十勝岳〜美瑛岳縦走
(2,077m)(2,052m)

○ 登山年月日 平成13年7月14日  快晴
○ メンバー 殿川紘史  (単独行)
○ 主要ルート  望岳台(5:25)ー>雲の平分岐()ー>(6:05)十勝岳・美瑛岳分岐ー>(6:15)十勝岳避難小屋()ー>(7:35)昭和噴火口(8:00)ー>(8:40)頂上直下部(8:50)ー>(9:05)上ホロカメットク分岐−>(9:15)十勝岳山頂(2,077M)(10:00)ー>(10:20)平ヶ岳ー>(10:35)鋸岳ー>(11:45)美瑛富士分岐()ー>(12:00)美瑛岳(2,052M)(12:45)ー>(12:55)美瑛岳・美瑛富士分岐ー>(13:25)美瑛富士裾野分岐ー>(14:15)美瑛岳分岐ー>(15:00)休憩点(15:05)ー>(16:00)雲の平分岐ー>(16:50)望岳台(登山口)(17:50)ー>(18:00)吹上温泉(18:30)−>(18:40)望岳台駐車場
○ 所要時間 合計=11時間25分  <AM5:25−PM4:59>

      縦走ルート地図: 【十勝岳〜美瑛岳】

十勝岳:富良野岳方面

美瑛岳:十勝岳登山道

スライドショー:十勝岳・美瑛岳縦走<第1編第2編第3編第4編>末尾参照

午前4時起床。 もう外は明るい。 気にしていた天候は今日も快晴の様だ。 10分後の4時30分にはカメラ片手に朝日の写真撮影開始。 十勝岳・美瑛岳の方角から陽が上がる様だ。 左から美瑛富士・美瑛岳、中央に十勝岳、少し離れた右端に富良野岳が配し、左の2つの山の頂上部に「レンズ雲」が掛りそれに陽光があたり始める直前だった。 30秒もたたぬ中にドンドンその様子が変化。 立て続けに撮影した抜粋が下記の写真である。 美瑛富士・美瑛岳の「レンズ雲」・富良野岳からは放射状の雲に陽光が当たり後光がさしたようだ。 中央部の十勝岳の頂上下部の噴火口からの蒸気が雲になり其処に日が当たり始めて色付いている。 美瑛富士の更に左は山が低く少しつつ朝日が上がり、朝焼けの色合いだ。  最後に「美瑛富士の山頂のレンズ雲」がとても神秘的に見えた。 この間20分でハイライトシーンは終了し、急いで車に戻り、朝食準備。 「握りメシ(2個)」・「味噌汁」最後に 「コーヒー」朝食。 5時10分に朝食を終えて出発準備にかかった。

     
左から美瑛富士・美瑛岳   最も右の富良野岳                  <美瑛富士のレンズ雲>       
十勝岳の噴煙 更に右方向の朝日 クローズアップ 美瑛富士のレンズ雲
まだ太陽が十勝岳に隠れた頃の5時25分出発。  天空は既に真っ青の快晴で白い雲とのコントラストがはっきりしている。 間もなく今日最初の花は「イソツツジ」「XXXX」それに写真の「キンロバイ」で、早朝・日陰での撮影は予想よりも暗い。 雲ノ平(美瑛岳との分岐)のだらだらの坂道を登ること50分で、十勝岳避難小屋で休憩中の一人のハイカーに会う。 小休止して振り返れば富良野平野は既に朝日に照らされているが、雲海があたりを覆っている。 沢には残雪もかなりある。 急坂を過ぎると眼前の視界が開けた。 此処で5分間休憩。 標識と共に、左の雲の切れ間から「美瑛岳の険しい崖が迫り、正面には、左最奥部に三角形の十勝岳、その右下に「昭和噴火口の噴煙」が上がる。 背後には雲海の間から「広大な牧場:白金模範牧場?」が見えた。 雲は太陽光線と共にドンドン消えて視界が良くなったが十勝岳と美瑛岳の谷間から雲が湧き上がり「山の黒と雲の白」で立体感が出て、写真撮影には大変好都合だ。  
                
