大雪山縦走(第9/9編):トムラウシ山(2,141M)    【トムラウシ山・山頂〜トムラウシ温泉】
 
第5日目(4泊5日)<第2部>
登山年月日 平成13年7月19日(木)   晴〜曇〜小雨
メンバー 殿川紘史  (単独行)
主要コース  ヒサゴ沼避難小屋(5:10)ー>(5:45)化雲岳分岐ー>(6:15)天沼(6:25)ー>()日本庭園ー>ロックガーデンー>(8:30)北沼分岐ー>(9:00)トムラウシ山山頂(10:10)ーー>(10:35)トムラウシ分岐ー>(11:15)トムラウシ公園(11:20)ー>(12:00)前トム平(12:05)ー>(14:40)カムイ天上(14:10)ー>(15:30)温泉コース分岐ー>(15:50)トムラウシ短縮コース登山口駐車場(16:10)ー><ハイカーの車に同乗>−>(16:30)国民宿舎東大雪荘(泊)
所要時間 合計=11時間20分  <AM5:10−PM4:30>

    縦走ルート地図: 【トムラウシ山・山頂〜トムラウシ温泉】

トムラウシ山頂:シマリス

ヒオドシタテハ

大雪山縦走:第5日目(4泊5日) 【第1部】 【第2部】に分割
スライドショー:
【第1部:ヒサゴ沼避難小屋〜トムラウシ山頂】 【第2部:トムラウシ山頂〜トムラウシ温泉】

大雪山縦走:第5日目<第2部>  
【 トムラウシ山・山頂〜トムラウシ温泉 】

午前9時丁度にガスに見え隠れするトムラウシ山山頂に到着した。 まだ20キロに近い荷物を背にしての登山はスピードが上がらない。ヤットの思いで到着。 途中、30分以上の写真撮影でのタイムロスを入れても<ヒサゴ沼〜山頂>の標準時間=2時間50分に対して「3時間50分」は「1時間のオーバー」だ。 空腹を感じるので「生ハムサンド」を「コーヒー」で流し込もうとするも、5日間で一番食欲が少ないこと気づく。 蓄積した疲労かも知れない。 山頂からの360度の展望を期待したが、期待はずれ・・・・。 早朝の6-7時頃にはきっと可能だったであろう。 誠に残念だ。  特に山頂から南西方面=「オプタテシケ山」・「十勝岳」・「富良野岳」方面の展望を期待したのだが・・・・。 他の方向もドンドン視界が利かなくなって来た。 昨夜ヒサゴ沼避難小屋の会話で「疲労が多いからトムラウシ山登山」しないで「化雲岳ー>天人峡」に下山しようと相談していた「60歳半ばの中高年男性」が「酷い疲労」で弱りきっていた。 パートナーが強引に登山させたようだ。 まだ5−6時間の長い行程がある「トムラウシ温泉」への下山など「日没時間」を考慮すれば不可能に近い。 「唯一のミカン」を分けてあげ、他の登山者が飲んでいた「蜂蜜の提供」を頼み彼に差し上げたが元気をだして無事下山出来るとは考えにくい。  パートナーはヤット頂上に到着したばかりのその登山者(=パートナー)に「もう下山するから支度を急げ」と激を飛ばしていたので、お節介だが「パートナーを無事下山させるのは貴方の責任」「もっと休養させて下山ルートを検討=変更」すう様に諌めた。 酷いパートナーもいるものだ。 登山者が10名以上になった頃、岩陰で休憩中に「シマリス」が登山者の「食いこぼし=餌」を求めて激しく動き始めた。 素早くフォーカスを合わせて「3枚」撮影後、岩の中に逃げられた。  側の男性が携帯電話で「トムラウシ温泉:東大雪国j民宿舎」へ通じて、予約出来たとの話に直ぐ電話。 幸運にも感度は弱いが会話出来て今夜の食事と宿泊の予約が出来て唯一の心配が消えた。 合計1時間10分滞在して下山開始。 山頂からトムラウシ温泉方面のルートは急傾斜の下りから始まる。 100mも下ると山頂直下部の「南沼キャンプ地」も良く見え出した。 

