弥山(1895m)・八経ヶ岳(1915m):第1/2編
                  <日本百名山>
<行者環トンネル西口〜奥駆出会〜弥山〜八経ヶ岳:往復

登山年月日 平成16年4月29日 快晴
登山メンバー 殿川紘史・ON氏
主要ルート 【4/28】道の駅「杉の湯・川上」(14:30)−>#169−>(15:30)行者環トンネル西口(車中泊)
【4/29】トンネル西口(7:35)−>(8:30)奥駆出会(8:35)−>(9:05)弁天の森ー>(9:35)聖宝ノ宿跡(9:40)−>(10:35)弥山山頂(10:50)−>(11:10)八経ヶ岳山頂(12:10)−>(12:35)弥山小屋(12:55)−>(13:30)聖宝ノ宿跡(13:45)−>(14:15)奥駆出会(14:30)−>(15:20)登山口(15:45)−>#309−>(16:20)洞川温泉(16:45)−>(17:00)ケマタ橋(車中泊)
所要時間 登山:7時間45分 <AM7:35-PM3:20>  総合:9時間25分


 ヒメシャラと苔の坂道


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弥山・八経ヶ岳登山マップ
スライドショー 【第1/2編(往路):@ A】   【第2/2編(復路):@ A

【八経ヶ岳(大峰山)関連情報】<日本百名山>
八経ヶ岳は日本百名山にリストアップされているが、別名で『大峰山』として記載されている。 関西の山に「山上ヶ岳」の名前の山があり、此れも「大峰山」の別名を持つており、当初は「信仰の山:女人禁制」を厳しく守るこの山上ヶ岳と勘違いした。 深田久弥が著した百名山には次のような記載がある(一部のみ抜粋)。 『大峰山はわが国で最も古い歴史を持った山である。 この山についての古記録は、枚挙にいとまがない。(略)開山は役ノ小角と伝えられている。斉明朝元年(655年)彼は22歳で大峰山(八経ヶ岳)の上で苦行したと言うから、此れを登山記録と見れば、日本最古であろう。』
<登山ルート> 八経ヶ岳(大峰山)への登山ルートは大きく別けて4本ある。 最も近い@から登山した。
@ 行者環トンネル西口ー>奥駆道出会ー>弥山小屋ー>大峰山山頂 <所要時間:3時間>
A 釈迦ヶ岳山頂ー>孔雀岳ー>仏生ヶ岳ー>大峰山山頂  <所要時間:4時間45分>
B 行者環岳山頂ー>行者環トンネル西口分岐ー>弥山小屋ー>大峰山山頂 <所要時間:4時間>
C 坪内ー>栃尾辻ー>狼平ー>弥山小屋ー>大峰山山頂  <所要時間:6時間05分>

荒天を避ける為に、4月26日夜「大台ケ原駐車場」から、道の駅「杉の湯・川上」に降りて、天候の回復を待った。 翌27日も雨・風が強く、登山には不向きだったので、終日車内で待機。 28日には回復するとの天気予報も遅れて、午後から関西のマッターホルン「高見山()」を登る計画も強風で中止。 ようやく午後2時30分に「八経ヶ岳(大峰山)」登山口である、行者環トンネル西口に向けて出発した。  国道#169号の「天瀬」で林道に入り、急坂を登る途中、行者環トンネル東口付近から見る「高塚山」の西稜線・その北斜面の眺めは、新緑と山桜に見えた赤系統の花?新芽?と混ざり、素晴らしかったが、道路側面への駐車の困難さと行者環トンネル西口への到着時間の心配から、とうとう写真撮影の機会を見送った。 午後17時頃、トンネル西口に到着。 パーキングスペースを見つけて無事駐車して安心。
相変わらず、駐車場を吹き抜ける風は強く、車体が大きく揺れることもあり、明日の登山への不安は続いた。 今夜は寒そうだ。 
『道の駅:杉の湯・川上でエピソード』
2日目(28日)午前中に警察官が小生の車の横ドアーをノックする音でドアーを開けた。40歳位の警察官が「身分証明書:免許証」の提示を求めた。 理由を聞くと「2日間も駐車」しているからだという。 個人駐車場なら判るが、道の駅(公の駐車場)での天候待ちの駐車が『不審の原因』だとする根拠を質すと「シドロモドロ」!! 「道の駅」への最長駐車時間のルールもないし、「不当な嫌疑」であるとの根拠に乏しく、身分証明書の提示理由に納得出来ないことを伝えた。 約10分の問答の末にその警察官は不機嫌にドアーを閉めて退散した。 時間が充分在るので咄嗟に警官の要求を拒んでみただけ・・・少しの悪戯!!。 ON氏いわく『警察手帳』の提示を求めたら、より面白かったのに・・・ 其れは「遣りすぎ」? でも最近は警官を装った犯罪が多いから、今度、免許証や身分証明書の提示を受けたら、先ず最初に「警官の証明書」の確認が必要の結論だった。
2日間も同じ場所に駐車し続けるキャンピングカーに側のホテルの支配人が不審を抱き、管轄の駐在所に連絡がされたことが背景で在った。 4−5年間もの道の駅駐車経験で、こんなの初めて!!

