大普賢岳(1780m)登山・縦走:第1編
和佐又ヒュッテ・小普賢岳・大普賢岳・国見岳・
七曜岳
・無双洞・和佐又山分岐・登山口>

登山年月日 平成16年5月01日 快晴
登山メンバー 殿川 紘史 (単独行)
主要ルート 【4/30】山上ヶ岳(大峰山):大峰大橋(13:00)−>(14:00)洞川温泉(16:05)−>行者環トンネルー>(17:40)和佐又ヒュッテ(車中泊)
【5/01】和佐又ヒュッテ登山口(5:15)ー>(5:25)和佐又山分岐ー>(6:50)小普賢岳(6:55)ー>(7:30)大普賢岳(8:00)ー>(9:00)国見岳(9:20)ー>(9:55)七曜岳(10:05)−>(11:20)無双洞・水蓮の滝(11:55)−>(13:10)大普賢岳分岐ー>(13:30)和佐又山分岐(13:40)ー>(15:00)和佐又ヒュッテ(17:05)−>#169号ー>(17:40)行者環トンネル西口(車中泊)
所要時間 登山・縦走時間:9時間45分 <AM5:15-PM3:00>  全体:12時間25分  総歩数:27700歩

 八経ヶ岳山頂から見た大普賢岳

  水太覗付近から見た小普賢岳
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大普賢岳登山・縦走ルートマップ
スライドショー 【第1/2編:@ A】 【第2/2編:@ A  B

【大普賢岳登山・縦走関連情報】:近畿百名山
大普賢岳(1780m)は吉野〜熊野への修験道:奥駆道にあり、山上ヶ岳(女人禁制:大峰山)から行者環岳を通り弥山・八経ヶ岳(大峰山):日本百名山への中央に位置する。 大普賢岳が最高峰だが、小普賢岳・弥勒岳・国見岳・七曜岳等からなる山群を形成している。 ブナ等の原生林と大岩壁が多くシャクナゲの花が楽しめる山群である。

【4/30】山上ヶ岳(女人禁制:大峰山)を大峰大橋に午後1時に下山後、駐車した車を回収後、 途中で名水『ドロドロ水』をペットボトル4LX4本分に詰め込んで洞川温泉駐車場に向う。 1週間近畿の山々登山で同行してくれた大学クラスメートのON氏と分かれて、洞川温泉で汗を流した。 温泉の休憩室で休憩しながら、「山上ヶ岳登山」の写真をメモリーー>PCに移動してスライドショーで鑑賞。 その間「カメラ用バッテリー」を充電。 午後4時に洞川温泉駐車場ー>明日の大普賢岳登山口「和佐又ヒュッテ」に向けて出発。 行者環トンネルと経由して登山口駐車場に午後5時40分着。行者環トンネル東口に近い林道から見える山並み・稜線は夕日に当たり新緑が輝いて見えた。 多分紅葉の時期には同様に素晴らしい眺望があられることだろう。

行者環トンネル東口から出た林道の右手を眺めると稜線の木々は未だ芽吹かず、8合目から下の谷間にかけて落葉広葉樹の新芽が一斉に出ている。 特に稜線から伸びる支稜線上は広葉樹、斜面は常緑樹と別れ、緑色の濃淡がはっきりしている。 濃い緑が常緑樹・松類だろう。

月01日:大普賢岳登山・縦走

4時40分起床して天候確認で、快晴ではないが雨の心配は無いことが判り安心。 5時15分駐車場側の案内板に沿ってキャンプ場の坂道を和佐又山分岐に向けて出発。 数十メートル高い丘から南方を見ると上空は雲がないが遠くの山並みに薄い雲が見えるが視界は良かった。 5時25分に和佐又山分岐点到着。 大普賢岳及び奥駆道縦走路全体地図と特徴などの解説を読む。 周辺は「ブナ」の大きな木が茂る。 右の登山路を取りブナ林の坂道を登る。 ブナ林が切れると5時50分に「シシ窟」と書かれた切り立つ岩の窪みに差し掛かり、修験道の行場だと知る。6時に「朝日窟」、6時7分に間口11m・奥行き4m位の大きい窟には中央に「不動明王」が祀られている「笙の窟」に来た。 6時10分に「鷲の窟」と続く。 この辺は左手が切り立つ崖で右手は急傾斜の樹林帯に落ち込む。

