『赤岩岳登山』

第1編:神川町〜赤岩橋〜赤岩峠


登山年月日 平成19年04月29日 (土) 快晴
メンバー 殿川紘史・HH氏
主要ルート 【4/28】宇都宮(18:45)〜(22:00)神川町(車中泊)
【4/29】神川町(6:30)〜(7:40)志賀坂トンネル(7:50)〜(8:00)赤石橋:日窒鉱業(8:25)〜(9:50)赤岩峠:展望台(10:00)〜(10:45)赤岩岳崖下(12:15)〜(13:10)赤岩峠〜(14:35)赤岩橋:日窒鉱業(14:55)〜(15:10)八丁峠登山口(15:15)〜(16:00)中里:道の駅(16:10)〜(16:30)神川町(車中泊)
所要時間 【登山】6時間10分 <AM8:25-PM2:35>
【総合】10時間00分 <AM6:30-PM4:30>

            神流川上流部の鯉幟

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【赤岩岳・両神山登山地図】 【赤岩岳登山口周辺概念図】

【赤岩岳関連情報】

赤岩尾根は上武国境稜線の一部をなす。七つの岩峰が連続するが、そのうち一番西側のP7が赤岩岳と呼ばれる。二万五千図に山名の記載もないし、三角点も標高点もない。山というより連続する岩峰の一つである。この赤岩岳だけは赤岩峠から登山ルートがあり、少々岩登りの心得がある者なら登頂することが可能である。岩峰だけに山頂からの展望は絶佳である。目の前に両神山が大きくそびえ立ち、南から西にかけては奥秩父主稜線の山々が壁のごとく連なっている。その右奥には八ケ岳連峰が遠望でき、眼下には西上州の岩峰群がさざ波のごとく続いている。そして、足下からスパッと垂直に切れ落ちた数百メートルの絶壁の下に金山鉱山が小さく見える。

両神山頂から八丁峠に続く八丁尾根は上級者向けの厳しい岩稜コースとして知られている。八丁峠から先、稜線はさらに悪相を強め、険悪な岩尾根となって赤岩峠に続いている。この尾根は赤岩尾根と呼ばれ、もはや登山道はない。岩登りの技術を持った熟達者でなければ通過する事はできない。山と渓谷社発行の案内書「スパーハイキング」ではこの赤岩尾根を『岩とヤブのエキスパートのみに許された、胸の高鳴る豪快な岩稜縦走といえよう』と紹介している。

【日窒鉱業】

赤岩尾根、赤岩岳を語るには金山鉱山について語らなければならない。大絶壁となった尾根北側の基部に異様な光景が展開している。山の斜面を埋め尽くす廃屋となった長屋の群である。かつて栄華を極めた金山鉱山の残痕である。金山鉱山の採掘は遠く慶長年間に甲斐武田氏による金の採掘に始まったと云われている。昭和12年に日窒工業がここで亜鉛・鉛の本格的採掘を始めてから、この鉱山は急速に発展した。そして昭和30年前後にその最盛期を迎える。平地とてない中津川最源流の山奥に人口二千人以上の町が出現したのである。谷間には段々畑ならぬ段々長屋が立ち並び、小中学校までできた。

【赤岩岳登山の背景】

登山仲間の平居氏から、「ヤシオツツジ」の開花が近いから、4月30日(日)に彼女の登山仲間と登山するから、参加しませんか?・・・との誘いを頂き、OKした。 毎日が休日の小生のスケジュールを知る為に、どうせ群馬県まで来るなら、足慣らしを兼ねて前日の4月29日(土)に両神山に近い、『赤岩岳』に登山する事になった。  両神山登山口<八丁峠登山口>を過ぎ、「八丁トンネル」を少し下った「赤岩橋」の「日窒鉱業(株)」駐車場から「赤岩峠」経由のルートを選択していた。 宇都宮は前日(4月28日)の午後に出て、神流町の「神流川水辺公園」傍のコンビニ駐車場に車中泊。

【神川町〜神流川公園・コイコイ橋】  スライドショー

「神流川」沿いの神流町の「神流川公園のコイコイ橋」を跨ぐ様に神流川右岸のあるピークにロープ608本を結び、鯉幟数百本を川を跨いで括り付けてある。 初めての壮観な景色に驚く。 同行の平居さんによると、毎年この時期に関東周辺だけでなく、関西・中京からも休日には多くの観光客が見物に押し寄せると言う。 
神流川上流から「鯉幟」を鑑賞:「神流町の観光資源」としてこの時期に毎年全国から集められた鯉幟が空を泳ぐ

5月連休にはピークとなり、観光客がどっと押し寄せ、この河原の駐車場も満杯をなる程の賑わいらしい。 朝の逆光線を通してみる鯉は風が無い為に、静かにロープに垂れ下がっていた。 
「鯉幟」を結ぶ右岸のピークに近い町内には駐車場がなく、数百メートル上流の橋の袂に車を止めて、撮影。

鯉幟がぶら下がる神流町を過ぎて国道#299を神流川に沿って走ると、左手上方に石灰岩からなる岩山が現れた。 平居氏によれば、この山は背後から採掘が進み,山の形が変わる程だという。 
見事な鯉幟群 橋傍の民家の佇まい 国道:# 沿いから神流川右岸の山並 川沿いの若葉が映える

