禅頂行者道細尾峠〜地蔵岳:往復

登山年月日 平成15年5月30日(金) 晴
メンバー 殿川紘史  (単独行)
主要ルート 宇都宮・自宅(5:20)−><#119−>#122−>清滝新細尾町ー>(6:15)細尾峠道路側(6:45)−><禅頂行者道>−>(7:25)薬師肩ー>(7:30)薬師岳(1420m)(7:40)ー>(7:45)薬師肩ー>(9:45)三つ目ー>(10:25)夕日岳(1526m)<昼食>(11:30)ー>三つ目ー>(12:40)地蔵岳(12:50)ー>(13:05)三つ目ー>(13:55)薬師肩ー>(14:20)細尾尾峠駐車場(14:35)ー>(16:20)宇都宮・自宅
所要時間

トレッキング時間=7時間35分<AM6:45−PM2:20>
合計時間=11時間 <AM5:20−PM4:20>
総歩行数=21,600歩




   山岳修剣道の道とヤシオツツジ
禅頂行者道トレッキングマップ
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【禅頂行者道の概要】
日光国立公園の核心部「中禅寺湖」と前日光県立公園の中心「古峰神社」を結び、夕日岳、地蔵岳等の峰々を辿るロングコース。 途中にはかって盛んだった修験道あとを偲ぶ石祠や石仏などが散見できる。 「禅頂行者道」とは勝道上人が出流山から大剣峰(横根山)を経て古峰原に至り、日光へ向かった道筋にあたり、古くから山岳修験道の行者道として歩かれ、現在もその跡を各所で偲ぶことが出来る。 

今回は「禅頂行者道の途中、細尾峠から入り、「薬師岳(1420m)」、「1381mピーク」、「1406mピーク」、「夕日岳(1526m)」、「地蔵岳(1483m)」まで歩き、此処から元の「細尾峠」までを往復した。 時期的に「赤・紫・白」の「ヤシオツツジ」が満開で、それに尾根筋の新緑が芽生える素晴らしい小径を辿りながら、北〜北西方向方向の日光連山も一望出来た。 そのルート往復で鑑賞できた花・昆虫・若葉・山々を撮影した写真を中心に紹介する。 

【スライドショー】としては以下の4項目にに別けて編集した。
 @日光連山   Aヤシオツツジの花   B新緑の息吹   C禅頂行者道の尾根筋の小径

宇都宮の自宅を午前5時20分に出て、#119号で日光市街地を抜けて、『いろは坂:登りルート』手前で足尾につながる#122号の「細大谷橋」を渡り、#122号と別れる足尾に通じる細尾峠道の細い曲がりくねった旧道を辿り「細尾峠」の道路縁のスペースに車を駐車。 1時間弱の6時15分に到着。 峠の左(南)に続く尾根筋の小径を辿り始めた。 天気は早朝から申し分なく、肌寒さを感じる快適なスタートを切る。 尾根に取り付くや否や、左右には目にも鮮やかな「アカヤシオツツジ」と若芽が目に入った。

細尾峠出発点 アカヤシオツツジ 若葉 ムラサキヤシオ 薬師岳分岐点

倒木の幹に「春ゼミ」が抜け殻の側で留まり「羽の伸張」を待っていた。 間もなく「薬師岳(1420m)の分岐点に到着。 左に5分も登ると「薬師岳」の標識。 眼前に「日光連山」、左から「男体山(2485m)」「大真名子(2375m)」「小真名子(2323m)」「帝釈山(2455m)」「女峰山(2483m)」「赤薙山(2010m)」が連なって「シロヤシロツツジ」越しに見える。 

春ゼミの羽化直後 大真名子・帝釈山・女峰山・赤薙山 男体山南斜面 シロヤシオ
シロヤシオ 庚申山・皇海山 春ゼミ羽化数時間後           アカヤシオ

薬師岳から尾根筋に戻り南に進行するルートは、主として「アカヤシロツツジ」が左右に続く。 花の下から見上げると、天空には
大きく伸びた木々の先端から新芽が伸び始め、その黄緑色を背景に「純赤のヤシオツツジ」が透ける様に見えた。