十勝岳上空の雲 キンロバイ 望岳台方面
十勝岳と侵食    標識と美瑛岳         白金模範牧場
小さい砂利の歩き易いルートは砂漠の中の道のようだ。 ハイカーの踏み固めた小道だけが辺りの砂利より白く見える。  ゆっくりとうねるようにその道が「昭和噴火口」のほうに延びる。  8時に噴火口をやや過ぎ、十勝岳の急坂直下部で撮影を兼ねて休憩。  辺りは固まったように見える火山灰が、雨で侵食され1−2mの深い溝を作り、これがやがて「侵食谷」に進化する様子が見本のように存在する。 その侵食の形と規則性が面白い。 その谷部分には川の如き残雪の白が周囲の黒と際立つて写真にはアクセントになる。
     十勝岳ルート       美瑛岳  
昭和火口の噴煙           残雪のパターン
25分間も時間をかけて周囲、特に「昭和噴火口」方面に注意して近づき撮影。 勿論立ち入り禁止だ。 8時25分、左手に見えた美瑛岳も後に下がり、いよいよ最後の急坂にかかる。 狭いルートを外れると脆い火山灰の稜線は崩れやすい。  写真撮影は数十秒単位の休憩に相当するが、其の時間を合計すれば、かなりスローペースの登山になる。 後から2人の中年夫妻が追うように登ってくる。 8時40分、「上ホロカメットク分岐」で急坂が一段落する。 一息入れて、最後の一登りで頂上が目の前だ。 周囲の山々の間には雲海が動く。 
10分も休んで(撮影して)、9時15分に十勝岳山頂(2,077m)に到着。 

     

    

     
                 最後の十勝岳への急坂の展望
山頂には、先ほど先行した中年ご夫妻を入れて4−5人だけのハイカーで余り広くない山頂も騒がしくない。 二人の写真を撮影したが、自分の記念写真撮影を依頼するのを忘れてしまった。  雲海で美瑛岳は山頂部が隠れていたが、360度の大展望だ。 これから向かう美瑛岳へのルートがはっきりとなだらかな砂礫の中に伸び、ピークの目立たない「平岳」・「鋸岳」を縫うように2-3人の先行したハイカーの姿も見える。 右奥に続く山々は「美瑛富士(1,888m)」・「石垣山(1,822m)」・「ベベツ岳(1,860m)」に続いて「オプタテシケ山(2.013m)」更に霞むように大雪の秘境「トムラウシ山(2,141m)」に続く。 トムラウシ山は16日以降の5日間の「大雪山縦走コース」の最後の山だ。 南西方向は雲が無く、昨日登山した「上ホロカメットク山(1,920m)」・「上富良野岳(1,893m)」、更に伸びて「三峰山(1,866m)」、高山植物の宝庫「富良野岳(1,912m)」、綺麗な正三角形よりの鋭角にとがる「前富良野岳(1,625m)」と続く。 キャンピングカーで料理した「おにぎり」と「コーヒー」を沸かして昼食。 太陽光線はかなりきつい。 45分経過後の10時ジャストに出発。

