雲取山(2017m):1泊2日
<トレーニング登山:第1日目>

○ 登山年月日 平成14年3月27日   雨・ミゾレ・雪・吹雪
○ 登山メンバー 殿川紘史  (単独行)
○ 主要ルート 鴨沢駐車場(8:45)−>(9:30)登山口駐車場(10:00)−<後山林道コース>ー>(10:15)三条の滝(10:20)−>(12:00)休憩(12:15)−>(14:10)三条ダルミー>(15:10)雲取山避難小屋(山小屋泊)
○ 所要時間 6時間25分  <AM8:45−PM3:10>


 <西陽に照らされた奥多摩小屋方面>
   (山頂避難小屋からの眺望)

3月26日: 宇都宮ー>鴨沢登山口駐車(車中泊)

4月〜5月に掛けて2ヶ月の「九州地方の日本百名山等の登山・トレッキングの旅」のための冬季間のブランクを埋める為にトレーニングを兼ねて雲取山登山を計画。 
毎年春先は脚力が低下しているため、「雲取山」と「天城山」を登って少しでも脚力を回復させて九州に向かいたい。  事の初めは、一昨年春、四国で百名山「石鎚山」登山で知り合った「石川氏」と二人で、早春の雲取山を山頂非難小屋泊まりを計画。 その為に「冬山用登山用具一式」を揃えたが、天気の不安定や彼の仕事の都合で延期が続き今回の決行になった。 天気は春の天気の常として曇または小雨の予報のため天気予報が悪ければ延期の合意で3月26日の夜、宇都宮の自宅を夕食を済ませた午後8時前に出発。   「カーナビ」設定のルートに従い、新#4号―>#50―>#16を辿り青梅街道に入り奥多摩湖湖畔の最奥部に位置する雲取山の登山口の一つ「鴨沢駐車場」に到着したのは午前2時頃。約5時間のドライブの疲れで明日の天気を気にしながら直ぐ就寝。


3月27日: 第1日目<後山林道コース>
雨の音で目を覚まし8時までぐっすり。 早々に約束した「石川氏」から登山キャンセルの電話連絡入る。 理由は「天気予報:雨」の為。 春と言えども寒冷前線が通過すると2000mの山は、冬に逆戻りするからだ。 小雨の降り続く中,朝食を摂りながら登山すべきか中止すべきか思案の後、登山ルートを「鴨沢コース」から時間の掛からぬ「三条の湯コース」に変更して決行することに決断して8時45分車を移動開始。 「お祭り」から「後山林道」に入り約小一時間、でこぼこの未舗装道路を注意深く進行。 諸所に春先の崖の崩壊を物語る岩を避けながら進むが二三度小石を車体の下に接触させるミスを犯す。 此れが翌日の下山時にトラブルの原因になるとは考えなかった。 9時30分林道終点と思われる最奥部の駐車場着。 4−5台のスペースに既に2台駐車中。 多分登山者の車だろう。 午前9時45分、雨カッパを着用して避難小屋泊の準備で出発。 車道を直ぐ過ぎ沢を渡り登山道に入る。10時15分「三条の湯」にルートマップの所要時間:30分で到着して第一休憩。 カメラを雨から守る為「ゴアーの上着」の胸から出し入れしながら使用。 ココから沢沿いに進みやがて沢を外れ急坂に差し掛かる頃から呼吸が苦しく、足も重く感じ始める。 約15キロ荷物、それに雨と今年初めて山行のためだろうか? 15−20分毎に小休止しないと呼吸が苦しい。 小雨降る中12時頃15分休止して「五目飯の昼食」。午後1時過ぎには小雨に多少「ミゾレ」が混じり始めた。 登山道の日陰部分には残雪と其れがアイスバーンに変わった所も現れたが、異常に苦しい遅いペース為「三条ダルミ」に到着したのが、14時10分。 「ミゾレ」が「雪」に変わり、風も強くなって来た。 両手は雨での濡れと低温で悴み感覚が少なくなり、疲労のために休憩すると無性に「眠気」がさす。1−2度は無意識に寝入っていたかもしれない。 「危ない」「危ない」こんなところで居眠りしてはーーーーと自分を鼓舞しながら再度立ち上がる。 十分休憩して急坂の始まる「三条ダルミ―>山頂避難小屋」までのルートの登山開始。 稜線に出たこと、及び高度が1800mを越えたためか、「雪」が「吹雪」に変わった。 残る高度差、僅か250mを無事上り切れるか??との不安が頭をよぎる。 登山開始の時には予想もしない難行だ。 登山経験の浅い歴史の中で最もキツイ!!と感じたし不安も最大になった。 林間を吹きぬけた風がとても強い。  登山路には雪で被われた「アイスバーン」があり何度となくスリップして進まない。 ついに左足が痙攣したため小休止の間「マッサージ」。 低温と疲労のためだとわかるが仕方ない。 10分後には反対の右足も痙攣し「愈々不安」がつのる。 あと高度差で100mと鼓舞しながら、だましだましアイスバーンで覆われた登山路を外して「熊笹」の生えた林の中をストックに頼りながら一歩一歩進む。 キャンピングカーに残してきた「アイゼン」が恨めしい。  最後のピークをヤットの思いで越えて避難小屋が視界に入ったのは午後3時過ぎ。  平坦になった辺り一面は地吹雪の如く余り多くない雪を巻き上げる。風も相当に強い。 予想よりも立派な「雲取山頂上避難小屋」に入ったのは、午後3時15分。 こんなに山小屋が有り難く感じたのも初めて。

