聖岳(3013m)登山:第2編
<第2日:聖平小屋〜聖岳山頂〜便ヶ島>

登山年月日 平成15年11月2-3日 小雨・ガス・雨
メンバー 殿川紘史・羽田武(リーダー)・松倉幹男・山崎きぬ子・平居秀子
主要ルート 【11/2】便ヶ島(6:15)−>(7:00)西沢渡(7:15)−>(10:05)昼寝休憩(10:35)ー>(13:20)薊畑分岐(13:30)ー>(14:05)聖平無人小屋   
【11/3】聖平無人小屋(4:55)−>(5:25)薊畑分岐(5:40)−>(6:40)小聖岳−>(7:40)聖岳山頂(8:10)ー>(9:00)薊畑分岐(9:30)ー>(10:50)昼寝地点(10:55)−>(12:40)西沢渡(12:55)−>(13:30)便ヶ島駐車場(14:00)−>(15:30)飯田市内温泉センター(16:15)−>(16:45)そばや(17:45)ー>(1:25AM)宇都宮・自宅到着
所要時間 登山合計=8時間35分 <AM4:55−PM1:30>   全体合計=20時間30分<AM4:55−AM1:25>

      薊畑分岐点からの聖岳展望
        <第1日目撮影分>

登山ルート地図: 【便ヶ島〜薊畑〜聖平小屋】

第1編 【第1日:便ヶ島〜聖平小屋】    第2編 【第2日:聖平小屋〜聖岳山頂〜薊畑〜便ヶ島】


小雨降る真っ暗な早朝の登山開始


睡眠可能時間が余りにも多すぎて熟睡した時間は少なかったが、起床予定時間の4時頃、周囲の物音で気持ちよく目覚め、4時10分起床。 昨夜就寝前にサブザックに登山必要品を纏めて充填したので、支度には時間は掛らない。 ヘッドランプを頼りに、シュラフをザックに詰め込み、「パン(2個)+コーヒー」の朝食を終えたのは4時30分。 我々のパーティーの4人も略同じペースで支度を完了。 雨が少しだが降っているとの情報で、「雨具(上のみ)」「ザックカバー」を装備して小屋の外に出た。 案外に暖かく雨も小降りだった。 予定の5時に5分前に、真っ暗の中を「薊畑分岐点」に向けて出発。 勿論、ヘッドランプを点灯しての登山は初めてだ。 30分で坂道を登り「薊畑分岐点」に到着。 5人分の荷物を一箇所にまとめ、シートで覆ってデポ完了。 ヘッドランプは必要だが心持明るくなる中を聖岳山頂を目指して、霧雨の中を5時40分に出発。 


森林限界を超えて、ザラついた稜線に出ると、左横方向からの風に乗って「ガス」が押し寄せ、メガネの左一方だけに水滴が溜まり、視界を遮る為に「メガネ」を外した。 高度を上げるに従い、視界距離が下がる。 6時40分に「小聖岳(2662m)」を通過。  暫くガレた稜線(左側は谷への急激な斜面)に沿って歩くと、いよいよ「聖岳」山頂への急坂が始まる。 ガレたジグザグの斜面を「小雨・ガス・横風」の悪条件の中を息を弾ませて登り続けた。 徐々に左方向からの風で「雨具のない左パンツ」から水が素肌に感じられ始めた。 2-3回の5分間休憩の合図で止る。 歩行をとめると次第に「手」に冷たさがしみてくる。 7時30分過ぎに「2羽のライチョウ」が登山ルート側まで出ていた。 既に95%以上の毛が白く「冬支度完了」の状態だった。 人間との距離を上手に2m−3mあけては止まり此方を見る。 写真撮影したい衝動に駆られたが、ゴアーの雨具の下に背負っている「ナップザク」 からカメラを取り出して撮影する気になれなかった。 去年の岩手山登山で同様の「風とガス」の条件で使用したために故障した経験がその選択を強いた。 1-2分観察して、聖岳頂上を目指した。 

間もなくガスで全く視界の利かない聖岳山頂(3013m)に到着。 既に4-5人のパーティーが山頂標識で記念写真を撮っていた。 強くはないが「冷たい風・小雨・ガス」が混じり、立ち止まると体中が冷える。 手早く「カメラ」を取り出して、先行した「羽田氏・山崎さんの記念写真」、続いて「山崎さん・殿川の写真」を撮影してすぐザックに収納して、カメラの水濡れを防止した。 パンとチーズの軽食を立ったままで済ました。 松倉氏と山崎さんから「カステラ・果物」を差し入れてもらって、空腹が収まり体温も上昇したが、濡れた手袋の手先の感覚が鈍くなり始め、雨具下のシャツにも冷たさが強くなった。 霧雨のために、登山〜下山までの写真は、上記の「2枚」だけだった。 


