三本槍岳雪上登山A
  第2編:熊見曽根周辺〜三本槍岳〜登山口

年月日 平成16年4月10日 快晴
メンバー 殿川 紘史 <単独行>
主要ルート 宇都宮自宅(5:30)−>(7:10)那須岳登山口(7:25)−>(8:00)峰の茶屋跡避難小屋(8:15)−>(8:55)朝日の肩(9:00)−>(9:20)熊見曾根−>(9:30)清水平(9:40)−>(10:30)三本槍岳山頂(11:40)−>(12:15)熊見曾根ー>(12:30)朝日の肩(12:40)−(13:05)峰の茶屋跡避難小屋(13:10)−>(13:30)登山口(13:40)−>(16:40)宇都宮自宅
撮影場所 清水平〜三本槍岳山頂〜朝日の肩
所要時間 登山:6時間5分 <AM7:25-PM1:30> 全体:11時間10分


     那須連山:三本槍岳<熊見曾根より>
写真上をクリックすれば拡大出来ます
三本槍岳登山ルート図  三本槍岳 

【那須連山:三本槍岳】
那須五岳の三本槍岳は那須連峰で最も北に位置する那須連峰の最高峰:1917mで主峰の「茶臼岳」の1915mより僅かに高い。ロープウエイ駅の少し上の登山指導センターから登山口となる。 那須連峰の主峰:茶臼岳の北斜面を巻くように整備された道を登り、以前「無間地獄」での「硫黄採掘作業者」用の峰の茶屋跡まで約1時間弱で着く。 此処で右に進み険しい岩場・鎖場の在る「剣が峰」を左右に巻いて通過して「朝日岳」と「三本槍岳」の分岐である「朝日の肩」に着く。 稜線を北に進むと「熊見曽根」で隠居倉への道を左に分けて直進して無名峰を登りきると前面に山頂が名前と正反対に丸い「三本槍岳」の全貌が見える。 道なりに下りきると「清水平」である。 此処からは「ハイマツ帯」の間を縫うように進むと直ぐに「中の倉尾根」経由で北温泉への道があるが、直進する。 次に「赤面山」への分岐点を右に分けて進み「スダレ山」の裾を下ると愈々「三本槍岳」への急坂が始まる。 20分も登るとハイマツに囲まれた「三本槍岳」山頂に到着する。 那須連峰最高峰:1917mで、一等三角点が在る360度の素晴らしい展望の山である。 此処から更に北に下ると「甲子温泉」や「大峠〜大峠山」・「三斗小屋温泉」等へ通じる。 登山口〜三本槍岳までは約2時間45分である。

熊見曽根の頂きから少し先の「1800mの無名峰」に来ると眼下に「清水平」が見え、其処までの北斜面は豊富な雪に覆われている。 日光の反射でサングラスを通しても眩し過ぎる。 此処から一気に清水平を目指して一直線に下る。 9時30分に清水平到着。 ザックも下ろして小休止とスナック・水を補給。 振り返ると1800mの無名峰が丸く御椀を伏せた様に雪原の向こうに見える。 『清水平』は熊見曽根(1882m)の先の無名峰(1900m)と三本槍岳の間にある無名峰(1889m)に挟まれた標高1810mの平坦地である。 一部が湿地になり水生植物もあり、7月中旬から8月中旬にかけては「アキアカネ」が辺りに飛びかうと説明板に書いてある。 此処からも朝日岳全貌と茶臼岳の山頂部が見える。

スライドショー 『第2編:清水平〜三本槍岳〜朝日の肩〜登山口』
清水平から熊見曾根 清水平説明版:登山口〜三本槍岳ルート図 清水平案内 清水平から熊見曽根
 清水平の標識 清水平展望:朝日岳・茶臼岳・熊見曽根 三本槍岳東斜面 三本槍岳北稜線

10分間小休止・補給後の9時40分に三本槍岳を目指して出発。 辺りは全面にハイマツ地帯で雪に覆われているが、今秋の暖かい天気で其の雪が緩み、時々緩んだ雪面を踏みぬいて腰まで埋まる。 間もなく「北温泉」に連なる「中大倉尾根」分岐を右に分けて、右手に無名峰を見ながら硬そう雪面を選びながら緩い下り勾配のルートを前進。 下りきると此処からは比較的急な斜面の上が目指す「三本槍岳」だ。 この地点からの「旭岳」の容貌は秀逸である。 目指す三本槍岳の平凡な山容に比べ様も無い。 先端が「尖った三角錐」をなし、その3本の稜線が綺麗に裾を引く。 その左奥遠方には長く南北に伸びる山脈を曳く「飯豊連峰」、右奥には多分「磐梯山」と「吾妻連峰」だろうか・・・。 三本槍岳から北に伸びる稜線の先が絶世の美人の様に見える「旭岳」が在る。

