大杉谷下り:第3日目<第2/3編>

<桃の木小屋〜ニコニコ滝〜
シシ淵〜千尋滝
宮川第3発電所〜大台ケ原駐車場〜道の駅>


登山年月日 平成16年4月26日 快晴
メンバー 殿川紘史・ON氏
主要ルート 【4/26】桃の木小屋(7:00)−>(7:55)ニコニコ滝(8:30)−>(8:45)シシ淵(8:55)ー>(9:40)千尋滝(10:15)−>大日グラー>(12:45)宮川第3発電所(13:30)−>(17:10)大台ケ原駐車場(20:00)−>(21:00)道の駅「杉の湯」(車中泊:23:30〜)
所要時間 渓谷下り:5時間45分 <AM7:00−PM12:45> 全体:14時間

   千尋滝(160m)
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大杉谷トレッキングマップ・概念図
スライドショー:【第3日目・第2/3編@:シシ淵】 【第3日目・第2/3編A:千尋滝】
         【第3日目・第2/3編B:千尋滝〜キヨラ谷】

【大杉谷概要】
大杉谷は日本一の多雨地帯の「大台ケ原」から流れる水が削った厳しい渓谷の一つである。日出ヶ岳から南東に下って宮川ダム貯水池、までの約10kmの渓谷で大杉谷登山道が整備されている。 大杉谷の原生林は海抜800mの七つ釜滝から下流域のシイ、カシ類を主とした温暖性常緑樹林帯、上流域のブナ、ミズナラを主とした冷温帯性落葉広葉樹林、日出ヶ岳(1695m)山頂部一帯のトウヒ、コメツガを主とした亜高山帯針葉樹林にくぶんされ、森林帯の垂直分布と、その変化を容易に観察することが出来る。 その豊富な森林帯には特有の動植物も繁茂しており、この「原生的な天然林及び動植物の保護」の為に『大杉谷森林生態系保護地域』が国有林に設定されている。 【添付マップ参照】その国有林では森林をその役割に応じて、「水土保全」「森林と人との共生」「資源の循環利用」の3つのタイプに区分している。 大杉谷国有林は、原生状態に近い森林がまとまりを持っていることから、『森林と人の共生林』に区分され、特に重要と考えられる森林については『大杉谷森林生態系保護地域』に平成3年3月に指定された。 この保護地域は「保存地区」と「保全利用地区」の2つから成る。 保存地域(コアエリア)は原則として手付かずの状態で維持し、自然の推移に任せることとしており、、509Haが指定されている。 保全利用地区(バッファーゾーン)は、保全地区を取り囲んで、周囲の環境の変化が保存地区に及ばないようにすると共に、自然観察場としても利用可能な場所で、882Haが指定されている。 <林道内の近畿中国森林管理局・三重県森林管理署の看板より抜粋して記載>

ニコニコ滝を過ぎると、広々とした沢が見えてきた。 登山ルートは左岸の岸壁直下に在った。 ここが「シシ淵:猪ヶ淵」と呼ばれる最も綺麗な淵が在る所らしい。 狭い峡谷の間から先の景色が見える。 更に前進するにつけ岸壁が広がり、その間に満々と水をたたえた淵が見えた。 此処が「シシ淵」とか「猪ヶ淵」と呼ばれる、大杉谷でもっとも美しく「オアシス」と言われている。 両岸50−60mのアグラに囲まれた中に碧く澄んだ水を湛えていた。 手前は日陰、両岸壁の向こうが陽光を浴びた情景下に、水に新緑が映り黄緑〜濃緑色に冴え渡る様は、呆然と眺めてしまう自然の見事さだ。
シシ淵=猪ヶ淵
「シシ淵」は見る角度と距離でかなり違った印象を与える。 左から段々近づいて撮影した写真である。

右の上流部を見るとやはり両側50m程度の手前の岸壁は日陰で暗く、100m−150m以上先には緑の樹林と垂直の岸壁の間に「純白の滝」が僅かに見えた。 これが先程、上部から眺めていた「ニコニコ滝」であることを理解するのは容易ではなかった。 当初は別の滝であろうと考えた。 撮影した写真を拡大して初めて実態が明らかになった。 現地では日陰の深い谷間は暗かったからだろう。 写真左下:2枚は、左端の撮影写真をPC上で拡大したトリミング写真である。 中央下の写真が最も実際の光景に近い。 僅かに白いものが岩に沿って見える程度だった。 アレだけの水もこの広い沢に流れ込んでいるが、水の流れを感じなかった。 狭い岩のトンネルをくぐるとまた別の淵が見える。 

左:オリジナル   部分拡大    X10程度に拡大    自然の視覚 シシ淵の一部?

その淵に近づいて色んな角度からエメラルド色の澄んだ水を中心に撮影したのが左下の写真4枚である。水中に溶け込んだ石灰分の作用だけでなく、周囲の新緑映り込みが此れだけ濃いエメラルド色に見せるのだろう。 2m以上もあろうかと思う水深の底まで澄んで見える。 この光景に見蕩れながら、左岸を進むと谷間の両側の新緑がまた見事な色をなしていた。 山桜に見える花も確認出来た。 

見事なエメラルド色:水中の炭酸成分+周辺の新緑の色の混合効果?       周囲の新緑の森

千尋滝 <落差:160m>
9時40分に、「千尋滝の看板:休憩所」側に到着した。 登山ルート100m程度も離れている為に、滝の水音は聞こえない。 先ず最初に驚くのは「如何して山の頂上から滝が流れるのか?」だった。 地形図で確認するとあの滝は「千尋谷」から流れる水を集めたものだ。 この撮影ポイントは滝の落下口よりも200mは低いから、谷周囲の両方の崖は見えにくいとしか考えられない。 落差も大杉谷で最大の「160m」と在る。 

山頂から落ちる160mの滝 シャッター速度:スロー スロー ノーマル ノーマル

滝の中央部に局所的に陽光が当たり始めて、その部分だけが「白飛び現象」を起こしそうだ。 全体・全体の拡大・滝の分割、それに局部のクローズアップ等を相当数撮影した。 スローシャッターでは益々「白飛び現象」が起こりやすい。

スロー  滝最上部:ノーマル 中間上部:ノーマル  中間下部:ノーマル&スロー  全体:ノーマル

約35分間も休憩しながらそのスポットに留まっていた。 最後に全体と全体の拡大写真を撮って10時15分に出発した。滝を過ぎてからは、深い大杉谷の左岸のアップダウンするルートを主として林間を進んだ。 クサリ場の近くで河原の幾つもの淵がみえだした。 日陰では黒ずんで見える水も、陽光を浴びるエメラルド色に変わる。

最後のショット?? 登山ルート左岸から見える幾つもの淵:エメラルド色が印象的
谷間の幅は広がり、淵の水の深さも浅くなって見える。 

キヨラ谷に近づくと谷の幅が広まり、登山ルートと沢からの距離も弛まってきた。 谷底全体が展望出来る部分が増えてきた。 周囲の斜面がヤヤ低くなり、斜面の新緑が良く見える。 川の水・青空・新緑の組み合わせは最高の演出。

淵の水と新緑のコントラスト 青空に映える新緑の色も色々 頑丈な吊橋
宮川ダム湖に近づくにつれて流れは緩く・・川幅は広く 余りの晴天で暑過ぎる登山ルート

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