アカヤシオと新芽のコントラスト アカヤシオ 新緑
若芽           高木の若芽 尾根小径 若葉とアカヤシオ 若芽

尾根筋の小径の両側には背の低い「ミヤコザサ」が茂り、地面・中間の花・上空の新緑の3層をなす。 後ろを振り返ると木の間から「男体山」の北西に位置する「奥白根山」が独特の赤茶けた溶岩ドーム型の頂上部を見せ、その谷筋には、はっきりと残雪が白く見える。 シロヤシロツツジだと思った花は「ズミ」だった。 この一本だけが目立った。 陽光を浴びて白い花が益々白く光り周囲の被写体とのコントラストが強すぎる。 

濃赤色のヤシオ 奥白根山望遠 アカヤシオ ミズの花      ミズのクローズアップ シロヤシオ

ヤシオツツジの中で最も開花の早い「赤」は散り始めているだろうと思いきや、やや高度が上がったこの周辺の尾根筋では、「蕾」を持つのもあった。 周囲の樹木が濃くなると「ヤシオ」は見られねが、尾根の小径の両側の「黒い幹」と「黄緑の新芽」が美しく、こんな光景を独り占めしている状況になんともいえぬ幸福を感じる。 若芽の先端に「赤い風車」を着けた木が目に付いた。 「カエデ」の仲間のようだ。

開花直前のアカヤシオ 新緑と黒い樹幹 カエデの仲間:??

今日初めて「ムラサキヤシオツツジ」に出会った。 モミジの新芽・シロヤシロツツジの葉・空高い大木の芽吹きは「低木」よりも常に遅い。 地表に近い幼木が先ず芽吹き、次に中低木、最後が高木だ。 見上げると青空に少し芽吹いた新芽がまばゆい。 

ムラサキヤシオ ヒナウチワカエデ 高木の新芽 シロヤシオの新芽 高木の息吹

ピークから北を向けばくっきりと「日光連山」が見える。 左=北西方向から「庚申山(1892m)」「皇海山(2144m)」「錫ヶ岳(2388m)」「奥白根山(2578m)」「前白根山(2373m)」「半月山(1753m)」「男体山(2485m)」「大真名子(2375)」「小真名子(2323m)」「帝釈山(2455m)」「女峰山(2483m)」「赤薙山(2010m)」が全部見える。「太郎山(2368m)」だけが男体山と大真名子に隠れて見えないだけだ。 日本百名山:3座が此れだけ近くに見えるのも珍しいだろう。

高木の新芽 男体山・大真名子  半月山(前)・奥白根山奥白根山・前白根山庚申山・皇海山
庚申山・皇海山 奥白根山帝釈山・女峰山・赤薙山   大真名子・小真名子  男体山南斜面

五葉の松を大きくしたように見える新芽が「シロヤシロツツジ」と判ったのはずっと後だったが、珍しい新芽を青空を背景にして、真下から撮影。 面白い造型?? 側の丸い葉との違いは明白だった。 「1381m」と「1406m」ピークの間はなだらかではあるが、頻繁に「アップ・ダウン」の連続だった。

皇海山望遠 シロヤシロツツジの新芽 新芽
イヌシデの花と若葉   シロヤシロ シロヤシロの背後のアカヤシロ シロヤシロツツジ

「1406mピーク」を過ぎた尾根筋にムラサキヤシロツツジ・シロヤシロツツジ・アカヤシロツツジが至近距離で競って咲いていた。間もなく「夕日岳」との分岐に近い「三つ目」であろう。 9時45分に標識に従って「夕日岳」に向かって左折=東方向に尾根伝いに下り始めた。 樹高がやや高くなるが、落葉雑木林の為に。陽光が地面まで届き、「ミヤコザサ」の葉がキラキラ光る。 この一帯には「シロヤシロ」が一面に咲いていたが、赤や紫と違い近づかないと緑の葉に隠れてはっきりと見えない。 「中岩」と書かれた大きい岩を左に見てなだらかな坂道を上り詰めると「夕日岳(1526m)」の標識に10時30分到着。 標準時間:20分を45分間掛けて歩いた勘定だ。 道中の小径や、シロヤシロツツジの見事さに見とれた結果だ。 このピークが「禅頂行者道」中の最高点である。 北部は樹木が伐採されて、日光連山が全部見えたが早朝に比べて雲が出始め、男体山や大真名子・小真名子や女峰山の頂上が見え隠れし始めた。 