聖岳山頂(左から):山崎さん・羽田氏        殿川・山崎さん

全く視界の利かない山頂に30分間滞在して、8時10分に下山開始。 歩き難いためにゴアーの雨具を着用していないパンツは更に水分を含み始め、太ももが冷たく感じる。 低温で筋肉が痙攣するほどではない。 ジグザグの急坂を注意深く早足で下り始める。 8時45分に小聖岳を通過する頃に、「親子と思われるライチョウ2羽」が稜線を案内するが如く、暫く小生の道先案内をしてくれた。 こんな悪天候も全く気にしていないようなしぐさだった。 残念だが、2回目の撮影のチャンスも見送る事に決めて、下山を急いだ。 小雨は時折止むかと思うと再度降り始めたりの繰り返しだった。 9時15分に薊畑分岐点に到着して、デポ荷物の回収とサブザックを大型ザックに収めた。 雨も止んだので「雨具」を脱ぎ、9時30分に下山を開始。 視界は改善の気配はない。


苔の原生林付近で休憩して早い昼食(残ったキノコご飯のオニギリ1個)を食べた。 雨は降ったり止んだりの繰り返しで,その度に雨具の着脱を繰り返した。 雨で下山路がすべり易く、赤紫色の岩石を隠す紅葉の落ち葉が更に歩行を困難にした。 10時50分に登山時に昼寝した地点を通過、 「易老岳稜線の紅葉」を見渡せる地点を11:40分に通過。 今日は駐車場方面の谷間を「ガス」が埋めて、霞んだ紅葉の赤茶色と白いガスの色のコントラストは写真の被写体として面白いが、ザックカバーを開け、ザック内部のカメラを取り出して撮影後またザックに収納する手間をとる面倒さが、撮影を諦める理由になった。 デジタルカメラの「雨に対する弱点」を恨めしく思った。 松倉氏はこまめに「カメラ」をウエストポーチから取り出して、数枚を撮影されたようだ。 小生も「ウエストポーチ」の活用を検討したい。 


この地点から暫くは、下山路でも最も「滑落」のリスクが大きい地点に差し掛かり、羽田リーダーから、再度の注意が喚起された。 一旦滑ると急勾配のためにスピードがついて止らず、岩石・樹木に体を打ち付けて、生命も落としかねないとの説明だった。  無事その地点を10分余で通過して、12時35分に営林署廃屋に到着。  雨が強くなったので、再度、雨具(上着のみ)をつけて、西沢渡に下りた。 10分余で5人が交互に籠に載って沢を渉りきった。 林道歩きが30分で「便ヶ島」の駐車場に到着したのは、13時30分。 8時10分に聖岳山頂出発から4時間20分で下山した事になる。 急に雨が激しくなり、靴の履き替え・荷物の車内への収納もままならないくらいだった。 下山途中でこの雨にならなかったのは、幸運だった。 初日は季節外れの好天下の山小屋までの登山、2日目はガス・小雨の視界ゼロでの頂上登山・駐車場までの下山と変化に富んだ「1泊2日」の聖岳登山を無事終了した。 羽田リーダー・他3名のメンバーに感謝したい。 


午後2時に駐車場を出る頃は、更に雨が激しくなって、駐車場から下栗部落を経由して国道#152号までの曲がりくねった道を、横切るように水が流れ、道の窪みも確認出来ない程だった。 温泉に入るために、飯田市内の温泉センターへの道を、羽田氏の車を追って約2時間を注意深く運転した。 風呂を浴びた後に飯田ICに近い「そばや」で夕食済ませ、羽田氏他3人に「登山同行の感謝」を述べて、5時45分に駐車場で別れた。  雨の降りしきる中を飯田市内:国道#153号ー>塩尻市(#20号)ー>#142号ー>佐久市ー>#254号ー>高崎市(#17号)ー>国道#50号ー>小山市ー>国道#4号ー>宇都宮市のルートを無休憩で運転して、自宅に到着したのは午前1時30分だった。 下山後、合計9時間の運転にも拘らず余り疲労を感じず、電子メールを読んで床に入ったのは3時過ぎだった。 


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