両神山(1,723m)八丁尾根ルート
<上落合橋〜西岳〜東岳〜両神山:往復>

登山年月日 平成15年6月3日(火) 快晴
メンバー 殿川紘史  福川正勝
主要ルート 【6/2】宇都宮・自宅(18:30)−>#50−>#16−>#140−>(22:50)道の駅「大滝温泉」(23:15)<車中泊>
【6/3】道の駅「大滝温泉」(5:55)ー>(6:55)八丁峠・上落合橋(7:55)ー>(8:30)小休止@(8:35)ー>(8:55)八丁峠<1480m)(9:05)−>(10:05)西岳ー>(10:50)小休止A(10:55)ー>(11:20)東峰(11:30)ー>(12:05)両神山(1,723m)(13:15)ー>(13:45)東峰(13:50)ー>(14:35)西峰(14:45)−>(15:30)八丁峠(15:35)ー>(16:05)上落合橋・駐車場(16:30)ー><中津川林道経由>ー>(17:45)三国峠<1,740m>(17:55)−>(18:40)<甲武士岳登山口:毛木平駐車場><車中泊>
所要時間 登山時間=9時間10分<AM7:55-PM4:05>
総時間=12時間45分  <AM5:55−PM6:40>   
総歩数=20,300歩


           <両神山山頂>


両神山登山:八丁尾根ルートマップ
スライドショー:両神山登山記録<八丁尾根往復>

【日本百名山:両神山の概要】
奥秩父に位置して、普通の山の形態とは大きく異なり、岩乗な岩の砦がギザギザした頂稜の一線は引いているが左右はブッ切れており、あたかも巨大な四角い岩のブロックが空中に突き刺さっているような、一種怪奇なさまを呈している。・・・と深田久弥が「日本百名山」に両神山の紹介を書いている。 その両神山は、「イザナギ・イザナミの両神を祀ってあるところからその名が来たと伝えられている。  
この山への登山ルートは東西南北から次の4つがある。
@<東>:民宿両神山荘〜<産泰尾根>〜清滝小屋〜剣が峰(頂上)(所要時間:3時間30分) 
A<南>:諏訪神社〜白井差峠〜梵天の頭〜大峠〜ミヨシ岩〜剣が峰(頂上)(所要時間:5時間50分) 
B<北>:坂本〜八丁峠〜西岳〜東岳〜前東岳〜剣が峰(頂上)(所要時間:5時間)
C<西>:上落合橋〜八丁峠〜西岳〜東岳〜前東岳〜剣が峰(頂上)(所要時間:3時間20分)
=>最短時間

【最短時間】=3時間20分のCのコース<八丁尾根コース>を上落合橋から登山するコースを選んだ。 

【6/2】 日中に約1週間分の登山関連食料を調達し早い夕食を6時過ぎに済ませ、宇都宮・自宅を出て、今回の山行に同行する「福川邸」に立ち寄る。 装備と彼を乗せて一路、奥秩父方面へ。 栃木市を経て#50−>#140−>秩父市ー>「道の駅:大滝温泉」(車中泊)。 国道#140の下に作られた駐車場に22時50分到着。 明日はここを出て登山口の「上落合橋」まで<三峰中津川停車場線>を辿る長いアプローチがある。
【6/3】 昨夜国道を走るトラックの騒音で浅い睡眠になった。 5時30分起床。 朝食は登山口到着後として直ぐ出発。 国道#140号から<三峰中津川停車線>の入口を見過ごし、また戻って細い舗装道路に入る。 此れが地図上では#120号だったが、2回迷ってヤット確信出来る走行を開始。 中津川渓谷に沿って奥地に入り、「出合」で右折して「中津川」と分かれた「神流川」沿いの狭い舗装道をまた確信が無く走る。 素掘り状態の狭い「雁掛トンネル」を抜けても目的地らしき所に辿り付かなかった。 「日窒鉱業」の標識を見て正しいルートを悟る。 「赤岩橋」で急カーブを切って急坂になり「上落合橋」の急カーブの空き地に駐車、6時55分到着。

