白山登山・第3日目:第1/3編
<南竜ヶ馬場〜室堂〜弥陀ヶ原
〜<エコーライン>〜南竜道分岐>

登山年月日 平成17年7月29日(金) 曇・小雨・曇 
メンバー 殿川紘史 <単独>
主要ルート 【7/29】南竜ヶ馬場<テント撤収>(8:10)−><トンビ岩コース>ー>(9:15)室堂平ビジターセンター(10:05)−>(10:40)弥陀ヶ原(10:45)−><エコーライン>ー>(11:55)南竜道分岐ー>(12:10)南竜ヶ馬場(12:20)−>(13:20)油坂頭ー>(13:50)天池(14:00)−>(14:40)御舎利山付近(14:50)ー><折り返し>(16:00)南竜ヶ馬場ビジターセンター(山荘宿泊)
所要時間 登山(写真撮影時間含む):7時間50分 

      雨に濡れたチングルマの起毛
      <トンビ岩コース〜室堂登山路>

写真をクリックすれば拡大出来ます 白山周辺登山ルート概念図   白山室堂登山ルート概念図

【白山登山計画】   【南竜山荘施設案内情報】  南竜ヶ馬場高山植物分布図

南竜ヶ馬場テントサイトをベースに白山全体を登山・散策して高山植物中心に写真撮影する事。 天候次第で柔軟に計画を変更する。

【7/27】『別当出合登山口』 
登山準備・休息
【7/28】『登山』
別当出合登山口ー>南竜ヶ馬場キャンプサイト・テント設営・周辺散策
【7/29】『室堂散策』
テントサイトー><トンビ岩コース>ー>室堂平ー><室堂平周辺散策>ー>テントサイトー>別山ー>テントサイト
【7/30】『御前峰登山・お池巡り』
テントサイトー><展望台コース>ー>室堂平ー>御前峰ー>お池巡りー><エコーライン>−>テントサイト
【7/31】『下山』
テントサイトー>分岐ー>くろぼこ岩ー><観光新道>ー>別当分岐ー>別当出合登山口

昨日のあれ程に素晴らしい天気が急変!! 朝2−3時だろうか?風の音に混じって「テント」に当る雨音に気が付く。全く予想外だ。 ゴゼン4時に凄い勢いで雨がテントを叩く。 風の音も大きい。 5時起床しトイレに出るのに雨が気になる。 強く降ったり、止んだり・・・。 外での炊事がイヤで一昨日、別当出合駐車場で差し入れを受けた「おはぎ」と「バナナ」を朝食とする。 

天気予報は名古屋地方しか電波が捉えられず正確には判らない。 雲が低く雨は降ったり止んだりを繰り返す。 思案の末、『テント撤収』を決断した。 隣のテント所有者も雨だからと撤収開始した影響も大きい。 小雨と風の中の撤収はかなり困難な作業となる。 

テント内で衣類・食料・シュラフ類をザックに収納後、ザック等を全部テント外にだしてから、雨で濡れた「フライシート」「本体」「グランドシート」の順序で取り外し畳む。 小雨の中、隣の登山者は下山ルートを変更して最短コース(砂防新道)で下山すると言って出発した。 

視界は約30−50m程度。 テント撤収は約1時間掛かった。 取り合えず300m離れた『南竜ヶ馬場ビジターセンター休憩所』へ移動。 「天気予報」情報によると「今日午後から雨」という。 「雷」の予報がないのは幸い。 

荷物一斉を休憩所の荷物置き場に預けて、8時過ぎに「サブザック」にカメラ用品、水、昼食用パン、スナック、雨具を入れて、『室堂』まで歩いて見ることにした。 ビジターセンター横から登る『トンビ岩コース』を選択した。 雨は止んでいるが重苦しい薄暗く感じるコースは今朝の風雨に揉まれ、濡れた「チングルマ」「ハクサンコザクラ」はシベが花弁にくっつき、可愛い昨日の様子とは大違いだが、この濃霧の雰囲気もまた違った写真になるだろうと岩だらけの登山ルート沿いの高山植物をスナップしながら登る。 

