処には大阪から来たという4人組(以後明日のトムラウシ山まで同じ行動)が昼食中だった。 此処でゆっくり休憩と昼食をした。
まだ全行程の50%程度でこんなに疲労を感じて少し不安になる。 当初のプランの第4日目は<白雲岳>避難小屋〜忠別岳雛小屋>だったが、すこし頑張って「ヒサゴ沼避難小屋」に変更したからだ。 「トムラウシ山」登山後に「東大雪国民宿舎」までの距離を考えて変更した。 昼食の35分間もすぐに過ぎて先の忠別岳避難小屋分岐までを目標に出発。 約40分の平坦に近い下り道の途中で左手下に正三角形の屋根を持つ忠別岳避難小屋が見えた。  写真撮影も少し控えて先を急いだ。 予定の40分丁度で「忠別岳避難小屋分岐」に着いた。 「分岐」から「五色岳」間はハイマツの中を通過する視界のない坂道:約1時間のつらい行程だ。 15分休憩して鋭気をを養い最後の坂道に向かった。 

ヨツバシガマ 忠別岳から白雲岳を望む ミヤマオグルマ

予想以上にハイマツの枝が歩行を妨害した。 殆どがハイマツのトンネルでしゃがむように歩いたり両手で枝を掻き分けながら進む苦難の坂道で約40年前に通過した時よりも前進しにくいと感じた。 当時のザックは「横長形」だから相当に難航したはずだが・・・。 ハイマツの枝との接触からカメラを保護する為にタオルを巻いた。 めがねを引っ掛ける心配も・・・・。 大阪からの4人組とは少しずつ離されていく。難航苦行の末に「五色岳(1868m)」に到着。  其処には「昨日会った東京の老画家」「大阪の四人組」がいた。 画家曰く「是非、五色が原湿原を散策して写真撮影しなさい」と親切なアドバイス。 「今夜の避難小屋のスペース確保」も自分がするからーーとも。
時間も気になるが「高山植物の宝庫」も見逃したくない。 疲労も感じるが「このチャンス」を生かすことにして荷物を置いて「五色が原湿原」をピストンする事に決めて、皆と別れた。 遥か彼方まで湿原が続き際限がないルートも木道歩きで楽だった。 湿原のから見た「トムラウシ山」は圧巻だった。 天候は午前中の快晴から少しずつ下り坂の様だ。 


五色が原湿原散策記録

「沼ノ原分岐」「大沼」周辺の典型的な湿原・湖沼までは「往路:3時間、復路:4時15分」でとてもカバー出来ないので、20分間前進を目処に散策することに決めた。 良く整備された木道のお陰で歩きやすかった。 「チングルマ」「エゾコザクラ」「ハクサンイチゲ」の大群落も見事だったが、ハイライトは「黄色い花」を代表する「エゾノリュウキンカ」「チシマキンバイソウ」「ボタンキンバイ」「ミヤマキンバイ」等の花が豊富だった。 下記の写真からも推定出来るように「黄色の花弁」を観察すると微妙に異なり正しい花の名前の同定は難しい。 図鑑を元に出来るだけ正確を期したつもりだが・・・・・・。 初めて遭遇した「チシマヒョウタンボク」(別名:クロハナヒョウタンボク)は赤紫の可憐な花で印象が強かった。 30分経過に驚き、踵を返して荷物をデポした「五色岳」に向かった。 緩やかだが「階段状の木道」もカメラだけだが急ぐと息が切れた。 途中で同様にピストンの五色が原湿原散策に下ってきた「若い夫婦」とすれ違った。 今から下って、「ヒサゴ沼避難小屋」までの行程で大丈夫なのかと人ごとながら少し気になった。  


ミヤマキンポウゲ     チシマノキンバイソウ トムラウシ山望遠 エゾノリュウキンカ
エゾノリュウキンカ ハクサンイチゲエゾコザクラ群落
エゾノリュキンカ ボタンキンバイ
ボタンキンバイ チシマヒョウタンボク(クロハナヒョウタンボク)
エゾコザクラ ミヤマキンバイ
ボタンキンバイ?? ミヤマキンバイ?? 少し違うけど・・・・
ミヤマキンバイ・ボタンキンバイ トカチフウロ コガネイチゴ