    
        十勝岳ー>美瑛岳へのルート   
「平岳」と「鋸岳」に囲まれた稜線の左の旧火口内は荒涼とした砂漠で其の中の残雪のパターンが美しい。  高山でしか味わえぬ風景に見とれ写真撮影で時間をロスして、後から頂上に来た別の中年夫妻が追ってきた。 「鋸様の鋭い歯」を旧火口に持つ「鋸岳」を下るルートは深い火山灰で「富士山の砂走り」の様で、一歩で3歩くらい進む。 此処を上りに使うと大変だ。 その中年夫妻をモデルに10数枚を撮影。 広大な地形では、人物は其のスケールの対比に好都合。 まだ何の植物も育たない火山灰地を過ぎ上りにかかると初めて植物が生え始めた所に来た。 学名は思い出せないが「円形状の植物相」が転々とありその周辺の「瓦礫部分」だ。 その植物は「イワブクロ」で薄紫色の花をつけ始めていた。 この植物が砂礫地のパイオニヤー的植物なのだろうか??
鋸岳とその稜線          
  休火口内の残雪    鋸岳を下る イワブクロの群生地
イワブクロの花              富良野岳 
 美瑛岳の北東の上空には発達中の「積乱雲」が真っ青な空に沸き上がり、更に上空の刷毛上の雲を隠していく。 上を見れば綺麗な空と雲、 中間部は大雪の山々、下を見れば、十勝岳と美瑛岳を隔てる「深い谷」の険しい岩場・ハイマツ帯・点在する真っ白の残雪と其の形で、立ち止まるともう前進を忘れさせる光景の連続だ。 
十勝岳   チングルマ        富良野岳方面 
緑・白のパターン エゾコザクラ 美瑛岳側から見る十勝岳側の谷間
               
富良野岳の近くにありながら極端に少ない十勝岳を過ぎ美瑛岳の直下部まで来ると高山植物の「イワブクロ」の次に「チングルマ」「エゾコザクラ」「エゾツガザクラ」それに「タテヤマリンドウ」「キバナシャクナゲ」が少し見られたに過ぎない。 頂上までの急坂を登り、4−5人のハイカーがいた「美瑛岳」山頂に、12時に到着。 十勝岳から丁度2時間かかった。 標準時間「2時間45分」はかなりスローペースの数字だ。 此処の展望は、午後の時間帯で雲の発生で十勝岳の頂上は召せて呉れなかったが、背後=北東部に見下ろす「美瑛富士」が頂上の火口部も雲の間から見え隠れする。 3番目の山「オプタテシケ山」は見えないが「石垣山」と「ベベツ岳」は5合目以上は雲の中だ。
エゾノツガザクラ タテヤマリンドウ    
            
美瑛岳山頂からの展望:   トムラウシ山方面          十勝岳〜美瑛岳の谷間           美瑛富士
此処の展望は、午後の時間帯で雲の発生で十勝岳の頂上は召せて呉れなかったが、背後=北東部に見下ろす「美瑛富士」が頂上の火口部も雲の間から見え隠れする。 3番目の山「オプタテシケ山」は見えないが「石垣山」と「ベベツ岳」の5合目以上は雲で見え隠れする。 十勝岳と美瑛岳の谷間からは雲が湧き上がり鋭角の稜線が浮き上がって見える。 特に谷間の険しい岩場の赤茶色・植物の緑・雪渓の白の三色の組み合わせは兎に角派手に見える。  これが動く雲で見え隠れする様は幾ら見ても見飽きる事はない。 12時45分に
下山開始。 美瑛岳分岐のルートを取らず、一旦美瑛富士分岐(トムラウシ方面・十勝岳・美瑛岳の分岐点)まで行き美瑛富士の麓を左折して美瑛岳分岐に行く回り道を選択した。 このコースには高山植物が少しい多い為と素晴らしい高原気分を味わいながらより長時間歩きたいからだった。 美瑛富士避難小屋はこの分岐点から30分もトムラウシ山方面のようだ。  

      

     
美瑛岳からの展望:            美瑛富士と石垣山(右) 美瑛富士分岐周辺
鋭角に左折して直ぐから、視界の利かない、歩きにくいハイマツ帯になった。 其処を抜けると「チングルマ」「ウコンヌツギ」「キバナシャクナゲ」「エゾウサギキク」等の花が咲く地域が美瑛岳分岐点まで続いた。
チングルマの花と実     ウコンウツギ         キバナシャクナゲ 

      

