宮之浦岳縦走:第2日          

<淀川小屋−>宮之浦岳直下ビバーク地点>

登山年月日 平成14年4月11日(第2日) 雨・風
登山メンバー 殿川紘史  (単独行)
主要ルート 淀川小屋(7:30)―>(9:10)小花之江河(9:15)ー>(9:35)花之江河(9:45)―>黒味岳分岐()―>翁岳()―>(13:30)宮之浦岳(13:40)―>(14:05)焼野三叉路(14:10)ー>(14:25)永田岳方面引返し地点(14:40)ー>焼野三叉路(14:55)ー>(15:30)平石:ビバーク地点(泊)
所要時間 8時間  <AM7:30ーPM3:30>

安房岳?付近の岩山

宮之浦岳山頂


6時起床・朝食。 衣の如き雨で強くないが降り続ける中を宿泊者の最後として7時30分出発。 ゴアーの雨具をつけると歩き難い。


< 春雨の小花之江河の風景 >


9時10分:小花之江河を過ぎて35分、花之江河着。 最南端の高層湿原を撮影するも春の花や新芽には早すぎて色彩の少ない湿原だが、春の美しさは想像がつく。木道を辿って「水場」でフレキシブルペットボトル2本に給水。 霧が立ち込めて視界は50m−100m位。足元の悪さと荷物の重さで予定時間からの遅れを知るもペースを上げると呼吸が苦しい。どうも小生が最後の登山者と確信。 雨のためカメラを頻繁に使えない。


<満開の馬酔木> <花之江河入口> <花之江河から宮之浦岳方面出口>

 < 花之江河の湿原 >

<水場への木道> <宮之浦岳への分岐> <湿原入口>

  

少し離れた「花之江河」を出たのは9時45分。 途中予定した「黒味岳ピストン」(1831m)は霧・風・体力・時間を考えて中止して前進を急ぐ。 視界がドンドン悪くなり、右手に見えるはずの投石岳(1839m)や安房岳(1847m)は通過しても山全体の展望が出来ない。 足元には花崗岩が露出して登山路の凹凸が激しく歩行し難い。 悪条件で予定時間を大幅に遅れるし、道中登山者には一人も会わず不安は増す。 約15分間隔の休憩。 翁岳(1860m)と思しき最後の水場で2.5Lと1Lのボトル日本を満タンにすると明らかに荷重超過を感じ始める。 


< 安房岳〜翁岳付近 >
 < 小雨に霞む栗生岳 > < 山頂の巨岩 >


大きい花崗岩の塊を遠くに見て「宮之浦岳」に近いと見たのは栗生岳(1867m)で、錯覚とわかりがっかり。 山頂の大きい岩に近づきアクセスを試みるも不可能で中止。 視界が無く距離感覚が判らない。 雨の中で「調理済みの昼食」を掻き込む。気を取り直して前進・前進するもスピード上がらず。13時39分にようやく宮之浦岳(1936m)山頂に到着してホットする。全くに近く視界が利かない。 雨の中で記録写真に頂上の花崗岩と標識を撮影。 眼前に見えるはずの「永田岳」も全く見えず。 


<登れなかった栗生岳の巨岩>
 < 雨・ガスで視界の利かない宮之浦岳山頂 >  <焼野三叉路ー>新高塚小屋>


  

小休止後、永田岳背後の「鹿の沢小屋」を目指して宮之浦岳を下山開始して「焼野三叉路」着:14時5分。 侵食の進ん笹笹の道を見極めて「永田岳」に向う直前に、若い登山者追い越してきた。 多分今朝一番で「淀川入口」から入山したのだろう。 彼も「鹿野沢小屋」を今夜の宿と決めている。 二人となり不安が減少。 一緒に前進を合意して進んでもドンドン熊笹が覆いかぶさり侵食された登山道も見えにくくなる。 約5−600M前進して所で、道の誤りかと認識して、確認の為に引き返す。 二人で何度も地図で確認するもこれ以外のルートは見当たらない。 視界が良ければ「永田岳」の方向が確認出来何も心配ないが、何も見えない為の問題。 もう一度確認の為、約500m前進。 間違いなさそうだが、この藪漕ぎと永田岳を巻いた後のルートの長さ(三叉路から普通で約60分、それに翌日は逆に「急坂」を昇り返すため、80分以上)を考え、「鹿野沢小屋」利用を断念することに決定。 若い彼は「鹿野沢小屋」に向うという。 二人は逆方向にーーー。 小生は「焼野三叉路」に向う。14時55分に焼野三叉路に戻る。 約50分間のロスタイム !! もう次の山小屋「新高塚小屋」には疲労を考慮すると時間が少ない。(元々鹿野沢小屋利用を計画したのも、新高塚小屋には遠すぎるからーー)。 次の水場に近い「平石」周辺に「ビバーク」を決意して三叉路を後に歩き始める


  

<焼野三叉路の縦走路表示板> <距離表示:宮之浦岳(0.5K)・永田岳(1K)・新高塚小屋(3K)>


15時30分 平坦な広場に到着。 チェルトの支えは「標識」と熊笹なら可能と判断して体力のある中のビバークを決断。早速「チェルト」の設営で20分。 強くはないが降り止まぬ雨の中で、夕食・朝食・昼食の3食を作り始める。 16時5分 定番の「カレー夕食」とスープ・コーヒーで体温を上げて荷物の区分作業でテント内持ち込みの物を選択。 外部にザック(雨カバー付き)・炊事用具一式・ゴアーの雨具等を風に飛ばされぬ様に確保。 17時20分にシュラフ・カバー・食料(朝食・昼食)、それに濡れたシャツの上にセーターを着込みシュラフに入る。 益々雨・風ともに強くなる。午後10時頃から「強風+雨」となり、チェルトが飛ばされそう。 幾度となく熊笹との結合部が緩む・締めるの繰り返し。 幾度となく「ビバーク選択」が正解かミス判断かを自問自答を繰り返し、常に「ビバークは正解」と自己納得を強制した。頑張って歩けば「新高塚小屋」で安眠出来たのにーーーと何度も考えた。 強風で擦れる熊笹の音と不安で眠れない。 夜中に二度目覚め「チェルト」が吹き剥されているのを修正。 余り濡れてなく、幸運にも「雨」は夜中に止んだらしい。

<注> ビバークは最初の経験であり、天候が更に悪化しないうちに、設営を終了・食事準備・食事等で我を忘れ、1枚の写真も残っていない。