ヤクスギランド散策

登山年月日 平成14年4月10日  晴〜曇
登山メンバー 殿川紘史 (単独行
主要ルート

民宿(8:10)ー>(8:40)安房(9:26)ー>(10:05)ヤクスギランド入口(10:25)ー>(11:00)荒川橋ー><150分コース>ー>(11:40)蛇紋杉(11:50)ー>(12:10)天柱橋ー>(12:40)沢津橋ー><80分コース>ー>(13:35)清涼橋ー>(13:40)ヤクスギランド入口

所要時間 3時間35分  <AM8:10−PM1:40>

 ヤクスギランドコース概念図


6時起床。 朝食・昼食用に「混ぜご飯」を同時調理を済ませる。 7時より約50分間民宿周辺・宮之浦の川縁を散策。 快晴の一日を予測出来る素晴らしい天気で、民族資料館横のバス停留所から本日から目指す屋久島連峰が眼前に見える。 バス停を確認・写真撮影後民宿に戻り、民宿にデポするテント・食料を小型ザックに入れて残し、約30キロのザックで再度バス停に向う。8時40分安房着。高いバス代(大型荷物代を含む)に驚く。 安房発9時26分の「ヤクスギランド」行きバスまでの約30分を海岸の観光施設まで散策(荷物は停留所にデポ)
ヤクスギランド散策

10時過ぎヤクスギランド着。 ビジターセンターに荷物をデポして「ヤクスギランド:3時間コース」をスタート(入場料:¥300)。 整然と整備された木道を辿る。 苔むした大きい杉の切り株の連続にシャッター操作に忙しい。 資料等で調べて予備知識があったが、現物のヤクスギいl本・1本の見事さ、其れにもまして群生する巨木、それに着生する10種類以上の広葉樹・幹の苔の濃度等が、不思議な神秘性を漂わせる。 立ち止まって観察を始めると前進出来ない。 目を瞑って先の工程を考え急がざるをえない。 1本の巨木が寿命や強風で倒壊すれば、その木が占めていた空間が空き、太陽光が射しはじめ、小さな世代の異なる木々が競争して、太陽光を栄養源にして成長速度を速める。 巨木の幹も高湿度環境下、バクテリアの手伝いも受け腐食開始。 其処に上部の木々の種子が落ち、幹の苔を土として芽を出し成長して「倒木更新」が始まる。 ヤクスギランンド内を歩き回る内に、この更新の例が、初期段階から数百年経過した物まで幾つも観察できた。 中央下の写真は「初期段階の倒木更新」の例だろう。 その右の倒木は、何れ中央の例に従うだろう。  

くぐりズカ 初期段階の倒木更新の例 背丈に近い倒木がトレイルを塞ぐ

「千年杉」を見て、時間を気にしながら進むと「荒川端」を渡り木道から一般の登山道めいた2・5時間コースに入る。 時間を掛けすぎに気付き出来るだけの早足で急ぎ、撮影で遅れるパターンの繰り返し。「ひげ杉」周辺の杉の巨木に密集して生える苔の見事さは表現する言葉が無い。 コース最奥の「蛇紋の杉の根」に11時40分着。 木の根の不思議な形に魅せられて数多くの駒数を使い帰路をい急ぐ。 屋久島の林の特徴は「着生植物」の豊富さだろう。 巨木ともなると、20種類を越える植物が競い合って、幹の苔に種子を止め、芽を出し、根を伸ばして土までとどき、土中から水分。栄養を吸収してドンドン成長し始める。 下の左から2枚は「千年杉」の例で、典型的にそれが観察できる。 木々の根の形だけでも見飽きない。 樹林内の渓流は全て花崗岩から成るため、水はあくまで清く、流れが急の為に「真っ白い泡」が必ず見える。

千年杉:「正面の木の根」と「背面の苔と着生木」 成長を続ける着生広葉樹 荒川の流れ
150分コースの最奥部に「蛇紋杉」と呼ばれる倒木の「木の根」は露出しているオブジェがあった。 これだけの高温多湿の環境下でも腐食速度が極端に遅い理由は「ヤクスギ樹木内のオイル」と「栄養分のある土が少なく成長が遅く、年輪が極端に詰まっている」事が他の木々よりも腐食しにくいと説明されていた。 下の写真(右)は伐採された杉の根の部分が空間に露出して、幹の内部から少しずつ腐食している過程であるが、赤い樹脂で出来たような感触すら感じた。 「ひげ翁杉」・「三根杉」・「仏陀杉」等々、巨木にのみ名前が付されていた。 1000年以下の杉は若すぎて屋久島では注目されてない。 幹の直径に対して、樹高は極端に小さく、人間なら不恰好の典型。 幹の表皮の凹凸を見れば凡その樹齢の新旧がわかった。 
第二・第三世代の複数の杉 蛇紋杉:倒木の根のオブジェ 赤い杉の幹内部:伐採後のもの
ひげ爺杉 親子杉 三根杉 仏陀杉
14時20分の「紀元杉」行きのバスに間に合わねばならない。 ゆっくり観察志ながら、写真撮影するゆとり時間画ない。「蛇紋杉」から「太忠岳」の分岐点から「天柱杉」へのルートの崩壊で、通行禁止で、更に時間のかかる元の道に戻り、天柱橋を過ぎて「天柱杉」・「母子杉」・「三根杉」と名前の付いた巨木を訪ねる必要があった。  これらを駆け足で見て過ぎて、「沢津橋」を通過。「仏陀杉」から<仏陀歩道>を辿り「双子杉」と「くぐり杉」「杉の気根」を見て予定コース時間2時間30分を1時間超過して13時40分入り口着。  300枚近くの写真を撮影したようだ。  遅い昼食の途中、眼前に「ヤクシカ」が舗装道路上に現れ、20m先の道路端の新芽を食み始めた。 夢中で数枚の撮影に成功。 本州の日本鹿に比べて、づっと小さく、体重で比較すれば、半分以下だろう。 これも屋久島の濃密な樹林内を動く回るに必要な体形に進化さしたのだそうだ。食料の量も関係するのかな?とも思った。 ヤクスギランド内の散策総歩数=14,800歩。
 伐採杉の根上の第二差代の成長 石に噛り付いても・・・成長スルゾ!! 杉の木の根の下を通路が・・
切り株更新の典型例 形の小さいヤクシカ(メス)
下の左の写真は「くぐり杉」。 観光客はこの杉の根の下を通過する。  以上が「ヤクスギランド」内の杉の観察だが、 今日の宮之浦岳
登山:第1日目の登山口=「淀川登山口」の途中のバス停留所にある「紀元杉」も訪れたので、写真3枚を掲載する。 詳しい紀元杉の写真と記載は「宮之浦岳縦走:第1日目」<淀川入口〜淀川小屋>を参照ください。
 <くぐり杉>      紀元杉:ヤクスギランドと宮之浦岳登山口(淀川入口)の中間点にありバスで鑑賞出来る最大の杉

宮之浦岳縦走:第1日目(ヤクスギランドー>淀川小屋)