甲武信ヶ岳縦走
(2,475m)
< 毛木平〜<千曲川源流遊歩道>〜甲武信ヶ岳〜三宝山
   〜武信白岩山〜十文字峠〜五里観音〜毛木平 >


登山年月日 平成15年6月4日(水) 曇
メンバー 殿川紘史  福川正勝
主要ルート 【6・3】上落合橋(16:05)−><中津川林道経由>−>(17:45)三国峠(18:00)ー>(18:40)毛木平<車中泊>
【6.4】毛木平(5:40)−>十文字峠分岐ー>(6:40)小休止@(6:45)−>(7:40)小休止A(7:45)ー>(8:30)小休止B<果物>(8:40)ー>(9:10)千曲川源流表示塔(9:15)ー>(9:30)尾根分岐点<1325m>(9:35)ー>(10:00)甲武信ヶ岳山頂<2475m><昼食>(11:10)ー>(11:50)三宝山<2483m>(11:55)−>(12:35)尻岩ー>(12:55)小休止C(13:00)ー>(13:30)武信白岩山<2355m>ー>(13:55)大山(14:10)ー>(14:45)十文字小屋(14:55)ー><15時頃より小雨>ー>(16:00)毛木平駐車場<1466m>(16:30)ー><川上牧丘林道>−> (18:00)大弛峠<2370m><車中泊>
所要時間 登山=12時間40分 <AM5:40−PM4:00>
全体=12時間20分 <AM5:40−PM6:00>
総歩行数=32,700歩

  


  甲武信ヶ岳山頂からの富士山
甲武師ヶ岳縦走マツプ
スライドショー@:甲武信ヶ岳縦走<毛木平〜甲武信ヶ岳頂上>

スライドショーA:同上<甲武師ヶ岳〜三宝山〜武信白岩山〜十文字峠〜毛木平>

【日本百名山:甲武信ヶ岳の概要】
奥秩父にある日本百名山の「甲武信岳」(2475m)の山名は「甲州」「武州」「信州」の三国の継ぎに位置しているからその頭文字を取って「甲武信ヶ岳」とした。 山容には特徴は無いが、「千曲川」「荒川」「笛吹川」の源流が全部この「甲武信岳」から出ている。 千曲川は信濃川なり日本海に流れ、荒川は東京湾へ、笛吹川は富士川となって太平洋に注ぐ。
「登山ルート」
この山への登山ルートは東西南北の夫々からあり大きく分けると合計:5ルートある。
@<北>:毛木平〜<千曲川源流遊歩道>〜甲武信ヶ岳(約3時間50分)=>最短時間
          【下山】:山頂〜三宝山〜武信白岩山〜十文字峠〜毛木平
A<北>:毛木平〜十文字峠〜大山〜武信白岩山〜三宝山〜甲武信ヶ岳(6時間20分)
B<北>:新三国峠〜悪石〜<三国尾根>〜梓白岩〜弁慶岩〜十文字峠〜<A>〜甲武信ヶ岳(約7時間45分)
C<東>:雁坂峠〜東破風山〜西破風山〜木賊山〜甲武信ヶ岳()
D<西>:大弛峠〜国師ヶ岳〜東梓〜両門の頭〜富士見〜水師〜甲武信ヶ岳(約5時間55分)
E<南>:西沢渓谷入口〜<徳ちゃん新道>〜<戸渡尾根>〜木賊山〜甲武信ヶ岳(約6時間)
今回は最短時間で登山出来る<ルート@>を選択して、前夜「両神山:八丁尾根登山口」から「毛木平」駐車場に入り車中泊した。 <両神山登山:八丁尾根コース参照>

4時30分起床・洗面後、5時20分に朝食終了して、40分に毛木平駐車場を出発。 5時頃から出発した組もあり普通の時間だろう。 天気はすっきりせず雨の心配はなさそうだった。 10分程度で「十文字峠」方面との分岐を左に分けて
最も楽な「千曲川源流経由」のルートを取る。 樹林帯の道の左右にはイチゴらしい「白い花」、ピンクの「ベニバナイチヤクソウ」、白い花の「ズミ」、紫と黄色の「スミレ」、派手な「レンゲツツジ」等が咲いていた。 間もなく左手には千曲川源流から流れてくる渓流が緑の木々越しに見える幅の広い道路を進む。 流れに沿い曲がる道路端に「ヤシオツツジ」も何本も咲いていた。