五色岳(1868m)ー>ヒサゴ沼避難小屋

13時45分に「五色岳」に戻った。 休憩したい気持ちを抑えて直ちに「ヒサゴ沼避難小屋」に向けて13時50分に出発した。 殆ど平坦だが嫌なハイマツ帯のルートが続く。 途中から木道になる。 1時間余で「神遊びの庭」の名前がついた「湿地・沼地」で休憩。 陽光は全く消えて「ガス」が漂い始めた。  明るさは午後4時位の感じ・・・。 木道の側にも残雪がある。 「エゾカンゾウ」が一本寂しく咲いていた。ここで「化雲岳(1954m)」を経由して「ヒサゴ沼」に出られるが、時間・疲労・天気・視界を考えて、登山を諦めて、「ヒサゴ沼」への近道を選択。 直ぐ雪渓に入ると「ガス」が出て視界20−30mに急変。 簡易アイゼンを装着して前進。  簡易型ながら一歩一歩のスリップの心配もなく歩き易い。  途中で問題発生:「簡易アイゼン」のスプリングの影響で「登山靴」のソールの剥離だ。 とうとう左側の爪先のソールが剥離して、一歩一歩歩く毎に「パカパカ」する程度まで悪化し、右側も同じ傾向を確認。 簡易アイゼンを外し歩行した。 小屋到着後に修理するしかない。 幸いに「針金」もあり、修理可能と判断した。  「ヒサゴ沼分岐」通過が15時15分。  急な雪渓の中から「木道」が見え隠れするが、設置場所からあちこちに流されて、ぬかるんだ雪渓と水の流れるルートを行き来して歩かざるを得ない。 

エゾフウロとミヤマオグルマ   ホソバノウルップソウ
エゾカンゾウ             ヒサゴ沼小屋へのルート

高度が下がり、ヒサゴ沼も見えた頃には雪渓もルートから消えて白い可憐な「イワイチョウ」や黄色い「ボタンキンポゲ」が気持ち良く迎えてくれた。  避難小屋は見えないがもう直ぐ近くを意識して、ヒサゴ沼畔の木道に出た。 「水場」を過ぎた100m先に「ヒサゴ沼避難小屋」が見えて安心。

ハクサンイチゲ ヒサゴ沼
イワイチョウ ボタンキンバイ(ヒサゴ沼)

小屋周辺にはキャンプサイトもあり5−6張のテントも設営されていた。 15時50分、小屋に入ると2階に登る梯子の側に「小生のスペース」がちゃんと確保されていた。 例の老画家の配慮に心から感謝・感謝だ。  小屋内部は殆ど余分のスペースはない様だ。 荷物を下ろしてすぐ靴の修理開始。 数百グラムだが其の重さ以上の「修理用具等」の袋の有り難さ!!。   この用具がなければ明日からの歩行が困難なくらいの破損だった。 半分はがれた爪先のソール先端に針金を差し入れ、靴紐のはと目に固定。 後側も剥離開始しているので同様の補修を両側の靴に施した。 16時30分〜17時30分で夕食を完了。  やはり水場は小屋から100m戻った付近の融雪水を利用した。 明日の飲料水の煮沸・冷却も完了。 コーヒーを飲みながら、周囲の登山者と楽しい雑談。 老画家はこの小屋を基地にして作画活動をするそうだ。 予定は食料とお天気次第だという。 凄い体力だ。 長期滞在(10日以上)の食料・画材も入れると30キロは超えるだろう。 其の側には大阪からの4人組(女性:3人、男性:1人)、兵庫からの一人は「奥さんを去年なくして一人登山」だ。 少し寂しそうな雰囲気なので意識して話し掛けたら、事情を口した。  殆どは明日「トムラウシ山」を登山して、略3つのルートで下山を計画していた。 @トムラウシ温泉 A天人峡温泉 B沼ノ原湿原経由、クチャベツ沼の原登山口。  @が大多数だったがこのコースは距離が長くかなりタフな一日コースになる。 明日の天気予報は悲観的。  遅くなると雨も報じた。  朝は早立ちが求められる。  午後6時ごろ到着してスペースを求める人も2−3人いた。 早い人は「イビキ」をかいて寝始めた。  そんな人から、暗くなりはじめた午後7時以降もおしゃべりする人たちに苦情が出た。 明日の長距離コースと待望の「トムラウシ山」登山の興奮で直ぐには寝付けなかった。 

『スライドショー』は下記をクリックするとご覧に慣れますが、予め下記の[Shockwave.com]にアクセスして無償ソフトをPCにインストールしてから御覧下さい。『Shockwave.com』の無償ソフト : http://jp.shockwave.com/photojam/eula.html

大雪山縦走:第4日目スライドショー
【第1部:白雲岳避難小屋〜忠別沼】  
【第2部:忠別岳〜ヒサゴ沼避難小屋】