南方向の空と山並み 指弾(シダン)窟 シシ窟 朝日窟 最大の窟:笙の窟

険しい岩をクサリ・階段で上り詰めると大きい石がある展望台に来た。 標識板が破損して判り難いが「石の鼻」と書いてあるようだ。 此処からの展望は北方面が左から「小普賢岳」〜明王ヶ岳〜伯母覗〜日本岳周辺が一望出来たが、天候はハッキリしないような曇に近かった。 上空には雲は無いから後では晴れるようだ。

樹林越しの南方向 石の鼻からの展望(左):北方 (中):北西方向 (右):北東方向

小普賢岳と笙の尾根に挟まれた谷間には新緑が全体を覆い、その谷に落ちる小さい幾つもの稜線が朝日に照らされ始め例えようの無い美しさだった。 夫々の小さい稜線の頂上部には落葉広葉樹林が残り、その間に松類(トウヒ?)と思われる濃緑色の樹林帯が模様を描いている。 


落葉広葉樹林帯は柔らかい緑と赤茶色の新芽か花が混じって居る。 暫くこの谷間の新緑に見蕩れてしまった。 高度計は1,520mを指している。 約10分間書く方面を撮影して、小普賢岳と大普賢岳の鞍部を目指した。 6時45分に鞍部着。 左手は「小普賢岳」、右手方向は「大普賢岳」に続く。 余りに急な小普賢岳へのルートに頂上へ上ることを躊躇ったが、朝は早いし、二度と訪れるチャンスは無いだろうと上り始めた。 鞍部から5分で小普賢岳山頂(1640m)に到着。 狭い頂上部は木々に覆われて殆ど展望は利かず、側の「大普賢岳」も木の間から垣間見る程度だった。 


小普賢岳山頂を踏んでまた急坂を鞍部まで下った。 大普賢岳の周囲を右に巻いてクサリと梯子を伝って岩山を登ると
山上ヶ岳方面から来る「奥駆堂歩道」に合流した。 左折して最後の急坂を登り切ると「大普賢岳山頂」に着いた。 7時30分で登山口を出発してから、2時間15分だった。 給水と軽食を摂って落ち着き360度の大展望を味わい始めた。


大普賢岳山頂は広く3等三角点があり、その展望は殆ど360度の全域が視界の中にあった。 地図を広げながら見える
山の同定を始めた頃、一人の30歳台の登山者が上って来た。 今朝、山上ヶ岳を少し降ったキャンプサイトから来たのだ
と言う。 昨日の山上ヶ岳の大峰山寺の境内で話しに出た最寄のキャンプサイトのようだ。 昨夜は5−6張だったようだ。

行者環岳の後方:弥山・八経ヶ岳 山頂標識                マンサクの花と稲村ヶ岳

大普賢岳山頂の眺めを記述すると以下の様になる。 @ 北西部:金剛山・葛城山  A 北部:山上ヶ岳・大天井ヶ岳
B 西部:稲村ヶ岳・大日岳  C 南西部:弥山・八経ヶ岳・七面山  D 南南西:仏生ヶ岳・釈迦ヶ岳  E 南南東:日出ヶ岳(大台ヶ原) 上記山並みだけでなく、もう一つ絶景は東部に広がる谷間:地獄谷それに続く「ワサビ谷」へ靡く沢山の小さい稜線やその斜面、その斜面に繁茂する樹林帯の美しさだった。 緑の濃い色は「トウヒ等:松類」黄緑や薄いピンク色は落葉広葉樹だろう。 柔らかい黄緑が濃い緑の中に線状に混ざって茂る模様が面白い。

弥勒岳・国見岳・七曜岳・行者環岳等 大普賢岳・小普賢岳 地獄谷・ワサビ谷方面  弥勒岳方面へ

若い登山者は今日の宿泊地:弥山小屋周辺を目指して出発した。 大普賢岳での展望を何時までも鑑賞したい気持を振り切るように、8時丁度に大普賢岳(1780m)の頂から、縦走予定の「弥勒岳」・「国見岳」を目指して急な降りルートに取り付いた。 手でルートの側の木々や岩を保持しないでは安全に降れない程の急な道だったが、その両側には諸所に「シャクナゲの葉」が沢山茂っている。 もっと遅い時期ならシャクナゲの花が沢山見られそうだ。

