戦場ヶ原雪上トレッキング:第1編
<赤沼〜小田代原:貴婦人>

年月日 平成16年2月24日
メンバー 殿川紘史 福川正勝
主要ルート 宇都宮自宅(9:00)ー>(10:40)戦場ヶ原・赤沼茶屋駐車場(11:10)−>(12:10)小田代原展望台(12:20)ー>(12:45)小田代原バス停(13:20)−><雪原縦断>ー>(13:35)小田代原:貴婦人(13:50)−>(15:00)青木橋(15:10)−>(16:05)赤沼茶屋・駐車場(16:25)−>(17:50)宇都宮自宅
所要時間 トレッキング時間=4時間55分 <AM11:00-PM4:05>  総歩数=19300歩            合計時間=8時間50分

   戦場ヶ原・小田代原散策コース
写真上をクリックすると拡大出来ます
戦場ヶ原〜小田代原トレッキングマップ
戦場ヶ原トレッキングスライドショー
@<赤沼茶屋〜小田代原:貴婦人>    
A<白樺:貴婦人〜赤沼茶屋>

【戦場ヶ原概要】
『戦場ヶ原』は高度:1394mの中禅寺湖の奥にある湿原である。 男体山の噴火により出来た湖水が流出した土砂で埋められて湿原になっが、尾瀬ヶ原に比べると、乾燥化が進んでおり、湿原の中央を流れる湯川の周辺以外は白樺・唐松等の樹木の生育が進みつつある。 「湿原植物」は勿論、春先の「カラマツの伊吹き」、初夏の「ホザキシモツケ」、秋の「紅葉」、冬の「雪原」と四季折々の美しさを楽しめる。 戦場ヶ原の名称は、男体山の大蛇と赤城山のムカデがこの地で戦ったという伝説に由来する。 
【小田代原概要】
『小田代原』は、戦場ヶ原の西側にひつそりとしたたたずまいで、一見地味な存在であるが、雑踏から切り離された、静寂の中で、自然の営みを肌で感じることが出来る草原である。 戦場ヶ原と同じ様に湿原であったが、乾燥化が進み、湿原から草原へと変わったものである。 戦場ヶ原とは「ミズナラ」の林で隔てられていて、標高は戦場ヶ原よりも高く1410m、大と林に囲まれた盆地状の地形である。 草原は季節により、また陽の差し込む角度により、さまざまな表情がある。 北西辺のカラマツ林は樹齢200−300m年を数え、国内有数のカラマツ美林である。 「貴婦人」と呼ばれる「シラカバ」が小田代の中央にあり、カメラマンの撮影ポイントになっいる。

去年は2月14日に奥日光・湯元スキー場の帰途に、戦場ヶ原・六本松駐車場に立ち寄り、戦場ヶ原の東側:男体山と国道の間の湿原を散策し、その夜マイナス20度の気温の中で車中泊、翌15日に赤沼茶屋ー>小田代原展望台ー>小田代原バス停留所ー>小田代原手前・分岐ー>青木橋ー><湯川沿いルート>ー>赤沼茶屋・駐車場のルートの散策をした記録(HP掲載済み)が有った。 今年も去年の感激を思い出して、登山パートナーの「フクチャン」を誘った。寒さが苦手の彼は少し躊躇したが、好天を選んで実行の条件で同行することになった。  
小生宅に彼の車を置き、冬装備の小生のキャンピングカーでに同乗。 9時に自宅を出て、10時40分に目的地の「赤沼茶屋駐車場に到着。 先週からの異常陽気で、道中には全く雪は無く、また去年と違い駐車場はガラガラに空いていた。  

トレッキング装備は「ジュラルミン製ワカン」と雪に埋まる想定で防水パンツをズボンの上に着ることと、防寒対策だけだ。 写真撮影では「指先」の保温が問題。 山用品店で見つけた「3本指」が独立して出せる構造の「特殊手袋」は必帯品だ。 1周:3−4時間のコースだから昼食・水位の軽装備で十分。 我々は写真撮影が主目的だから、撮影機材も・・・・。11時10分出発の時に、写真撮影機材を抱えた中年夫婦が後から歩いてきたが、彼らは湯川ルートで「戦場ヶ原」に向かったが、我々は小田代原を目指した。 駐車場から直ぐ歩道を歩かないで、左手の「ミズナラの樹林帯」を歩き、全く足跡の付いていない雪上歩行の醍醐味を味わった。 天気は申し分ない快晴で、ミズナラの木々の日陰がくっきりと雪上に落ちて大好きな光景だ。 湯川沿いの小川の淵にある「ミズナラの巨木の影」の面白さに見とれて撮影。 樹林帯の中で雪から葉先を出した「ミヤコザサ」がとても孤独に写るが、強い陽光を浴びて、雪上に出来た葉の影の形が面白い。 

