戸隠山(1904m):第1編
<戸隠山登山口〜百間長屋〜八方睨〜戸隠山山頂>

登山年月日 平成16年6月5日(土) 快晴
登山メンバー 殿川紘史 (単独行)
主要ルート 【6/4】宇都宮(7:50)−>足利ー>高崎ー>長野ー>(1:55)戸隠山登山口駐車場(車中泊)
【6/5】戸隠山登山口駐車場(7:10)−>(7:25)隋神門ー>(7:40)奥社(7:50)ー>(8:40)百間長屋ー>(9:20)蟻の塔渡り(9:30)ー>(9:45)八方睨(10:30)ー>(10:50)戸隠山頂(11:00)ー>(11:40)九頭竜山ー>(13:25)一不動避難小屋−>(13:50)氷清水(13:55)ー>(15:00)キャンプ場(15:25)−>(16:05)随神門ー>(16:20)戸隠山登山口(16:55)ー>(17:00)キャンプ場駐車場
所要時間 登山:9時間10分  <AM7:10-PM4:20>

     最大の難所:「蟻の塔渡」
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【戸隠山登山ルートマップ】 【八方睨コース核心部ルート図】 
スライドショー: 【第1編・@:登山口〜ナイフリッジ通過】 【第1編・A:八方睨からの展望】


【戸隠山概要】:200名山
北信濃の名山である「戸隠山(1904m)」は、上信越高原国立公園・戸隠高原に位置し、北信五岳(飯綱山・黒姫山・斑尾山・妙高山)の一つで、神話と信仰の山でもある。 蟻の塔渡り、八方睨みなど岩塊を連ねた稜線が続く。 戸隠山の最高峰「西岳(2063m)」は戸隠山の西部にあり、このルートは荒れた岩稜の連続で「熟練者コース」である。 険しい岩峰が続く「戸隠連峰」として有名である。 

【登山の背景】
戸隠山(1904m)への登山は登山仲間から誘われて百名山の「高妻山(2363m)」への登山がその切欠である。 梅雨期直前の6月4日夜の天気予報で、6月5日(土)快晴、6日からは梅雨前線の北上で午後から崩れる。 「5日の快晴の一日を有効に使いましょう」との放送を聴いて、一日早めて戸隠高原に行くことを決心。 夕食後、午後8時直前に自宅を出発。 足利市・太田市・高崎市経由で一般国道をドライブして長野市内から「旧道:バードライン」の曲がりくねる暗黒の道を辿り、戸隠山登山口駐車場に到着したのが午前2時直前。 何時もの車中泊で翌日の「戸隠山」登山に備えた。

昨夜の連続6時間の深夜運転の疲労か、睡眠時間3.5時間の午前6時起床はとても辛かった。 陽光が正面の「戸隠連峰岩稜線」に当たり、最高の快晴だった。 6時10分起床・朝食して、出発は7時10分になってしまった。 駐車場から右奥の「戸隠神社奥社鳥居」をくぐる。 一直線に伸びる参道には数組の中高年登山者が先行していた。 隋神門を7時25分にくぐると先の参道は巨大な杉並木が両側に迫り、歴史を感じさせる「戸隠神社」だ。 40分に「奥社本殿」に安全祈願して、登山カードをポストに投函。 社務所の左奥通過直後から急坂の直登ルートが深い樹林帯に続いた。

戸隠山登山口駐車場 戸隠高原観光案内図 戸隠神社入口鳥居 戸隠神社隋神門 参道の杉並木

ブナの巨木の新緑の中に「濃いピンク色のアカヤシオ」が咲き、気分を爽快にしてくれた。 視界の効く稜線に出ると「飯縄山(1909m:200名山)」が正面に見え左右の背後には信濃地方の山々が重なって見える。 連続する急坂が切れて、岩壁を巻く様に進むと足元に一輪の「シラネアオイ」と種子の羽毛を付けた「ツワブキ」があり、早速撮影。 

戸隠神社奥社鳥居 新緑とヤシオツツジ 南部方面展望 南東部(飯網山) 最初のシラネアオイ

五十間長屋と百間長屋と表示された岩屋があった。  「西窟」と呼ばれる岩の上部にクサリで登れる様な「祠」があり、先行する「中高年夫婦」を追い越した。太い20m位のクサリが設置された最初の岩場登りを済ますと「天狗の露路」と名づけられた約10mの「岩塔」が在った。展望を求めてクサリを併用しながら登った。 予想通り「西岳の全貌」と「険しい戸隠山稜線」が展望できた。 10分程度展望を堪能して、先程の夫婦と入れ替わり、夫婦の記念写真を撮り「天狗の露路」を降りて、約30mの崩壊しやすい岩場を攀じ登り、テラスに出た。 其処に数株「イワカガミの花」を撮影した。 そのテラスからは西岳と戸隠山の鞍部からは「北アルプス連峰」と「八方睨先端部」が見えた。

ツワブキの種子 戸隠山西岳 西岳〜八方睨の稜線 天狗のろじ:岩塔 稜線のイワカガミ

愈々、最難所の「45mのナイフリッジ」通過だ。 9時15分に、先行していた20歳前後の青年が岩の先端からじっと先を眺めて動こうとしない。 挨拶したら「先行してください」という。 本人曰く「時間を掛けて気を入れてから通過したい・・・」。 怖くて先に通過して欲しいことを確認して直ぐ挑戦。 20分出発。 ルートの半分は幅:50cm程度の安定した岩場で「ストック併用で立位」で難なく通過。 次は「約20mの塔渡」で巻道も在るが却ってヤヤコシイと判断して「幅50cmの安定した岩場」を立位で通過したが、最後の「5m剣の刃渡」はやや下り勾配で,且幅が30cm位で岩も不規則に凹凸して不安定に見えた。 今までの「ストック+立位」では自信がない。 格好悪いが「幅30cmの岩」を両足で挟み込み、両手を先にして腕力での推進を図る方法に決め、最深の注意でゆっくりと前進・また前進。 幸いにも風はそよ風程度で気にならないが、もし風速が5mを越えると前進を諦めて撤退しただろう。 10分を掛けて無事通過した。 狭いテラスに留まり、今通過した「45mのナイフリッジ」を振り返り、丹念に写真撮影した。