シロバノヘビイチゴ ベニバナイチヤクソウ   レンゲツツジ 川沿いの新緑 西沢の渓流 ヤシオツツジ

この地点からは常に渓流を左・右に見ながら緩い登りのルートが始まった。 6月初旬だがこの地域は今が最高の新緑シーズンにさえ感じる。 見事な景色の連続で、福川氏も撮影に時間を掛けながらの歩行を続けた。 頭上の木には「繊細な花」がぶら下がっていた。 「オオツリバナ」らしい。 渓流の幅も狭まり、石・倒木の幹に付いた「鮮やかな緑の苔」が目立ち始めた。 左手の沢に緩い勾配の滝、「ナメ滝」が現れた。 赤茶けた岩・緑の苔・水の泡の白が美しい。

西沢の渓流 オオツリバナ 西沢上流:千曲川源流域 ナメ滝

樹林帯の木陰の岩には苔の間から白い花、「コミヤマカタバミ」が散在していた。 やや広がった沢に掛かる木製の丸太橋を渡ると、沢が右になり左手の樹林帯の隙間に,何やら白いものが散らばって見えた。 「ミツバオウレン」の群落だった。 草丈:10cm未満の可憐な花だが、あたりも暗く、最大感度=1600でも手ぶれを起こす様な条件だった。

コミヤマカタバミ 西沢の渓流沿いのルート ミツバオウレン コケが覆う源流域

いよいよ沢の幅も狭くなり、水量もドンドン減少し、苔蒸した溝に水が流れる様になり、湿原に近い状況になった頃、正面に塔が見えた。「信濃川・千曲川水源地標識」と刻まれていた。 9時10分、夫々その塔の側で記念撮影。 此処から右に直角に方向を変えて、急坂は始まった。 ジグザグに呼吸を乱す本日最初の登山道らしい急坂だ。 20分の登坂で「甲武信岳」に続く尾根に出た。 右手のピークは「水師(2396m)」らしい。 5分休憩して呼吸を整えて、左に折れて緩やかな稜線を辿る。 急なガレ場を高度差:約50mを登り始めると右手=南部方向の展望が良くなった。 南アルプス方面・富士山も見え出した。

西沢上流:コケに覆われた信濃川・千曲川源流域  最上流域  信濃川・千曲川源流標識  甲武信岳直下

AM10時丁度に「甲武信ヶ岳」山頂(2475m)に到着。 毛木平登山口から4時間20分も掛かった勘定だ。 どんよりとした天候だが視界はかなり良い。 先着の中年ご夫妻にお願いして、「日本百名山:甲武信岳」の石積の標識に登り記念写真を撮る。 少し離れてもう一つの標識があり、「山梨県100名山」と在った。 この地点からの展望は主として、西〜北方向だけであるが、「富士山」は一段と高い位置に5合目以下を雲海に隠しているがはっきりとみえたし、国師岳・金峰山方面の山並み越しに「南アルプス」が見えた。 その右には「八ヶ岳連峰」に続いて、「妙義山」らしき山影もある。

甲武信ヶ岳山頂標識 日本百名山標識    南方面の展望 富士山の望遠    国師・金峰・南アルプス

国師岳と金峰山の背後に見えるのは、「南アルプス」で「北岳・千丈岳・間ノ岳」等が判る。 その右方向=北西には「八ヶ岳連峰」、その右には「妙義山」の山影が確認できた。 一通り展望と山の同定後、標識側のベンチで風を避けながら「ライスカレー+味噌汁+コーヒー」の昼食を済ませた。 全く陽光はなく上空に僅かだが雲の濃淡が見える程度。
1時間10分、山頂に滞在して、11時10分に「三宝山」に向け出発した。

八ヶ岳連峰      北西方面
南アルプス望遠:北岳・間ノ岳・千丈岳方面 妙義岳方面

急坂を下ると直ぐ樹林帯に入り、狭いルートには残雪があり、スリップして歩行し難たかった。 至る所に倒木が散乱していた。 自然状態を保つ配慮だろう。 巨大な木が倒れ、木に寄りかかったままだ。 11時50分、「三宝山(2483m)」に到着。 山頂ははっきりしないくらい広いが、「1等3角点」がある。甲武信ヶ岳(2475m)よりも高いので驚いた。 写真撮影してそのまま「尻岩」方面に向かう。 なだらかな登りとなり、ルートの至る所に「木の根」の露出が目立った。

樹林帯の残雪   見事な倒木 三宝山頂の展望:甲武師ヶ岳と山頂標識 樹林帯の木の根

ルートの側には「巨大な倒木」が横たわり、大きい木の根が露出し、その生きた根にも沢山の苔が生えている。 12時35分に地図の「尻岩」に到着。 巨大な岩の中央に割れ目があり、よく見ると「人間の御尻」そっくりで、見事な命名だと感心した。 この標識から、目指す「十文字峠」と今下山した「甲武信ヶ岳」の丁度中間点で、夫々に約2.7キロの距離。