綺麗なブナ林 地獄谷・ワサビ谷方面を見下ろす:やや赤みを帯びて見えるのは若い新芽だった
大普賢岳・小普賢岳からキレ落ちる岸壁と斜面や谷間の新芽のコントラストに見蕩れる 小普賢岳・明王岳

大普賢岳の急な南斜面を下り切ると緩やかなブナ林に出た。 「水太覗」と名付けられた大普賢岳東斜面の絶壁が「水太谷」に落ち込む場所で暫く谷間を覗きっ込んだ。 比較的若いブナ林では新芽が出ていないので、下草まで満遍なく陽光が当たっている。 両側にシャクナゲが茂り、其れがトンネルのような所も在った。 苔が樹皮についた模様が大好きだ。 

大普賢岳からの急坂を降り切ると平坦地が広がり、その一帯は「ブナ」が大きく茂り、その一部に「シャクナゲ」の大きい木が繁茂する所も通過した。 振り返るとブナ樹林帯の先に「大普賢岳」の均整の取れた三角形の山頂部が見えた。

緩やかなブナ林を進むと「弥勒岳」を巻く様に左に回り込むと正三角形の尖ったピークを持つ「国見岳(1655m)」を過ぎると再度急斜面の下り始めた。 岩の狭い稜線部の標識点で小休止。 昼食のパン・果物・ソーセージ・チーズを摂った。 辺りの大きい岩には緑濃い苔が厚く生えていた。 この付近は大きい石が折り重なり「七つ池」と呼ばれる大きい石の窪地が幾つも在った。 其処から湿気が供給されるのだろう。 余り湿度が高いとは思えない地域に見えたが苔が多いのは窪地の不思議だった。

ブナ林帯を過ぎて弥勒岳に向うルート 七つ池周辺は大きい岩が折り重なり大きい窪地あり、怖くて中には入らなかった。 この付近は水分多く苔の繁茂が多かった。

この地点がルートミスし易いポイントの様だ。 安易に右の枯れ場を降れそうだが、角度が90度違う。 昨日夕方、和佐又ヒュッテ駐車場で下山したばかりの中高年夫婦は此処でルートミスして、1時間以上もロスしたとノ情報をくれた地点と判断して、周囲を見渡すと、90度左の高台に通じる「唯一のテープ」が小枝に見えた。 シテヤッタリとこのルートを辿ると「七曜岳(1584m)」が見えた。 山頂は大きい石があり、本当に狭い。 この石の上から「大普賢岳・小普賢岳」方面を展望した。 

苔が石や生きたブナの幹んも沢山生えている。奥の三角形のピークは「国見岳(1655m)」 七曜岳頂上部から眺めた「大普賢岳」「小普賢岳」「他」の三角形に尖った特徴ある稜線の凹凸を撮影した。

七曜岳山頂(1584m)で大普賢岳方面をゆっくり眺め終えて、山頂から降ると苔が石や倒木に生えた斜面に出た。 直ぐに「無双洞」方面と「行者環岳・山上ヶ岳」方面の分岐点を左折して一気に東南東方向に伸びる稜線に沿う形で急坂を下り始める。 

七曜岳の展望:左・中央の写真は小普賢岳の右(北)方向稜線      石や倒木には緑濃い苔が豊富にあった

その稜線も湿気の豊富な地域は諸所にあり、其処には苔が豊富だった。 七曜岳やその周辺から眺める「大普賢岳」山群は左右に広がりを見せていい眺めである。

斜面の緩い湿気の多い所には苔が豊富 稲村ヶ岳・山上ヶ岳 大普賢岳・小普賢岳 白倉谷方面

未だブナ中心の落葉広葉林は芽を出していない為に斜面全体に陽光が届き、下草に当たる低木が早めに新芽を出して中には花を付けるものもある。 落葉で斜面は絨毯の様にふかふかして歩き易かった。