赤沼茶屋前国道 茶屋横の樹林帯  樹林帯越しの太郎山 湯川沿いのミズナラの巨木とモンスター
巨木の陰 湯川の流れ・橋周辺の雪原 厳しい風雪に耐えた孤独なミヤコザサ
     樹林帯の木漏れ陽を受けるミヤコザサ                  色鮮やかなキツツキ:フクチャン

「ミズナラとミヤコザサの雪上の影」に熱中する間に、フクチャンは先行していた。 「シャクナゲ橋」方面分岐点の湯川を跨ぐ橋で盛んに合図を送って来た。 手話?で返事したら安心して前進し始めた。 再度の合図を無視しながらゆっくりと追い付いた。 彼は20m先・約10mの木の枝に居る「キツツキ」を確認して、撮影しながら、小生に教えて居たのだったが、当然判らない。 指差す方向に色鮮やかな1羽の「キツツキ」が、音を立てながら、盛んに樹皮を剥いていた。 広角レンズを装着していたので、ザックから「300mm」望遠レンズを出そうとした時に、気付かれて離れた木に飛び移ってしまった。 残念至極!! フクチャンは数枚を300mm=480mm望遠(35mm換算)で撮影したと見せてくれた。後日、映像を借りる約束で安心。 凄いシーンを巧く撮影した映像を3枚(上:1枚、下:2枚)添付する。 こんなに鮮やかな色だとは思いもしなかった。 真っ白い雪原・黒を基調のミズナラの樹皮・真っ青な空の中に「黒・白の斑模様羽」に「真紅の帽子を被ったような頭」、それに「大きい嘴」。 自分のカメラの映像に残って居ないが、「この眼」にしっかりと例えようもない「綺麗なキツツキ」が妬き付いている。 今日最大の経験だろう。 興奮しながら樹林帯の中を「赤いテープ」と「スキーの跡」を頼りに前進した。  

鮮やかな帽子と大きい嘴 樹林帯とワカン 立派なミズナラの樹林帯を進む

1時間後の12時10分に「小田代原・展望台」と記された地点(決して高台ではない平坦地)に到着。 今までの樹林帯歩きの視界とは打って変わり、小田代原越しに「日光連山」が左から「山王帽子岳(2077m)」「太郎山(2368m)」、「小真名子山(2375m)」「大真名子山(2327m)」その間に僅かに見える雪で真白の頂の「女峰山(2483m)」が見える。 主峰の「男体山(2485m)」は右手の樹林帯の陰で見えない。「太郎山」の展望は此処が一番かもしれない。 歩き始めると、上着のフリース・防水パンツは重装備過ぎるが、休憩するとヒンヤリと感じる。 無風で暖かく感じるが、撮影の度に出す指先の冷たさから推定して「マイナス気温」には間違いない。 上の夫リースを脱いで、10分程度休憩と撮影で出発。 最近特に被害が多い「鹿」の食害防止柵(3m程度の金網に微弱電流を流した柵)の入口到着。 頭を低くしてヤット通過出来たことから推定して、約1mの積雪だろう。 此処まで来ると入口付近よりも明らかに雪は多い。 

小田代原・展望台の眺望:太郎山・子真名子・大真名子 ミヤコザサ    太り過ぎ?:着膨れ!!

