【塩見岳登山】
第1日目<駐車場ゲイト〜塩見岳〜塩見小屋>
第4編:塩見岳山頂〜塩見小屋(泊)
登山年月日 平成19年8月26−27日 快晴 
登山者 殿川紘史単独行
登山ルート 【8/26:第1日目】登山口〜塩見岳〜塩見小屋(泊)
登山口ゲイト(5:00)〜(5:40)鳥倉登山口(5:45)〜(6:45)豊口山間コル〜(8:05)豊口山分岐〜(8:20)三伏峠小屋(8:40)〜(9:45)本谷山(10:00)〜(11:30)塩見小屋(12:10)〜(13:40)塩見岳西峰/(13:45)東峰(14:00)/西峰(14:10)〜(15:05)塩見小屋(宿泊)
所要時間 【登山時間】10時間05分<AM5:00-PM3:05>
【総合時間】10時間05分<AM5:00-PM3:05>

    塩見岳:東峰山頂(3052m)
       <背景の山頂:西峰>

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【,塩見岳登山全体図】 【詳細地図(登山口〜本谷山)-@】 【詳細地図(三伏峠〜塩見岳)-A】
塩見岳山頂周辺地図


【塩見岳山頂:西峰〜東峰】 【スライドショー@】

塩見岳山頂直下付近で咲く「ヒメヨツバシオガマ」の濃いピンク色はどんより曇った稜線上では、唯一の温かみを感じる色だった。 高山植物図鑑を調べても上記のシオガマ類が「ヒメヨツバシオガマ」か「ミヤマシオガマ」かの判断が難しいが、葉の形状から「ヒメヨツバシオガマ」であると判断した。 
花の形〜擦ると「ミヤマシオガマ」の様だが、葉の形状が違う・・・・「ヒメヨツバシオガマ」と判断した

「ヒゴタイ」や「ツメクサ」にも幾種類も図鑑にある・・・・左下の写真は茎の上部に一輪の花を持つから「シラネヒゴタイ」と判断。 茎の先に複数の花を付ける物は「ヤハズヒゴタイ」とある。 では「ミヤマヒゴタイ」は???と植物の同定には何時も困惑する。 
初夏に融雪後に咲いた純白の花で美しい「ハクサンイチゲ」も秋には黒い実をつける。 
13時40分に、「塩見岳:西峰(3047m)」に到着した。 残念ながら、ガスに覆われ、視界は数十メートルで、ヤット「東峰(3052m)」が見える程度・・・で、期待した独立峰の塩見岳山頂からの展望はゼロだった。 快晴ならば、北西方向には「中央アルプス山群(木曾駒ヶ岳・空木岳・南駒ヶ岳等)」が見え、北部方向には「間ノ岳・農取岳・北岳・千丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳」・・・・・南部方面には「荒川岳・赤石岳・聖岳等」・・・・・はるか北部の「北アルプス連峰」も見えたかもしれない。 
一輪咲きだから「シラネヒゴタイ」 「ハクサンイチゲ」の実 「ヤカネツメクサ」 塩見岳:西峰(3047m) 塩見岳:東峰(3052m)

約50m程度北方に位置する「東峰」へ移動開始し、13時45分には僅かに西峰より高い「東峰(3,052m)」に到着した。 後方から登山して来た3名の登山者に頼んで、「記念写真」を東峰標識を入れ、中央にガスに霞む「西報」を入れて貰った。 少しガスが薄くなったが周囲の山並が展望出来る状態になる見込みは皆無と判断して、15分程度東峰に滞在して、下山路方向の「西峰」に14時05分に戻った。
塩見岳:西峰から東峰を望遠 東峰より西峰を望む 記念写真:東峰にて 「トウヤクリンドウ」 「ツガザクラ」の実

風雨に晒される東峰と西峰を結ぶ約50m程度の稜線上にも「トウヤクリンドウ」が僅かの砂礫層に咲いていた。 西峰から先程写真を頼んだ3人の登山者がヤット見える程度の視界は変わらない。  14時10分に視界回復を諦めて、下山開始した。
「トウヤクリンドウ」 西峰から霞む東峰を展望 塩見岳:東峰標識に立つ登山者達(西峰より展望) 西峰より霞む天狗岩を展望


【塩見岳山頂〜天狗岳付近】 【スライドショーA】

西峰山頂から俯瞰して僅かに見えるピークは「天狗岩」で、その左手の方向は、ガスが少なく、「蝙蝠岳」方面はピーク付近まで、薄く見えた。 急勾配の下山路に注意を払いながら、目に付く高山植物の鑑賞・撮影のパターンは変わらない。 塩見岳は「トウヤクリンドウ」の山・・・と言っても過言でない・・・と思う。 殆どの高山植物は満開の時期を過ぎ、僅かの花と共に「実」をつけた植物多かった。
下の写真(右から2枚目)でも、同定が出来ず、「シコタンソウ」か「ヒメクモマグサ」か?・・・
西峰より見る霞む天狗岩 山頂直下の「トウヤクリンドウ」 「シコタンソウ」か「ヒメクモマグサ」か?  稜線の標識

山頂から10分程度下った稜線で「ミヤマコゴメグサ」と「ヒメヨツバシオガマ」が混在した株を見つけた。 これも「コバノコゴメグサ」この知れない。 塩見岳北壁面(バットレス)から湧き上がるガスの影響で、「天狗岩」の北側は全面ガスで隠れるが、南側はすっきりした視界があった。  塩見岳南東部に位置する「蝙蝠岳」山頂も薄く見える様になり、先程ガスに隠れていた天狗岩のピークや北斜面も見えだした。 
ガスが覆う天狗岩のピーク 「ミヤマコゴメグサ」か「コバノコゴメグサ」と「ヒメヨツバシオガマ」 稜線に咲く「トウヤクリンドウ」「イワベンケイソウ」等