 車道から直接登山口になり「木製梯子」と「登山注意看板」が有った。 国道からのアプローチの長さと道路情報不足が余計に運転の不安を斯き立てた。 朝食を車内で作りゆっくり食べて午前7時55分快晴の天気を味方に出発。 この「八丁尾根ルート」は最短時間だと知って選択したが「登山口の看板」は<一般ルートでなく、鎖場の連続で危険が多い>との注意書きを見て、「内心シマッタ」と感じたが、福川さんには感じられない様に気遣った。 
6−7mの梯子で登山道へ、行き成りの急坂が始まった。 右に左に折れ曲がる細いルートが続いた。 途中の樹林帯の日当たりの良いところで、「ヒメクワガタ」の群落を見て二人揃って地面に這いつくばって、クローズアップ写真を撮る。 出発30分後に標識で休憩@。 中々の急坂で呼吸が乱れた。 8時55分「八丁峠」標識に到着。 高度:1480m。 山頂までのやせ尾根の通過注意事項や周辺の状況が詳しく記載されていて、大変役立った。 休憩A10分。 木々の間から八丁トンネルの北斜面方面が展望できた。 この峠を過ぎると直ぐに「鎖場」が幾つもあって気が抜けない。 木々の間から西方の険しい稜線が見える。 「ムラサキヤシオツツジ」が開花している所は幾つもあった。 


八丁尾根コース登山口   ヒメクワガタ 八丁峠付近から西方へ  岩場の鎖場   ムラサキヤシオツツジ


此れほどの急斜面を通過するルートの予想は無く、今までの登山では最も多い岩場が連続的に続いたが、その岩場は浮石の様な不安定な所は無かった。 長い鎖は10mを優に超えた。 先行して後を振り向くとその傾斜や周辺の状況が良く判った。 兎に角変化に富んだルートでとても面白いが疲労は距離の割には多かった。 鎖約10本位を過ぎて 「行蔵峠」標識点に立った。 10時着。 高度=1580m。 相当に登ったがまた直ぐ急傾斜の岩場を下りる繰り返しで、八丁峠との高度差はたった100m・距離は0・7Kだけで少々ガッカリ。 頂上までは1.9Kの距離で近いが稜線からは「両神山山頂」は全く見えない。 西方と北方向は特に見晴は良い。 稜線部の木々は新緑に近い色だ。 八丁トンネルを抜けた未舗装の林道が険しい斜面を九折れて緑の樹林帯に見える。 

ヤシオツツジの葉 長い急坂の下り   頂点      鎖場の登り ムラサキヤシオツツジ  新緑の山
一服の休憩 九折れ坂:林道 鎖場の下り急坂 西方の見事な展望 怖い急降下

最初の峠=「行蔵峠」を過ぎて間もなく「西岳」に10時5分過ぎに到着。 5分程度休憩後、この先に見える「東岳」を目指したが、かなり急降下して直ぐ急坂を登って到達出来る様だ。 一段と厳しい鎖場の連続であった。 10時50分、小休止Bと共に「軽食」(チョコ・センベイ・水)。 11時前に「東岳」を目指して再スタート。 

行蔵峠の標識:鎖場連続の注意 振り返る見事な景色 西岳標識 繰り返す小ピーク

一段と厳しい岩場が急降下するルートは数十メートル間隔で続いた。 「八丁峠」〜「行蔵峠」・「西岳」の間もその厳しさに驚いたが、「西峰」〜「東岳」の間は更に深く厳しい降下が続いた。 途中の小さい鞍部に「赤い屋根の小さい祠」があった。 

岩場の新緑      鎖場の連続      ヤシオツツジ   鎖での急降下 鞍部の小さい祠

容赦の無い鎖場が未だ続いた。 登ったと思ったらそれ以上の降下に気がなえるのか、福川さんも大きい岩に座り込んだ。 最も長い岩場は数本の鎖が連続して30−40mに近かった。 尖った岩に立てば西方の峰々が遠く霞の中に薄くなっていった。 深田久弥の著書の表現は決して大袈裟でなかった。  

      西岳〜東岳間の厳しい上下登坂ルート          大きい岩での休憩 西方の急峻な稜線

11時20分「東岳」到着。 「西岳」から目の前に見えた「東岳」まで1時間10分も掛かった。 この西岳〜東岳の間に鎖の本数は「15本以上」だった。 最もキツイアップダウンだった。 後ろを振り返ると尖塔のように尖った「西岳」が見え、更に重なるように鋭い稜線が幾重にも重なり西方に伸びていく。 奥秩父の山々の広さと厳しさに改めて驚く。 10分休憩して1Kの距離と記された「両神山・山頂」を目指した。 その途中の「ヤシオツツジ」が幾度と無く稜線の木々の間から見えて疲労回復の妙薬になった。 

間もなく東岳 西岳の眺め 東岳標識 ヤシオツツジの葉と花

「東岳」標識に11時30分に別れて、1Kの距離の「両神山山頂」へと急いだ。 今までのルートの比べると非常になだらかな小道で2−3本の鎖場だけだった。 しばらく見通しの利かぬ樹林帯を過ぎると、待望した「山頂」に到着したが、其処の狭いことに一寸驚く。 12時丁度。 所要時間は休憩も入れて「3時間10分」で地図記載の標準時間=3時間20分」よりも50分間も遅かった。 手前に「方向盤」が有り360度に見える山名が沢山記入されていた。 その少し奥が最高点で何かの測量盤(木製)が設置されて実質的にはその人工物が最も高かった。 山頂高度=1,723m。