<南竜ヶ馬場〜<トンビ岩コーズ>〜室堂平>スライドショー 【第1部】 【第2部】 【第3部】

『展望歩道』:「コバイケイソウ」・「チングルマ」
『展望歩道』:「ミツバオウレン」(左2枚)・「ハクサンコザクラ」(中2枚)・「アオノツガザクラ」(右1枚)
高度を増すに連れて視界は悪くなる。 雨合羽姿の数組の登山者が下山してくる。 室堂・山頂の様子を聞くと、室堂はまだ酷くないが、「御前峰山頂」は風雨が強く途中で引き返したと言う。 勾配が緩くなりハイマツ帯になる。 ハイマツが雨に濡れている為に体に触れると直ぐ濡れてしまう。 ハイマツの下に「ゴゼンタチバナ」「ヨツバシオガマ」「イワギキョウ」が処々に見られる。 「ハクサンシャクナゲ」数株に沢山の花が付いているが、盛りを過ぎている。 9時頃、雪渓帯で進行方向が判らなくなった。 視界:10m以下となる。 風は幸いに弱い。 僅かに見える足跡を頼って歩く。
ハクサンシャクナゲ ゴゼンタチバナ 白山山系の模型 白山主峰:三峰写真
ヤット方向を掴み全進出来た。 9時15分に眼前に大きい建物が濃霧の中に見えた。 室堂山荘の一部らしい。 標織を探して『ビジターセンター』にたどり着く。 内部は大勢の登山者が濡れた衣類を縫いで右往左往の状況だった。 奥の休憩スペースに椅子を見つけて休憩しながら「今日の天気情報」を入手した。 終日「曇〜小雨」だが、大荒れの天気にはならないようだ。 「スナックと水」を補給しながら、雨具の水滴を払う。 ガラスボックス内の模型「白山主峰周辺の地形」を見ながら、地図で得た平面図とのマッチングを試みる。 中々凹凸は平面図から掴むのは容易でない。 あすの天気も掲示された『天気図:昨日午後3時現在』を見ると西部海上には低気圧が近づき明日も良くなる気配はない。 寧ろ今日よりも悪化するかもしれない。 
『展望歩道』:雨と風で痛んだ「イワギキョウ」 コバイケイソウ群落
10時05分、御前峰へ登るのを諦めて室堂から「弥陀ヶ原ー>エコーライン」経由で南竜ヶ馬場へ戻る事にした。 ビジターセンター建物を出た瞬間、下山路である「弥陀ヶ原」への方向に戸惑う。 10m以下の霧が方向感覚を100%奪う。 右手方向を確認して前進開始したのは10時10分。 登山者が現れてヤット判った。

ハイマツ帯の間に「巾:5m」程度の立派な登山道があった。 大きい石が不規則にあり、濡れた岩は滑りやすく歩き難い。 風速5m程度の風に乗って来る霧が「メガネ」レンズを曇らせ、非常に歩き難い。 ハイマツの下には「イワギキョウ」が風に晒され必死に耐えている。 風上の花を選んで風の切れ間にシャッターを押すが、予想外に光量が弱く「ISO感度:800」でヤット可能であった。 

勾配が無くなると「木道」があらわれ、此処が「弥陀ヶ原」だと標織で判る。 徐々に登山口からの室堂に向かう登山者の数が増えだした。 直進ルートは「クロボコ岩ー>砂防新道ー>甚之助避難小屋」なので、左手のルートを選び「エコーライン」にはいる。 視界は高度の低下で50mー>100mになる瞬間もある。 そんな瞬間を選んで弥陀ヶ原の『コバイケイソウ』を撮影。 
コバイケイソウ群落 『エコーライン』:チングルマの群生
「チングルマ」の花ー>起毛を持つ種子 ネバリノギラン
「木道」が弥陀ヶ原を長々と敷設されている。 左右には「コバイケイソウの群落」が時々ガスの間から垣間見える。 前進すると木道が切れてルートも下り勾配となる。 左右のガレバや岩の間に「チングルマ」が沢山在った。 風雨にもまれて花弁の痛みが大きい。 花弁が落ちた後の「種毛」の先は全部風下を差している。 雨に濡れた「チングルマの種毛」は大好きな被写体である。 雨も止んだようだ。 いつの間にか撮影に熱中していた。 
雨に濡れた「チングルマ」の種子の起毛 花弁が落ちた直後のチングルマ
チングルマの種子 コイワカガミの種子       ??? ネバリノギラン トリアシショウマ  コウゾリナ
勾配が徐々に増えて左右に高山植物が現れた。 「コイワカガミの種?」「ネバリノギランの蕾」「不明の種子」「トリアシショウマ」「コウゾリナ」「オンタデ」に続いて「ニッコウキスゲ」「コバイケイソウ」「ミヤマキンバイ」が見える。

背後から50歳前のご婦人に声を掛けられ「高山植物」の名前を尋ねられた。 返事は当然<ゴメンなさい!判りません>だった。 高山植物、特に白山周辺情報にも精通していた美人のご夫人。 彼女は年間4−5回「白山」を訪れると言う。其れが切欠でエコーラインを一緒におしゃべりしながら下り始めた。 『写真撮影』する為にはそのご婦人の情報は大変有用なものだった。 今後の白山滞在期間・下山ルート等話す中に次のアドバイスを貰う。

@ 「観光新道」の高山植物は圧巻であるー>「マツムシソウ」「シャジン類」「その他」の携帯電話内の写真を見せながら其の素晴らしいさと数の多さを強調して「下山路」として是非、『観光新道』を通ることを勧められた。
A 「油坂頭ー>雨池ー>御舎利山ー>別山」の稜線沿いに多くの高山植物が今、最盛期である。 是非今日の午後に訪れると良い。 巨大な「マツムシソウ」「タテヤマウツボグサ」が多いと言う。
オンタデ 『ニッコウキスゲ』 ネバリノギラン
コバイケイソウ ミヤマキンバイ マイズルラン
登山路の草叢の間に隠れるように可憐な花「マイズルラン」「ツマトリソウ」「ゴゼンタチバナ」「ミツバオウレン」「イワハゼ」等がひっそりと咲いていた。 霧の濃度も徐々に低下して、視界は50m程度に回復してきた。 高度の低下が主要因だろう。 「カライトソウ」のピンク色が鮮やかである。 ザックに「白山」に関する本を持っており、花について彼女に聞くと、其の本を参照しながら高山植物の名前等を親切に解説してくれた。 こんな人と山歩きすると高山植物の知識が増えるに違いない。 残念ながら彼女は砂防新道を今日下山するようだった。 
ツマトリソウ 何の花の種子?? イワハゼ ゴゼンタチバナ イワハゼ
「ニッコウキスゲ」:エコーライン登山路 カライトソウ トリアシショウマ ???

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