山頂から下るルートは急斜面の岩間ヲジグザグして下る。 其の斜面の砂礫層には飛び石の様に「クモマグサ」「トウヤクリンドウ」「イワオウギ」が生えている。 バットレスから湧き上がるガス=雲の動きは早く、ピラミダルな天狗岩を眺めていると、何時までにも見あきる事がない変化に富んだ景色となる。 
「天狗岩」と「蝙蝠岳(背後)」 山頂付近から天狗岩を俯瞰 ガレバにしがみ付く「クモマグサ」「トウヤクリンドウ」「イワオウギ」等

先程まで東峰にいた3人の登山者が背後に来たので、道をあけ、先行させて、下山路の風景の点景とした。 天狗岩方面の景色は見事・・・手前の赤茶色の岩、白い花こう岩が露出して砂礫層化して白く見える部分、ハイマツ層は濃い緑色・・・その先端部分が背後の白いガス層に映える。 天狗岩の右下部は「塩見沢」や「横左衛門沢」の合流する沢へと繋がる。 ガスが切れて、水のない沢筋が見えた。 
「イワオウギ」の実 下山中の登山者 蝙蝠岳を背景にした天狗岩(塩見岳・西峰付近から俯瞰) 天狗岩左手下の河原部分


天狗岩付近〜塩見小屋】 スライドショーB】

山頂から約30分下った稜線で岩に這い蹲る様に生えた「ハイマツ」が落石で太い幹や根を剥き出しにして、懸命に生き様と頑張っている様に見えるが、白色化しているので、徐々に枯れていく過程かも知れない。 塩見岳北部方向の稜線を振り返ると、雲が切れて、陽光がその稜線を照らしていた・・・・もしかすれば、塩見岳山頂からの視界が良くなり、周囲の山並が展望できる状態かも知れない・・・残念!!
「蝙蝠岳」と「天狗岩」 「イワギキョウ」 露出した「ハイマツの根」 「塩見岳:東峰」の北稜線のピーク

下部の写真は、下山路で露出した岩の模様で、複雑に色の違う数十の地層が刻まれ、しかも横に積層された状態でなく、縦方向に層をなす・・・・太古に海底層が隆起し、周囲の圧力で皺の如く折れ曲がり・・・・縦方向になった層だろうか???? 勝手な仮想をめぐらしながら、下山を楽しむ・  そんな厳しい環境の岩間から黄色い花をつけた「ミヤマダイコンソウ」が斜面から真横方向に伸びて開花している。
塩見岳北部:北荒川岳方面 塩見岳下山路の層状の岩模様 「ミヤマダダイコンソウ」 赤茶色の特異な岩の露出

左下の写真は「赤茶色の岩層」のすぐ傍に、全く異なる「緑色の岩層」が隣り合わせる・・・・多分、横方向に積層し地層が縦方向になり、この様相を呈したのだろう・・・・と考えると理解しやすい。 その右には、少なくとも3種類の異なる岩片が散乱し、薄い断片になっている。
少し下ると、岩層が消え、砂礫層が続き、ハイマツがその表面を覆う・・・・が白化した幹や根が露出し、ハイマツ層が後退している状態が目に付いた。 塩見岳北部上空には積乱雲の如き濃く高く巻いた雲の層と快晴の青空が明白な天気の境目が見える・・・・明らかに夕方は天気が快方に向かうだろう。 
赤茶色の特異な岩の露出 3種類の異なる岩片 ハイマツの露出した根 雲に隠れる塩見岳北部の山並 「ミヤマホツツジ」

14時50分頃に天狗岩の狭いリッジを通過して、ハイマツ帯に入り、15時過ぎに、塩見小屋の上部まで下った。 緑の葉の間に可憐な花を見付けた・・・・図鑑で「ミヤマホツツジ」と解った。 15時10分頃、小屋に帰着。 写真撮影しながらの往復時間は「3時間」だった。
小屋周辺には、宿泊する登山者が多数休憩中で、こんなに大勢宿泊可能なの??? と心配する位・・・小屋前にはハイマツに沿う様に、登山者が座り込み、受付棟前では、可愛い例の女性が小屋に到着したばかりの登山者に「エコバック」と「プラ便器」を使って、排便方法・その後の処理とボックスへの収納方法等の解説風景があった。 夕食まで、まだ1時間余の時間がある。
塩見小屋:食堂棟・宿泊棟 緑色の宿泊仮小屋 小屋前に休憩する登山者 トイレ使用法の解説風景 宿泊棟入口

塩見岳を見上げると、まだガスがさ案長を覆うが、徐々に薄くなる様に見える。 登山途中で飲み干したペットボトル(500ml)に水を購入し、勢いよく飲み干した。 一旦宿泊棟の自分のスペースに戻り、先程から気になっていた「エコトイレ」のテストの為に、小屋先のトイレ棟に入る。  どうも慣れぬ性で落ち着かぬが、若い女性スタッフのガイダンスを思い出しながら、用を足し終えた・・・勿論、スッキリ気分で夕食を迎える準備完了。  スタッフの声で、順序良く「夕食棟」に入り、簡素な夕食ながら美味かった。
夕食後に、宿泊棟に入り横になったら、快い睡魔に襲われ、寝てしまい、小屋から見える「夕焼け風景」の撮影を忘れてしまった。 写真愛好家とは言えぬ怠慢だった。 
宿泊棟入口看板:塩見小屋 小屋から見上げる「塩見岳(左)」と手前の「天狗岩」 受付棟前ベンチの登山者 受付・食堂棟前のメニュー

【第5編:<塩見岳登山:第2日目・第1編>】へリンク