ムラサキヤシオ シロヤシロ アカヤシロ シロヤシロとそのクローズアップ
中岩の露岩帯 ミヤコザサの小径 夕日岳頂上 男体山頂上の雲 奥白根山 大真名子・女峰山

山頂は雲で変化に富んだ光景が見れるようになったし、上空は何故か青空の色が鮮明に見えたし、雲の出現で変化に富んで見える。  

女峰山・赤薙山 大真名子・小真名子(右)   男体山・奥白根(背後)    半月山(手前)・奥白根山

11時から昼食、11時30分に夕日岳を出発して、尾根筋の「三つ目」に向かう。 シャラの樹皮が剥ぎ取られた跡があったがこれは「鹿の食害」が此処まで及んでいる査証だろう。 

山頂が隠れた男体山 新緑の小径 シロヤシロ 鹿の食害   ミズナラの小径

尾根分岐点の「三つ目」まで戻り、左折して南の「地蔵岳」に向かう。 シロヤシロとムラサキヤシロの花が咲き静かな尾根道を進む。 禅頂行者道の小径を堪能しながら歩き特に、雑木林の落葉で日差しが一面に届く所は、大変に明るいが、新芽が出揃った地域もあり明暗差が大きかった。 アップダウンを繰り返す尾根を前進した。

ミヤコザサ シロヤシロ ムラサキヤシロ ミヤコザサ
典型的な風景の禅頂行者道:落葉雑木林+ミヤコザサ 雲が沸き始めた男体山上空
シロヤシロのクロースアップ 天に伸びる新緑の芽 小径のミヤコザサ

12時40分に地蔵岳(1483m)に到着。 ピークははっきりせず、山頂らしきところに「標識」と「石祠」の存在で判る程度。 展望もあまりなく、「ハガタテ平」方面へ下る「禅頂行者道」が続くが、予定どうり、この地点で折り返す。 「禅頂行者道」としては、この「地蔵岳」から約30分で「ハガタテ平」に着き、更に南下するルートを、約1時間30分、沢の渡渉を繰り返し下り続け、古峰原林道を下ると、信仰の基点「古峰神社」にたどり着くルートが残っている。 

小径の両側:ミヤコザサ シロヤシロ 古木  禅頂行者道のムラサキヤシロ

岐路は尾根道筋のヤシロツツジを遠くから眺めて撮影すること心がけた。 シロ主体ー>ムラサキ主体ー>そしてアカヤシロ主体の地域に戻る。 陽光の強さ・太陽の高さの違い・方向の違いで、復路でも初めての尾根を歩いている錯覚に陥るようだった。 矢張り「アカヤシロ」が最も目立つ存在だった。

ムラサキヤシオ 典型的な「禅頂行者道」の雰囲気          アイアヤシオ茂る薬師岳付近の小径

「ピーク:1306m」を過ぎて、薬師岳分岐を右にみて前進するとより鮮やかな「アカヤシロ」が両側に交互に現れる地域に来た。 常緑落葉樹林帯の中に時々咲く「アカヤシオ:1本」の存在感は凄い。 辺りの景色を引き締める。

薬師岳〜細尾峠間のアカヤシオ 見事な風景

午後20分、細尾峠駐車場帰着。 「ヤシオツツジ満開のトップシーズン」の7時間半の尾根筋トレッキングで一人のハイカーとの交差も無かったのは大変な驚きだった。 この素晴らしい「禅頂行者道」を終日、独り占めしたのだった。
平日とは言え、真に有難いこと。 でももっと多くの人が楽しんでも良いだろう。 自宅までの45分間の運転中も今日の素晴らしいトレッキングを思い出しながら、「自然と3色のヤシオツツジ」を満喫した一日に感謝・感謝だ。