道の駅:「万葉の里」で途中停車して、神流川を上から覗き込ん写真である。
石灰岩の山らしい 「神流川」の河原にも観光客用の臨時駐車場が設置されている


【志賀坂トンネル出口〜赤岩岳登山口】  スライドショー

国道#462号を神流川に沿って進むと右手に分岐して国道#299号(十石峠街道)に入る。 うねる坂道を走ること20分程度で峠の「志賀坂トンネル」を通過直後で「両神山:八丁峠登山口」へ向かう林道入口でストップ。 左手の谷間方向の
「中里村」方向を俯瞰する光景は、朝の霞で遠方の山並は不明瞭だが、道端には数株の「菜の花」屋に間の「若葉」は春を思わせる。 
国道#299の「志賀坂トンネル」を左折し、菜の花咲く林道入口に駐車して神流川上流=「中里村」方向を展望

この林道を約30分程度走ると「八丁峠」・「八丁峠トンネル」を通過して、旧日窒鉱業(株)近くの「赤岩橋」へ向かう。
分岐点の林道概念図からトリミングした地図は下の写真参照。
約15分程度トンネル通過後の林道を下ると、大きいカーブの「赤岩橋」で直進して、8時丁度に、「日窒鉱業(株)」の敷地駐車場に入る。 今日は休日で、誰もいない・・・・。 この会社は今は操業していない様にもみえる。 其処には数台の車が駐車していた。
菜の花咲く峠から中里町方面 林道概念図 日窒鉱業(株)寮建物と目指す赤岩岳稜線

この駐車場の背後には今日目指す台形状の「赤岩岳」の険しい稜線が綺麗に見える。 登山仕度をして、8時25分にこの駐車場奥に続く細い道を辿り、「赤岩峠登山道」の看板と「登山者注意」看板の二枚がある。 
この赤岩岳〜両神山へ続く稜線は「赤岩尾根」と呼ばれ、岩登に熟練した者しか通過出来ない難所が連続すると書いてある。 以前、落合橋ー>八丁峠ー>両神山へ登った時に背後を振り返り、凄い山波がみえた。
駐車場から見上げる赤岩峠付近の稜線と駐車場 「赤岩峠」への登山口・「登山注意情報」とその内容

「大ナゲシへの登山者への注意看板」:大ナゲシ頂上直下は険しい岩場となっており、鎖等はなく、上級者向けのコースです・・・・の記載。
「赤岩岳〜八町峠への登山者への注意看板」:赤岩岳〜八町峠への稜線は険しい岩場の連続でルートファインデインディングを要する上級者用のコースです。 登山する場合は、ザイル等の用具と技術が必要です・・・・・るーとが判らず立ち往生した登山者がある・・・・と警告したいる。 
今日目指す「」赤岩岳は八丁峠までの稜線上の七つのピークの最も西側にあるピーク」で、25,000分の一の地図にも山名も無いピークらしいが、多少岩場の経験があれば、ピークに立つ事はそれ程困難で無い・・・と書いてあるが・・・・?

日当たりの良い樹林帯には下の写真の如き花が咲いていた。 「チゴユリ」・「不詳」
登山注意看板 チゴユリの花 赤岩岳のピーク 日当たり良い樹林帯に咲く花:「不詳!!」


【赤岩峠〜赤岩岳直下】  スライドショー

9時50分、赤岩岳稜線上の「赤岩峠」に到着。 樹林帯の中だが、日当たりは良く、今日は風もなく寒くない・・・・数人の登山者が休憩していた。 
岩が険しく熟錬者しか登山は難しいと書いてあった「大ナゲシ」のピークが左正面の樹間から見える。 約10分間休憩して右手方向の「赤岩岳」への稜線へ向かう。 途中には数株の「シャクナゲ」の蕾があった。 
「赤岩峠」の祠と登山者・「大ナゲシ」 「大ナゲシ(1532m)」 樹林帯はまだ若葉には遠い 「シャクナゲ」の蕾

「赤岩岳」への稜線は多少のアップダウンはあるが踏み跡もはっきりして歩き易く、北面方向の展望が効く所が諸所に在った。 残雪で真っ白に覆われた「八ヶ岳連峰」、その東側には「蓼科山」、「浅間山」が見えた。
石灰岩採取場?望遠 八ヶ岳(左)連峰望遠 八ヶ岳連峰クローズアップ 蓼科山望遠 「浅間山」望遠

「浅間山」の東側には「北アルプス連峰」が二つに分かれて残雪で真っ白な稜線が伸びていた。 裸眼では個別の山の形までは見れず、方向と稜線の長さから推定した。 
10時45分、「赤岩岳」ピーク傍に到着したが・・・・・登山情報の通り、稜線からの取り付き箇所は狭く、北側へ回り込む様にして急角度の岩壁を這い登るルートの様だ。 登る事は出来るが下りはより難しそうで、ザイルが必要の意味が判った。 今回は退却を決めた。 岩塔の右手の斜面は下の写真の如く、60度以上の斜面であった。
此処で少し戻って、日当りの良い視界のある稜線で昼食を摂る。
「大ナゲシ」のピーク 浅間山〜北アルプス連峰 赤岩岳の絶壁 八ヶ岳(左)〜浅間山(右)

この休憩場所からは「大ナゲシ」や「赤岩岳ピーク」以降の東側の幾つもの岩塔が見えて、熟練者でも通過するには相当の困難なコースである事が垣間見えた。 
遠くに見える「浅間山」は薄い雪が残る程度で、殆ど土が見える。 12時15分までゆっくり休憩。
「大ナゲシ」のピーク 浅間山・北アルプス 「浅間山」望遠 赤岩岳の絶壁 「赤岩岳」に連なるピーク

『赤岩岳登山:第2編』へリンク