三本槍岳の姿(南から):名前と大違いの丸い山頂 三本槍岳真北斜面・旭岳(三角形)・飯豊連峰(旭岳の左奥部)
三本槍岳北東斜面: 飯豊連峰(左奥)観音山・旭岳(中央)・甲子山 三本槍岳と無名峰間の北斜面

景色に見蕩れると雪面を踏みぬく歩き難いルートが登りに掛かる所で後方の無名峰(1889m)を振り返ると北面の崖に出来た小規模の「雪庇」が綺麗だ。 甲子温泉方面もやや低い山並みの先に伺える。 歩き難い雪の急坂を時々在る足跡を辿りながら喘いで登る。 足跡の無い雪面を歩き初めての足跡をつける気分は爽快だが、雪面を踏みぬく確立は高い。

旭岳と甲子山(右) 三本槍東の無名峰 三本槍と無名峰の間の北斜面雪庇 旭岳・甲子山等
三本槍岳北東斜面と旭岳(奥中央)     無名峰(1880m) 朝日岳・茶臼岳方面 大峠〜流石山群
  日光連山・奥白根山(左奥)・旭岳・飯豊連峰(最奥部)      朝日岳・茶臼岳・大笹山(左)・塩原の山々(右)

「清水平」を出て丁度、50分で目指した「三本槍岳」に辿りついた。 誰一人もいない「三本槍岳」を独占出来た。 一等三角点が在るだけに「360度の眺望」は最高である。 南方向には「茶臼岳」「朝日岳」「隠居倉」、東方向には無名峰(1889m)と赤面山(1781m)、西方は見事な長い純白の稜線が続く「大峠山・流石山・大倉山・三倉山・・」、北方向は「須立山(1720m)」に続く秀逸な容姿の「旭岳(1835m)」その左右の遠方には雪をタップリ被った「飯豊連峰」と「磐梯山」「吾妻連峰」が綺麗に見える。 北東部の山影には「甲子温泉郷」が在る。 景色を一先ず眺めて、写真撮影した頃、5−6人の若いグループが登山してきた。 三本槍の山頂部は広い平坦地だが、雪が消えて丸出しの土で汚れるので、北斜面のハイマツを覆う雪面にシートを敷いて昼食を開始。 5−6人グループは地元の経験者らしく付近のルートの解説をしてくれる。 食事しながら「流石山方面」と「須立山〜旭岳方面」について話を聞いた。 残雪期は避けた方が良い事と夏〜秋の期間の登山の素晴らしさを聞きながら今年中にでも是非歩きたいとの衝動に駆られた。

大峠・流石山・大倉山 飯豊連峰(右奥)・旭岳(中央)・磐梯山(右奥) 三本槍岳の展望:旭岳(左)と流石山群(右)

山頂到着時間:10時30分〜下山開始時間:11時40分の間、風も殆ど無い山頂で暖かい日光を浴びながら地元の登山者とおしゃべりを楽しんだ。 彼らが先行して下山の10分後の11時40分に「山頂の景色」を惜しみながら下山開始。
その時にまた4−5人の若い男女の登山者とすれ違う。 まだ正午前で目指した山頂からそんな早い時間に下山することは稀だった。 ゆっくりしながらの登山だったが、3時間で到着していた(夏の標準時間:2時間45分)。 同じルートを引き返すが、三本槍岳から「清水平」への下りは往路とは違う「略直線ルート」を選択した。 雪面の踏み抜き回数は格段に多かった。 夏季には全く通過できないハイマツ地帯と湿地帯の上を歩いたことになる。  

 大峠・流石山・大倉山・唐沢山(右から) 朝日岳のピーク 朝日の肩の展望:隠居倉・流石山群(奥)
【三本槍岳展望】飯豊連峰(左奥)・<旭岳(赤崩山):1835m>・甲子山・磐梯山(右奥)・吾妻山・朝日連峰(右最奥)

清水平で先程先行した5−6人の地元の登山者をパスして熊見曽根」に向かった。 高度差:100m未満と思われる雪の急坂は足元の緩んでいて「一歩進んで半歩下がる」ペースとなり、途中で疲れて、5−6人組みに追い越された。 久し振りに「息が切れ、足が重い」状態で12時15分に熊見曽根にヤット到着。 そのまま歩いて12時30分、「朝日の肩」に到着し、10分休憩後、剣が峰ー>(13:05)峰の茶屋跡避難小屋(13:10)ー>13時30分に登山口に帰着。三本槍岳山頂〜登山口まで1時間50分掛かった。 直ぐ装備を解いて13時40分出発。 道中眠気が射して小1時間仮眠して自宅に16時40分に帰着。 快晴に恵めれて4月上旬の残雪期三本槍岳登山を満喫した。 
上記の大きい写真は本日の最もお気に入りの景色<三本槍岳山頂から旭岳方面の展望>である。

『谷川岳雪上登山:第1部』へリンク