トムラウシ山頂上標識 山頂で挨拶に現れたシマリス3態 ガス越しに見える山頂直下の雪渓
ガスで見え隠れする石狩岳方面
トムラウシ北東部 旭岳方面の視界も徐々に悪化
約1時間30分で「トムラウシ公園」のお花畑に到着。 付近一帯は「残雪のある池=沼」が散在し、至る所に、「チングルマ」「エゾコザクラ」
「エゾノツガザクラ」白い花の「アオノツガザクラ」等の高山植物の宝庫だ。 3-4人の登山者が「ラーメン」を昼食に料理中だった。 この公園
の中心部の「三角形の岩山」は特徴があり写真撮影の中心になった。  
トムラウシ山の他のピーク   トムラウシ公園方面の岩山 山頂南部直下部
岩山と高山植物 エゾノツガザクラとチングルマ
        トムラウシ公園のお花畑                 チングルマとウツギ
キバナシャクナゲとチングルマ チングルマ・エゾノツガザクラ・ミヤマキンポウゲ 三角形の岩山
トムラウシ温泉からの登山者  山頂部から前トム平へのルートとお花畑・池
 
トムラウシ公園を過ぎて石ころ・岩ばかりの急坂を登る途中で下の写真の「黒い亀岩」が現れた。 一度「亀」と認識するとよくも自然に出来たものだと関心した。  別に「名前の付いた岩」否か不明。 小生の故郷の海岸に「猿岩」と呼ばれる【巨大な岩」がある。 其の岩は
ある方向から見ると「日本猿の横顔」に【極似している。   厳しい急坂を上りきると「前トム」の標識が現れた。 此処で大休止しよう。
目の前に「チシマキンレイカ」の花を眺めていたら鮮やかな色の「ヒオドシタテハ」が舞い降りて「花の蜜」を吸い始めた。  首に掛けたカメラを握り「緊張の一瞬」を味わった。 2−3枚撮影したら「別の花」に飛び去った。 其の標識の側に大きい株の「チシマギキヨウ」はあった。 これは逃げないで、落ち着いて撮影。 辺りをよく見ると処々に見事な株が散在していた。   
亀に極似した黒い岩 前トムのガレバ地帯 チシマギキョウ
チシマギキョウ群生地:前トム平周辺 イワブクロ
チシマギンレイカにとまるヒオドシタテハ チシマギキョウ エゾツツジ
「コマドリ沢」を渡る直前の大きい岩石帯で再度休憩。 疲労よりも給水不足に気づき砂糖を混入して500CCも一気に飲んだ。 高校生6−7人のグループが来て、暫く休憩してすぐ出発した。 この沢を渡るには「長い雪渓」があり、スリップし易い勾配に気を配りストック併用で下る。 雪渓の末端部はかなりの水量があり、濡れずに沢を渡れなかった。 雨が降れば、「急激な増水に注意」の看板がある。
<小生が下山した約1週間後の雨で増水し登山者が流されて死亡の記事を読んでビックリした。>
沢沿いに「渡渉」を繰り返しながら高度を下げていく。  平地に近いところで「サンカヨウ」の群落にで会った。 大きい葉の付け根部分に花の茎が出ている初めての高山植物だった。 純白だが「日陰」に咲いていて、撮影条件はすこぶる悪かった。 三脚代用のストックにカメラを持たせかけて「高感度設定=ISO 800」に変更して細心の注意で「ぶれ防止」に努めた。  次に「カラマツソウ」が現れた。 
サンカヨウの接写
サンカヨウ カラマツソウ
「コマドリ沢」を離れて熊笹の茂る起伏の多い泥濘の酷いルートを1時間以上進んだ。 ガイドブックに記載されていたが「読む」のと「歩く」