何時もより遅い午前6時15分起床。 やはり風は強いが昨夜よりも納まりつつある。 気温も低い。 寒さ対策をして、午前7時35分出発。 周囲の車(約40台?)は全部、登山者用。空は晴れ始めたし、歩けば寒さは感じず。 木製・三角形の補強アーチの橋を渡ると間もなく急坂が始まった。 ルートも多少荒れて歩きにくい所もあるが、両側の樹林帯には「ムラサキヤシオツツジ」「ムシカリ」の花があり、「シャクナゲ」の揃った葉が美しい。 石に沢山の苔が生え、ヒメシャラの細く美しいツルツルの幹が豊富な斜面もあった。 途中で我々より年配の登山者が追い付いてきた。 おしゃべりしながら暫くのつもりで、一緒に登り始めた。

登山口直近の沢と橋 最初のムラサキヤシオ 珍しい色のシャクナゲの葉 朝日を受ける石の上の苔 ブナの巨木

8時30分に奥駆道出会に到着。 左に進むと「行者環岳」経由で「大普賢岳」ー>「山上ヶ岳」につながる。 弥山や八経ヶ岳(大峰山):日本百名山は右手を登る。 稜線上には「ブナの大木」があるが、新芽が出ていない今は大陽光線が降り注ぐ。 休憩するとか風が冷たいが、歩行すれば寒さは感じない。

奥駆道出会地点:弥山・八経ヶ岳(正面方向)と行者環岳(反対方向) 緩い登道:弥山へ

記念写真を写して、右手の坂を登り始めた。 間もなく地面凹部には昨日・一昨日の雨が此処では雪だったようで白い新雪が諸所に残っていた。 ブナの大木の間から、北方には「大普賢岳・小普賢岳」等が特徴ある山容を僅かに見せている。少し前進した右手からは「山上ヶ岳」「稲村ヶ岳」等が見える。 これ等の同定には、途中から一緒の登山者から聞いた。 地元らしく、頻繁に来ると言った。 ON氏共に、急ぐ登山は好きでないので、先行して貰った。 

 少しの残った新雪 ブナの見事な枝振 快晴の空とブナ林   山上ヶ岳・稲村ヶ岳方面

略登りも勾配が減り平坦地に近いルートに変わってきた。 南斜面には「コバイケイソウ」の新芽が吹きはじめていた。 立ち枯れしたブナも多く、見上げると青空をバックに不思議な光景と感じる。 倒木の陰に吹き貯まった新雪、緑の苔、落ち葉の茶色が主要3色の世界だった。

ドンドン気温も上がり緩い坂道とハイキング日和 南斜面のコバイケイソウや倒木の苔

登山口を出てから、1時間30分で「弁天の森」の黄色い標識板に出た。 倒木の苔・大きい切株、隙間に寄った純白の
新雪と、若いブナ・雑木が茂る森が青空の背に美しい。 休憩も取らず、前進とした。

倒木に生えた緑濃い苔 弁天の森 古木の後に出た若いブナや雑木林

ブナの巨木の下に「青銅の銅像」が在った。 此処は「聖宝ノ宿跡」と書いてある。 辺りはやや窪地をなし、僅かに湿地の様に水が貯まっていた。 石や倒木に苔が多い。 上を見上げるとブナの大木が上空に枝を一杯に広げていた。 此処は風も当たらず、陽だまりで暖かいので、5分分の小休止して給水と軽食を摂る。 

ブナ林内:大空に枝を広げたブナの巨木 聖宝ノ宿跡の銅像(青銅)

少し勾配がまして来たが、「胸突き八丁」と書かれた看板とは聊か違う。 2日間の休養で、頗る体調は良く、汗もかかず、呼吸の乱れも少ない。 傾斜面の倒木の苔が陽光に照らされて輝く。 この辺のムシカリは葉を出し始め、蕾が膨らみ始めた程度で、登山口とはかなり遅れていた。 木製の階段が続いて、弥山小屋はもう直ぐそこまで来た。

聖宝ノ宿後からは勾配は強まるが依然歩き易いルートが続く ムシカリの新芽 弥山小屋直前

小屋周辺のベンチで小休止して、弥山小屋の右手の鳥居を潜って頂上に向かう。 この一帯のトウヒは立ち枯れが極端に多い。 二番目に鳥居をすぎると 茂みに入った。

弥山山頂へ:第1番目の鳥居・第2番目  立ち枯れしたトウヒ群 奥駆道出会基準の高度と距離・山の位置関係 弥山小屋前の看板

直ぐに茂みが過ぎて、正面に板塀に囲まれた「祠」があり、その前に第3番目の鳥居があった。 鳥居・祠を背景にON氏と二人で記念写真を登山者に撮って貰った。 祠の裏手に回って更に驚いた。 殆ど100%の木々が立ち枯れ状態で異様に見える。 立ち枯れした木々の間から、「大普賢岳」「山上ヶ岳」更に「大天井ヶ岳」等が連なって見えた。

枯れた木の剣 山頂での記念写真  山頂の囲いと祠 山頂:北北西方面 白骨化した倒木

約20分間、周囲を展望・撮影しながら、弥山小屋方面に戻り始めた。 右手の枯れ木の間から二等辺三角形の「八経ヶ岳」、その右に見えるのは「仏生ヶ岳」だろうか? 弥山小屋を左に見て木立に間の小道を右折すると、「八経ヶ岳」へのルートが在る。 ON氏に連絡して、少し山頂まで急いで登ってみた。 左右はなだらかな丘陵地帯に見え、看板に寄ればこの一帯には「オオヤマレンゲ」の木が群生しているらしいが、すべての木の新芽はなく、一面の枯れ枝に見える。
鹿の食害防止のために「網」は張り巡らされていた。 その入口・出口には扉がある。

山頂裏の荒廃 八経ヶ岳:弥山から 弥山ー>八経ヶ岳へ  オオヤマレンゲ群落保護地域(看板有)

11時10分に「八経ヶ岳」山頂に到着。 記念写真・周囲の展望写真を撮り、地図を頼りに周辺の山並み同定を試みた。 奥駆道出会まで一緒だった彼とまた一緒になった。約10分遅れて、ON氏が山頂に到着。 昼食にした。

八経ヶ岳登山:第2/2編に続く