小テラスからの展望:<左>西岳との鞍部から見える北アルプス連峰 <右>八方睨へ続くピーク ナイフリッジ全貌(剣の刃渡通過後撮影):小テラス(入口)方面を展望。 <写真右2枚>蟻の塔渡に差し掛かる20歳代の青年

暫くして「気を入れ直した青年」も立位で通過開始。 10m程度前進して「巻道」に降りてクサリを手繰りながらトラバース開始。 しかし「巻道」から中々上がって来ない。 最難所「蟻の塔渡〜剣の刃渡」の合計25mには「巻道」がないので、「幅50cmの蟻の塔渡」と「幅30cmの剣の刃渡」は狭い岩上を通過するしか方法がない。 その写真を撮影しようと少し待ったが現れないので、頂上に向かった。 登山道を出発して2時間35分後の9時45分に「八方睨」の頂上に到着。 

チムニー状の岩を抜け「八方睨」先端部から最大な難所:ナイフリッジ(計:45m)を撮影
<上中央写真>: 「天狗のろじ」で追い越した中高年夫婦がナイフリッジ通過地点に到着

その先端部から、15分前に通過した「ナイフリッジ」を約50m高い頂上から観察することにした。 既に「あの青年」は無事全部通過したらしく姿が見えないが、合計「45mのナイフリッジ」上に3−4人の登山者が前進中だった。 2人は立位で前半部分に、一人は最難関部を「馬乗り」で通過中で、小生と同じ方法だ。 此れが最も視界が効き、安定性も高い。 やや経過後、再度見下ろすと「中高年夫婦」が「巻道」を挑戦中だった。 あの青年に続いて、3人の40台の男性、「天狗の露路」で追い越した中高年夫婦も頂上部に到着。 皆緊張後の安堵感が漂った満面笑みの顔ばかりだった。50mの頂上から眺めると「ナイフリッジの狭さ」と「両側の谷の深さ」が好くわかる。 3000m級の北アルプスに比べて岩の不安定性とクサリの固定がないことで、戸隠山のこの「ナイフリッジ」はより危険であるようだ。

ナイフリッジを通過中の3−4人の登山者
(2人:立位で最初の部分通過中)
(1人:最難関部の剣の刃渡りを馬乗り姿勢で通過中。 小生も同じ馬乗り姿勢だった。
巻道ルートに下りた2組目の中高年夫婦
この先が難所:蟻の塔渡と剣の刃渡
八方睨から方位盤と富士山方面(背後)

「西岳分岐」・「戸隠山頂」の分岐点である「八方睨(1900m)」の方位盤を入れて、富士山方面を背に記念写真を撮って貰った。 八ヶ岳連峰とその左背後に小さいが高い「富士山」が確認出来た(写真左:2枚)。 更に西岳・東稜線の「北アルプス」を背に記念写真。 北アルプス全体地図を持参しなかったので、下記の写真群に写る山の同定は出来ず、詳しそうな40歳代の登山者に聞いたが記憶が定かでないのが残念だった。 乗鞍岳・白馬岳・小蓮華岳などがはっきりと見得た。

南部の展望:「八ヶ岳連峰」の左手に「富士山」 西岳の右稜線(北東)奥には「北アルプス連峰」が続く <左>白馬岳
<右>小蓮華岳

下の写真群には乗鞍岳の北方に位置するやや低い山群が明瞭に写っているが、判らずじまいだった。 現地では「方位盤」を頼りに同定したが、明確に記録しなかったので、記憶が失せてしまった。 また「西岳」南西稜線の左側には連続して沢山の「北アルプス山群」が写っているが・・・此れも。 

乗鞍岳・フスプリ山? 横前倉山・筋岳? 西岳南西稜線奥:北アルプス連峰 唐松岳・五竜岳?

「唐松岳」「五竜岳」「鹿島槍ヶ岳」「翁ヶ岳」「立山山群」「鳴沢岳」「赤沢岳」「蓮華岳」等々が地図上では想定される・・が確かなのは特徴在る「槍ヶ岳」はクッキリと見得た(写真下:左から2枚目)。 その左側には「穂高岳」だったようだ。最後に北部の明日登山予定の「高妻山(2363m)」が眼前に三角形の山容を見せ、その左手に寄り添うように「乙妻山(2318m)」が在る。 高妻山登山ルートの稜線上に三角形の「妙高山(2446m)」が頭を出していた。

<左から2枚目左端>槍岳2998m)、その左手には「穂高岳」? <左>乙妻山(2318m)
<右>高妻山(2363m)  妙高山(2446m)

初夏は視界は遠くないのが普通だが、今日は空気も乾燥して視界は申し分なかった。 登山者約5−6人で「八方睨」からの展望と山の同定談義をしながら、「ビスケット+給水+菓子類」で第一次昼食を摂った。 急激な岩場の連続と最後の「ナイフリッジ」の緊張で普段の登山前半よりも足の疲労感が休憩しても残った。 45分後の10時30分に戸隠山山頂を目指して出発した。 この西岳分岐=八方睨から近い距離だ。

スライドショー:【第1編・@:登山口〜ナイフリッジ通過】 【第1編・A:八方睨からの展望】

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