      
エゾウサギキク チングルマ ワタスゲの花 ウコンウツギの機
美瑛岳からのショートカットルートと合流後から急坂の下りで、木の根・熊笹・岩場と沢の繰り返しで、予想外に険しい下山路に閉口した。 このルートを雨後に美瑛岳まで登れば、大変な苦行だろう。  「ポンピ沢」は深く、今回は残雪で渡渉は楽だったが、秋には大変だろう。 次の沢は沢伝いに冷気が下り、長い雪渓に沿ってガスが漂っていた。 でも其処を過ぎると「エゾコザクラ」「チングルマ」「イワブクロ」の群落に出会った。  

      
狭いが深い沢の残雪 エゾコザクラ イワブクロ
ヤット歩き易いルートに出た付近で、先行する一人の男性の合流し、おしゃべりしながらの下山となった。 富良野市内在住で頻繁にこの山を登ると言った。 美瑛の麓と違い、十勝岳に近づくと、荒地=石ころ増え植相も変った。 「イソツツジ」が辺りに増えてきた。  目の前に登山口の「望岳台」が見えるが中々近づかない。  少しずつ足に疲労感が感じられる。 側の男性も同様だと言う。 そこで15分休息。  雲ノ平分岐から十勝岳避難小屋は直ぐ近い。  十勝岳を振り返ると夕陽に照らされて赤みを帯びて見える。 16時50分に駐車場到着。 多くの観光客(ハイカーではない)が、「望岳台展望台」に群がり、夕陽に輝く「十勝岳」の山々を見上げていた。 朝の景色と異なり、また素晴らしい眺めだ。 噴煙と雲が青空に浮かび、黒々とした山々に支えられたようにさえ見える。  風も無く、噴煙は真上に昇る。
十勝岳避難小屋 イソツツジの群落 十勝岳を見上げれば・・・
美瑛富士・美瑛岳 十勝岳と噴煙 望岳台展望台の看板と其の展望   
                          
雲で陰になった十勝岳 十勝岳昭和火口の噴煙    噴煙は陰・上空の雲の色違い
                         
丁度1時間車内で休息後、17時50分に「吹上温泉」(露天風呂)に入浴に向かう。 昨日よりも大勢のハイカーや観光客が入浴していた。 幸いにも今日は先に来た人が湯加減を調節したのか熱すぎることはなく気持ちよく入浴・中断を繰り返した。 ビールを勧める人もいたが、小生は持参した「コカコーラ」を飲みながら、登山・旅行談義に参加した。 若いカップル・子供ずれ・独身女性等「男女混浴」だが、皆其の意識が過剰に感じられないのは大変素晴らしかった。 12日13日に続いて、3日連続の「無料露天風呂」に満足して、長風呂を楽しむ使徒達と分かれた。 望岳台の夕陽を撮影する為だ。 日没に近い18時40分に駐車場帰着。 すぐカメラと三脚をだして撮影開始。 明日からの天気は下り坂のため、地平線付近は雲が多い。  完全に陽が落ちる前に雲に隠れたが昨日とはまた異なった夕焼けを楽しんだ。 
                          日没までの20分間の変化
           最後は厚い雲の中に日没
19時に車内に戻り、夕食準備にかかる。  20時に全て終了して、本日の写真をPCに移して「スライドショー」で約300枚を2回レビューして11時間の登山を思い出した。 今日も天候に感謝したい。 21時に消灯して就寝。  明日からのスケジュールは明日にしよう!!

『スライドショー』は下記をクリックするとご覧に慣れますが、予め下記の[Shockwave.com]にアクセスして無償ソフトをPCにインストールしてから御覧下さい。
『Shockwave.com』の無償ソフト :  http://jp.shockwave.com/photojam/eula.html

【スライドショー:十勝岳〜美瑛岳縦走】   
 
  1. 十勝岳登山:望岳台(朝焼け)ー>十勝岳・八合目付近(新火口):81枚

  2・ 十勝岳・八合目ー>十勝岳頂上・展望ー>鋸岳付近:78枚

  3・ 十勝岳(鋸岳付近)−>美瑛岳山頂・展望:87枚

  4・ 
美瑛岳下山路ー>望岳台(登山口)・夕焼け:76枚