無公害バスの運行用道路の歩行を避けて、湿原を通過することにしいたが、「ワカン」を履いていてもユックリ歩行しないと表面だけ硬い雪面を踏み抜いてしまう。 深い所は股下に近い。 ここまで埋まると、脱出は簡単ではない。 小田代原・休憩所=バス停留所に近づくに従い雪が深まり、とうとう先行する「フクチャン」は車道歩きを始めた。 それ追々して前進するが、「ワカン」の爪が路面に触れて、雪がないと歩きにくい。 12時45分、休憩所到着。 積雪は80cm〜1mのようだ。 除雪されているので簡単に屋根の下に・・・。 冬季間はバスは運休で、立派なトイレも閉鎖中。 先ず防水パンツを脱いだ。 空腹を感じて昼食。 自宅から持参の「2個のオニギリ+水」。 準備したミカンがない。 バーナーとコッヘルは持参したが、面倒なので、コーヒーは沸かさず、ペットボトルの水で喉を潤す。 その程度の寒さだ。 フクチャン持参の「大福餅」と「チョコレート」を頂いて休憩。 フクチャンの早飯食いには敵わない!! 

湖上山・外山 樹林帯のミヤコザサ        ワカンの足跡    小田代原中央と背後の日光連山

「貴婦人に会いに行く」との言葉を残して、彼は雪原に入り直進していった。 5分遅れて出発。 先行するフクチャンを雪原の点景に使うためだ。 雪原入口には再び「鹿防止柵」の入口を低く背を屈めてくぐる。 4−500m先の雪原の中央に白樺の巨木:貴婦人」が小さく見える。 その背後には「太郎山・小真名子・大真名子・女峰山・男体山」が湿原を囲むように真っ黒く見える。 山の斜面の雪は驚くほど少なく見える。 左手には「奥日光白根山」は見えないが、手前に「湖上山(2111m)」「上山(2204m)」更に左手には奥白根山(2578m)を隠している「白根隠山(2410m)」「白桧岳(2394m)」が見える。 その間の白い峰は「前白根山(2373m)」かも知れない。 

貴婦人も見える 雪上の陰影 埋もれた幼木 湖上山・外山:雪と木々の色

独立した白樺の巨木:貴婦人へ雪原を直進すると雪面には自分の足跡=ワカンが、動物の足跡のように見える。 風邪の足跡=風紋が目立たないが、光線を斜めにすると良くわかる。 その跡を消さないような配慮(???)をしながら
貴婦人を見るとフクチャンが繁々と見上げたシーンを50m位離れて撮影。 有難いモデル!! 人間が居ないと周囲のスケールの大きさの比較対象がない。 早く記念写真を撮って呉と催促するのを遮って暫し、白樺の木を主役にして,前後・左右から、また背景の山々を大きく・小さく、山を変えて、縦・横等のフレームにしてXX枚も撮影。 最後に、彼の要求を満たして記念撮影。 自分の同様に・・・。 貴婦人に凭れ掛るようにした写真も。 記念写真が終わると、彼は待ちかねたように、先行してしまった。 高貴に見える白樺の樹皮は自然の傷と「心無い訪問者」の落書きの跡が見える。 余り近づき過ぎては「駄目」・・・とここでも悟った。

貴婦人望遠 風の足跡=風紋 湿原縦断ー>白樺の巨木:貴婦人とフクチャン
上下左右・遠近:あらゆる角度から見上げた『白樺:貴婦人』はカメラマンの人気スポット   触ったり・凭れたり

その後貴婦人の周囲を見ると20−30mはなれて黒い樹皮の低木があった。 貴婦人と比べると、生活=成長に苦労した老父?、老夫?にも見えてきた。 そんな気持で撮影した「ズミの木」? 写真にすると、真上に高く伸びただけの白樺よりも、低い背丈ながら大地にじっと耐えながら曲がりくねった幹の先の多様な枝を持つ「老夫?」の方が・・・。 世間の注目の的の側で、誰にも無視されたような木の方が、価値を感じる。 この貴婦人から100m以内に「将来性」のある「2本仕立ての白樺の木」を見つけた(写真:下中央)。 此れは貴婦人の子供かも知れない。  

黒子に徹する老婦?老父?誰も見ない? 将来の貴婦人候補 男体山望遠 白と黒の混合林

こんな勝手な想像をしながらの撮影で、20分間も徘徊したようだ。 辺りにはフクチャンは見えない・・・と思ったら、湿原からも木道(雪で埋もれているが・・)方向=山手方向にいた。 どうせならと小田代原湿原のど真ん中の歩行を続けることした。 目標は戦場ヶ原の中央を流れる湯川の「青木橋」

第2編:<小田代原ー>戦場ヶ原>に続く