< 午後4時過ぎ・日没直前の雲取避難小屋前からの眺め: 吹雪ー>時々晴れへ >

小屋の入り口の寒暖計は「零度C」だが、マイナス5度以下に感じる。 風と疲労の所為だろうか? 先ず肩に食い込んだザックをおろし、濡れた手袋、雨具、靴下を脱ぎ誰一人いない山小屋の奥まった一角に荷解きしたものを並べる。 濡れた「シャツ」と「ズボン」の着替えがない!! 普段は必ず持参していたのに----。   素晴らしい山小屋だ。 板の間や土間には殆ど「ゴミ」など見当たらない。  冷え切った体を温める為に「スープ」「コーヒー」を飲む。 バーナーの火勢が弱いのは低温で気化が遅い為とわかる。 飴、羊羹、乾パンと出来るだけのものを口に入れた。  室内の気温=2度C。 午後5時30分頃、栄気を取り戻し小屋の外に出ると到着の時と打って変わり「視界」が広がり、小屋の奥手の雲取山頂が目に入り、「鴨沢コース」と思われる登山ルートもハッキリと見える。

 <小雲取山方面><避難小屋入口寒暖計=マイナス2度>   < 夕陽に照らされた小雲取方面尾根 >

カメラを手に再度屋外に出て撮影に夢中になるも「手の悴み」で思う様に撮影出来ない。 「小雲取山」方面にさす弱い夕陽の陰影が平地では見れない光景で広角・望遠双方で何十枚か撮影して寒さの限界を悟り再度小屋に引き込む。 確実に天候は改善の方向らしい。 明日の晴天を期待する。  夕食は「レトルトのご飯」「カレー」「コーンビーフ」「ハム」それにデザートとして「梨」。 腹一杯なった事で体中に温かさが戻る。 スープ、コーヒーを飲んで「山小屋日誌」を読みながら、明るさが残っている間に自分の感謝の気持ちと感想を2ページにわたり書き込んだ。 持ち合わせている衣類全部を濡れたシャツとズボンの上に着込み、シュラフとシュラフカバーの間に「新聞紙」を挟み、シュラフ・インナーとの組み合わせで午後7時半頃寝る準備に入る。 今日の登山は「屋久島の雨」を想定しての決行だったが、反省材料は多い
  * 春先の雨は恐ろしい:特に寒冷前線には要注意 ―> ミゾレ、雪、吹雪にもなる
  * 雨天時=低温時の体力の消耗は予想外に大きい
  * 雨では「全身が濡れる」想定での「着替え一式」の持参
  * 新聞紙の効用
  * ゴアー製品「上下の雨具」「手袋」の耐水性を体験出来たこと     
シュラフに包まり震えながらの反省材料を思いめぐらしながら、眠りにつくも夜中に何度も「ねずみ」の襲来のガサゴソ音=「板の上の食料」に悩まされた。 やはり「ザック」に収納すべきだった。徐々に体も温まり頭までかぶった羽毛のシュラフ(マイナス:15度C用)のお陰で夜中にはファスナーを潤める位の性能を確認出来た。    総歩数=11,500歩


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