 三宝山〜尻岩間の景観:風倒木・苔むした樹林帯の縦走路・倒木のコケ     見事な命名:尻岩

尻岩〜武信白岩山間のルートは登ったり下ったりで大きい木の根が極端に露出した歩きにくいルートが続いた。12時35分に尻岩を立ち、10分で「武信白岩山」(2288m)直下部の急坂で呼吸調整で小休止。

尻岩上の樹木 尻岩〜武信白岩山間の景観: 露出した樹木の根伝いの変化に富んだ縦走路

巨大な岩山の手前の展望台?で再度休憩。 振り返ると「甲武信ヶ岳」と「三宝山」が重なるように見え、右手方向にはかなり下に雲が湧き上がっていた。 眼前には「武信白岩山」がそそり立つ。 13時25分に「武信白岩山」の側を通過。 大山まで1.1キロ、十文字峠まで2.2キロの距離表示。 

巨大な倒木  武信白岩山(2288m)付近の展望:甲武信ヶ岳・東方の沢の雲海・険しい武信白岩頂上部

苔むした倒木・露出した木の根のルートを下り前方が開けた「大山」に木梯子を上って、13時55分に到着。 岩の上に標識が有り、北西方向の視界が良かった。 岩場には「石楠花」が数株あり花を付けていた。

苔むした倒木 武信白岩山   東方稜線と石楠花 大山付近の縦走路  大山頂上の石楠花

西方の連なる稜線は「八ヶ岳連峰」だろう。 真北方面には「登山口」に近い農場(レタス栽培)の濃ビが光って見え、妙義山の複雑な頂の山影が確認できた。 14時10分、十文字峠目指して出発。 14時45分、ヤット十文字峠小屋に到着。 石楠花の花に囲まれた「赤い屋根の小さい小屋」だった。 あたりの石楠花は満開で最も美しい時期だろう。 複雑な形状の木の株をカットして作られた「テーブル」の周りに置かれた「木のいす」で休憩。 「かもしか展望台」の表示の誘惑を撥ね退けて寄り道せずに、直接下山する。

大山の展望:八ヶ岳方面  妙義山方面 樹木の根・根・根  十文字小屋・周辺の景観(石楠花・休憩ベンチ)

此処からは、木毛平駐車場へは長い「八丁坂」を約1時間30分下る。 樹勢の良い樹林帯の中をくぐるように伸びるルートを辿り、急坂を下り始めた。 右に急角度で曲がる地点で進行方向に多少疑問を持ったが、地図で確認して安心して進行。 雨が落ち始めた。 カメラをタオルで覆い、雨具は着けないで、下山の速度を増して歩行。 沢筋に出るとルートは下り勾配は緩くなった。 雨に濡れた石は滑りやすくなった。 「五里観音」と表示の祠を過ぎて、暫くは「沢」を左右に渡り平坦に近いルートになった。 雨はやや強くなったが、雨具を着けるほどではないが登山帽子の先から雫が落ち始めた。 最後の沢は立派な木製橋をわたる。 その中央部で白い花を付けた枝が迫り出していた。 「ズミの花」だった。

十文字小屋周辺の見事な石楠花  八丁坂の新緑(カラマツ) 駐車場近くの橋 ズミの花

16時丁度に駐車場到着。 今日の目的地は、明日の「金峰山・国師岳」登山口になる「大弛峠」で有名な悪路「川上牧丘林道」が控えているので、休憩もせず急いで出発の準備にかかる。 16時30分、出発して「大弛峠」に向かう。 又しても「農道の工事」の為に狭い農地の小道を通過。 事前に「悪路」の説明を福川氏にしていたが、その悪路ぶりには驚いたようだ。 7−8年前に一度来て以来、今回で3度目だが、依然として「道路はダート」のままで、挙句の果てに、石は先端が尖って乗り上げ方が悪いと「パンク」しそうなことも変わっていなかった。 これ以上の悪路を挙げられぬ中を約1時間15分間、道路の窪地が大きい所には「石」を置きながら、車体の損傷に最深の注意を注いで、無事、暗くなり始めた「大弛峠」駐車場(道の横のスペース)に駐車。 明日の天気は悪そうだ。 悪路での激しい振動で「車内の荷物」はグシャグシャで、最大の被害は吊り下げていた「生卵パック収納の袋」の落下で、シートが卵の液体でグショグショだった。

18時〜19時に夕食。 8時過ぎキャンピングカーの上部ベットと下部に別れて就寝。 何時もの如く「上部ベット」に寝たが、夜中から風雨が猛烈に強くなり「上部ベット」を上げて重心は高くなった車の転倒が心配で眠れなかった。 強い風が吹くたびに大きく揺れて、自然と全身に力を入れて踏ん張って居たようだ・・・(今では笑!!)。 下のベットの福川氏の寝息が聞こえ熟睡しているようだ。 雨より風が酷かった。 就寝中のあんな心配は「阿蘇山山頂」以来だった。