両神山山頂直前の展望      狭い両神山山頂と標識        満開のヤシオツツジ

その方向盤に記載の山々は【南:富士山・甲武師ヶ岳・国師岳・金峰山】【南西:三峰山・雲取山】【西:八ヶ岳連峰・蓼科山】【北:浅間山・妙義山・榛名山・赤城山】【東:釜伏山・遠くに筑波山】等々があった。 富士山は明らかに霞で視界の外だったが、展望の良さと岩場+鎖場の組み合わせの面白いさに満足した往路だった。 山頂の岩の間から満開の「ヤシオツツジ」我々を歓迎してくれた。 二人共に「昼食」は「カレーライス+味噌汁+コーヒー」で空腹を満たした。 其処へ一人づつの登山者が2組来たが方向は東方向の「清滝小屋」前日泊だった。 そのルートは距離は長いが、登山ルートとしては一番一般的だそうだ。 2人と周辺の山々の経験談を交わしながら、休憩をして、山頂滞在1時間10分後に、同じルートを戻り始めた。 登山者に頼んで「頂上脇の標識」で記念写真を撮ってもらった。 1時15分出発。
鎖場が多かったので、岐路に「鎖の数」をカウントした。 

山頂の祠と観測装置(右) 復路:樹林帯・北西方面・北東方面 西岳

岐路は景色の良い「西向き」。 13時45分:東岳着。 14時15分:東峰岳と西岳の鞍部。 14時35分:西岳着。 15時30分:八丁峠着。 山頂〜八丁峠までの間の鎖の本数は次の結果になった。
@山頂〜東岳:5本 A東岳〜鞍部<下り>:14本 B鞍部〜西岳<登り>:7本 C西岳〜八丁峠:10本 
合計本数=36本。 八丁峠に続く稜線上にある鋭い峰には登坂不可能に見えるものが幾つも見えた。 西に傾いた陽光の陰で一段と奥秩父の山の厳しさが目立った。 5分間八丁峠で休憩して駐車場に向けて下山開始。

西岳からの展望:西部・北西部(右) 最後の岩場と鎖 八丁峠北西方面

九折れ坂を繰り返しながら下り終えたのは16時05分。 福川さんは側の渓流で顔・手足を洗う。 休憩しながら果物(枇杷+スイカ)で生き返った。 16時30分、中津川林道経由で、明日の登山口「毛木平」を目指した。 
再度「雁掛トンネル」を通過し「出合」点で右折して「中津川林道」に入る。 ダートの道がドンドン悪路になり急な勾配・急カーブと緊張を求めるルートだ。 地図とカーナビのルートを照らしながらの運転で、17時45分ヤットで、この中津川林道の最高点「新三国峠」(1,740m)に到着。 此処は今日登山した「両神山(1,723m)」よりも高度的には上にある。 トイレもある。 標識によると「甲武師ヶ岳」に連なる「十文字峠」へのルートだった。 10分休憩して此れからは目的地の「毛木平」まで下るのみ。 小さな部落のコンビにで食料を調達して甲武師ヶ岳登山口の「毛木平」の小さい道に入ったとたんに工事中で高原野菜の畑の農道に回されて、狭い90度のカーブでは数回の切り返しでヤット通過出来た所も在った。 この一帯には「レタス」「サニーレタス」の小さい株が無数に植え込まれた畑が一面にあった。 6時20分頃日没直前の陽光が地面全体に張られた「ポリエチレンフイルム」に当たり、弱光線で見ると「黄金色」に輝いた。 急いで停車して、二人とも撮影に熱中。 登山口へ「日没前に到着したい目標」と「日没の写真撮影の誘惑」にどっち着かずの選択をして狭いダートを進み、暗くなる直前の18時40分に立派な舗装された広い駐車場に到着。

登山口帰着 三国峠標識 毛木平入り口の「レタス栽培畑」の残照(逆光線)と順光線(右)

既に20台余の登山者の車があった。 トイレ・給水施設も整備され、大勢のハイカーが来る登山口と教えてくれるようだ。 19時20分から夕食(定番のカレー+味噌汁+コーヒー)。 デザートは最後のスイカ。 今日は厳しい登山コースの前後は悪路=ダートのロングドライブで緊張が長かった一日だったが無事予定通りの行動は終わった。 21時頃就寝。