のとは大違いで、休憩したくてもザックを下ろす場所がない泥濘の連続。  しかも「下山路」通過しているのに、頻繁に登り道が現れて幾度も愕然とした。 段々「スタミナ切れ」を感じはじめた。  「カムイ天上」なるすばらしい所(語感による推定)は幾ら進んでも現れない。 実に「トムラウシ山頂」をでてから「4時時間30分」もかかって「カムイ天上」に出た。 平坦で腰をおろすスペースもあった。  5分くらい休憩した頃、「品の良い中高年のご夫婦」が下山して来た。 東京から来たと言っていたが、昨夜は「トムラウシ温泉キャンプサイト」でテント泊して今朝4時出発の「ピストン登山」だという。 若い頃からの登山趣味とはいえ「奥さんのタフネス」に関心した。 確かに「日帰り登山」は軽いが、「往復標準時間= 時間」をこなして、割りに元気そうだった。 雨が降る始めたが暑いので、「カメラ」にポリエチレンのカバーを掛けて、雨具を着ないでアンダーシャツのままで歩行する事にした。  
タカネスミレ ミヤマキンポウゲ アズマシャクナゲ 色付いたナナカマドの葉
「トムラウシ温泉短縮登山コース」登山口に車があると聞いて同乗を懇願したら「気持ち良くOK」を得た。 「カムイ天上」からはずっと下りだが、平坦地は必ず「半端でない泥濘」の連続でだった。 相前後しながら登山の楽しみや他の趣味。旅行経験等の話を続けながら悪路を下る。 40分の悪路の末、「温泉コース分岐」点到着。 此処からは非常に道も整備されて歩き易い。  分岐点から15分弱で駐車場茶着。  雨の勢いも強くなりそうだ。  到着したら「遭難者発生」の声が聞こえた。 先に下山した人が「山頂でバテた中高年男性」の件を通報したらしい。 親友・登山クラブの同僚が心配して出迎えに来たらしいが、自分の下山路の難航を思い出し「明るいうちの下山」には大きい疑問だけ述べて情報を提供した。  車に同乗の準備の約10分間で「雨の勢い」はいよいよ強くなり、雨具無の歩行は困難のレベルになった。 車で20-30分間乗車でぃて、今夜の宿舎は「東大雪国民宿舎」に到着。   丁重にお礼を述べて分かれたが、夕食時の「食堂」で会い、「特別室」の予約が取れたと喜んでいた。  汚れた登山靴・スパッツを流水で洗濯後チェック・インした。  「大部屋でのごろ寝・2食付き」で¥6,500は大変有り難い。 其れこそ1ヶ月以上、布団で休んでいないので布団を触りながら懐かしく感じた。  風呂に20−30分間も浸かり、「4泊5日」の疲労と汚れを立派な温泉で流す事が出来た。  風呂の中で「延べ5日間」の出来事を思い出しながら、念願がかなっての「4泊5日の縦走」を再度味わって、成就感に浸った。  夕食の美味しい事は例えようもない。 2−3盃のお替をして全部のオカズを食べた。 お茶を何盃飲んでも喉を通過する。 体内の水分濃度が余程低下していたらしい。
夕食後、大部屋の戻り、同宿者数十人が車座で話し始めた輪に当然加入した。  30歳前後の夫婦が明日の「トムラウシ山登山」で「日本百名山」登山を成就すると張り切って、大段幕に「平成12年7月20日:日本百名山登山達成」と書き込んでいたが、雨の音を聞きつつ
大変な最後の登山」を気の毒に思った。 隣に布団を敷いた「東京の牧野さん」が明日、「新得駅まで同乗しませんか」との申し出に、直ぐ「お願いします」と返事。 彼の予定時間も「朝6時出発」とのことで、「朝食ー>弁当」に変更した。  何時の間にかお茶べりながら熟睡に入ったようだ。  

大雪山縦走:第5日目<第1部>へのリンク

7月20日:車回収
<トムラウシ温泉〜層雲峡駐車場>

明朝5時目覚めまで知らなかった。  「目覚め薬」として「朝風呂」に入った。 「牧野さん」の車で「JR新得駅」まで送って貰う。 丁重にお礼して「室蘭港」までのドライブ中の飲み物等を差し上げた。 以下の行程でキャンピングカー駐車場に午後3時前に到着。 
 
 【 全体行程と時間は以下の通り 】
6:00 東大雪国民宿舎スタート(牧野氏の車同乗)ー>(7:10)新得駅着(7:58)ー>(9:45)富良野駅(10:08)ー>(11:15)旭川(12:40)ー>(13:50)上川駅(13:54)<バス>−>(14:50)層雲狭駐車場

            」